表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/1361

パーティを組もう!

「ねえ、私と組まない?」

私の金儲けに関する質問に対して、何故か暫し考え込んだ碧がおもむろに提案してきた。


「組むって?」


「まあ、言うならばパーティみたいなもんだけど、退魔だけじゃなくて符の作成と販売とかも一緒に組んでやらない?

実は私、主な能力って治療系なのよ。

回復術で退魔も出来るんだけど、ラノベのアンデッドに対する回復術みたいな特効のコンセプトが無いせいで白龍さまに手伝って貰わないと危なそうって退魔協会では見做されてるの。

凛は独学でも悪霊を追い払えるんでしょ?

二人で組んで対応すればもっと安定した退魔師として扱って貰えると思うし、依頼主のところに行く時なんかも女一人じゃない方が変な誘いが減るでしょう」


収納用の符の話をしていたのにパーティを組もうと誘われてちょっとびっくりだが、ちゃんと稼げるならソロではなく二人で組んで働くと言うのも悪くはなさそうだ。


大学卒業後に自営業として何かビジネスを始める形にするにしても、『大学の友人と一緒に始める』と言う方が親も安心しそうだし。


しかも白龍さまがもしもの時の保険になる。

報酬なし(多分)で、依頼の対象が想定以上にヤバかった時に必要とあれば助けてくれる奥の手が毎回同行してくれるメリットは大きい。


「う〜ん、私にとっては良さそうな話だけど、治療系の力があるなら退魔なんかしてないで普通に回復の符を売らないの?

それとも退魔協会に所属すると依頼を熟すノルマがあるとか?」


碧が忌々しそうに地面に落ちていた小枝を蹴り飛ばした。

「言ったでしょ、医療団体の利権関係のせいで回復系の符の売買がめっちゃ面倒だって。

売れればそれなりの収入になるけど、数を熟せないのよ」


マジか。

まあ、日常生活で命の危険なんてほぼ縁が無い現代日本だ。

毎回依頼で怪我をする様では退魔師をやる人間が居なくなるだろうから、あまり退魔協会内では怪我に関する回復の需要も無いのかな?


「・・・医師免許を取ったら?」

ウチの大学の経済学部に入れるのだ。

偏差値的には医学部だって一流国立以外なら大丈夫だろう。


「散々回復師の邪魔をしまくった、金の亡者達の病院で勤務医になってあいつらを稼がせるなんて絶対に嫌よ!」

憤怒一杯に碧が吐き捨てる。

何やら大分と不満が溜まっている様だ。


まあ、折角白魔術なんて金儲けに向いた適性があり、氏神様なんて無敵な保護者がいるのにその能力を使えない様に邪魔されたら怒るのも当然かな?


「勤務医ではなく開業医になれば?

研修医時代は諦めないとだけど」


「あいつら、回復師が開業医になるとありとあらゆる嫌がらせをして医院を潰そうとするのよ。

お陰で私の叔父は嫌気がさして無医地区になっていた離島に引き籠もっちゃった。

絶対に医者にはならない!!」

・・・なんとも世知辛いねぇ。


「ちなみに、回復用の符を作れるって事は私に収納用の符の作り方も教えられそう?」

退魔協会からの依頼を一緒に受けるにしても、符の販売で収益を得られるならそちらもやりたい。


下手なところに弟子入りするよりは碧に教われるならその方がベターだ。

黒魔術の魔道具作りは一通りやっているが、時空魔術は寒村時代に目覚めたので素材も余裕も足りなくて魔道具を作れなかった。

考えてみたら、マジックバッグみたいな物があれば便利だったろうに。

符で時空魔術の魔道具化を身につけられたら、試してみたい。


「多分?

ダメだったら収納の符作りだけを学びたいって言えば、退魔協会も誰か紹介してくれる可能性は高いと思う。

収納用の符がもっと出回って安くなったら喜ぶ人は多いからね」


「ちなみに、二人で退魔協会の依頼を受けたり、符を売ったりしてどの程度お金を稼げるの?

ギリギリワーキングプアじゃないレベル、そこそこの企業で働くサラリーマンレベル、それとも弁護士とかの士業レベル?」


考えてみたら、退魔師だって「し」業だ。

字が違うけど。


碧がちょっと首を傾けて考え込んだ。

「そこそこの企業で働くサラリーマンがどの程度稼ぐのか知らないけど、適当に働けば年収500万ぐらいは固いよ。

退魔協会の依頼を増やせばもっと稼げるし。符の販売と退魔の依頼のバランス次第で変わるんじゃないかな?」


よっしゃ〜。

これで探偵業をするかとか悩まないで済む!

「うっし!

実際に一緒に働いてみたら想定外な場面での性格不一致の問題が出てくる可能性もあるけど、取り敢えず一緒に組む方向で考えていこう!

ちなみに、退魔協会って退魔師が世間一般的に違和感のない仕事をしている様な偽装に協力してくれるの?」


碧がこっくりと頷いた。

「うん。

会社勤めっぽくしたいなら会社名と連絡先とか提供してくれるし、自営業っぽくしたいならそっちも色々支援してくれるらしい」


お、やったね!

期待通りのサポートじゃん。

「良いねぇ。

組んで働くんだったら二人で何かビジネスを始める形にした方が良いんじゃないかと思うけど、それは卒業までに考えていこう。

取り敢えずは・・・退魔師の常識を教えて貰って、協会で登録かな?」


まだ出会って1ヶ月と言ったところだが、それなりに碧とは仲が良くなっているし気も合う。

このまま上手くやっていけると良いんだけど。


これからについて詳しく話し合う為に、碧のマンションにでも行こうかと相談していたら白龍さまが徐に口を挟んできた。

『その前に。

お主、普通と違う事に関して何か言う事はないのかの?』






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 碧 が う ざ い
2023/11/03 18:10 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ