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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
呪われてる(?)一族

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1503/1530

交渉へ

 曽根家に着いたら、応接間に案内された。

 待っていたのは奈緒子さんと当主のおっさんと大輝氏。

 大輝氏の娘と妻は居なかった。

 一族総揃いになるかと密かに思っていたのだが、そうならなかった。

 実際に皆が集まったのではなく、オンライン会議で済ませたのかな?


 様々な分野で成功している一流と言われる人間が多いんだろうから、突発的に言われても集まれなかったんだろうな。

 そう考えると、当主の主張が通ったのは意外だ。成功した人って自分の意思を通すのに慣れていて我が強いだろうに。


「こちらが約束の合意書だ」

 当主が碧に誓約書を差し出した。

 ちらっと覗いたところ、法律文書らしい分かりにくい言い回しで甲や乙がうんだかんだと書いてあるが、纏めれば先日碧が要求した内容かな。多分。


「了承しました。

 では、確認させて頂きたいのですが曽根家としては、契約しているお相手はどの様な存在であると伝わっていますか?」

 碧が尋ねる。


「我が一族はこの土地にある水源に祀られた神との契約で、50歳前後で寿命が終わる代わりに、心の底からやろうと思ったことは成功する様になったと伝わっている。ただし、それは身を守る以外の用途で他者を直接害するような内容ではダメだと言う話だ」

 当主が答えた。

 奈保子さんの顔が無表情だ。もしかして、今回の騒動の前には自発的に結んだ契約だと知らされていなかったのかな?

 長年一族を支えていたと自負していたのに、根本的な事実に関して隠されていたとしたらちょっと複雑な心境だろうねぇ。


 それはさておき。

 水源に祀られた神かぁ。

 マジで白龍さまの親戚かも?

 戦国時代の後に契約したんだろうね、多分。流石に皆で奪ばわれ、奪い合っていた戦国時代に人を殺す様な『成功』はダメと言うのは人間側が合意しないだろう。受け身な『責められたら撃退する』に徹しているだけじゃあ戦国時代を生き延びるのは難しそう。


「ちなみにその知識は曽根家の血を引く方は全員がご存知なんですか?」

 呪いであると認識している人間はいないのかね?


「本家の血を引く人間はちゃんと子供が中学に入るぐらいの年齢で己の血の特徴を伝える事になっている。

 誰かが想定外に早く亡くなった場合は本家の当主が遺児に伝える事にもなっている。が、あえて伝えなかった人間がいたせいで情報が伝わっていなかった家もあったようだが、今回説明した。

 信じたかどうかは不明だが」

 大輝氏がちょっと苦々しげに言った。


 あ〜。

 若死するのは遺伝子病か何かで、成功するのは自分たちが有能だからと思っている人間もいたのね〜。

『お前が出来る子なのは、寿命を神に捧げているからだ』なんて子供には伝えにくい内容だよね。

 子供の頃からそう言われて、親が当然の事としてそれを信じていれば信じるかもだが、親が信じていない内容を今更言われても、子供もあまり信じなさそう。


「今回の再交渉は何をどうお願いすればよろしいのでしょうか?

 ちなみに曽根家の方が呼びかけた場合は何が起きました?」

 曽根家の血を引いていれば話を聞いてくれるって相手なら私らを雇う必要はなかった筈。

 ちょくちょく嫁とかが呪われるので退魔協会に依頼を出す事があると言う家系で、依頼で呼び寄せた退魔師を知らぬ間に贄と差し出す予定だったという事はないと思いたい。


 とは言え。

『平均的日本人の寿命が伸びたのに、自分たちは今まで通りに50歳前後で死ぬのはずるい』とだけ言っても相手を怒らせるだけだろうと思うが。


「ミズカミ様は眠られているのか、戦後は殆どこちらの声に応じられていない。

 なので退魔師の方に声を掛けてもらって目覚めていただければ、あとはこちらが交渉する」

 当主が言った。


 真面目に信仰しているなら祈りの声が届くかもだけど、ビジネスライクな関係だと思っているようだったらたとえそのミズカミ様が目覚めても只人ただびとの声が届かない可能性も高いんじゃないかね?


 と言うか。

 そもそも、契約の条件を変えるとなったら、相手に何か得るモノがなきゃ、話にならないと思うんだが。

 彼らは何を提供できるんかね?

 成功の度合いを減らすとか、第二子以降は成功しなくても良いとか?

 流石にそれはないよね。

 と言うか、今時だったら一人っ子も多そうだし。

 第二子以降の寿命は今まで通り取って良いけど、成功させるのは第一子だけなんて約束をするのは他の一族の人間が納得するとは思えない。

 それにそんな条件では、マジで生贄の命を奪い取っているだけに近くて神の方も徐々に穢れていきそうだし。


 まあ取り敢えず。声掛けだけして、どうなるか様子見かね?

 こちらに詳細を伝える気はないみたいだし。


 結局、当主が何を条件に出して再交渉するのか言われぬまま、我々は屋敷から出て坂を登って崖っぽいところにある直径10メートル弱ぐらいな泉の元に辿り着いた。

 ちゃんと手入れをされた祠が祀られてあり、その奥から左側にむかってそこそこな水量のある川が流れ出ている。

 山の上からの地下川がここに出ている形なのかな?

 ちょっと神秘的で、昔の人がここを崇めた気持ちも分からないでもない。


「ミズカミ様!

 曽根家現当主の曽根 晶です!」

 当主のおっちゃんが祠の前で暫く祈っていたと思ったら、徐に声を上げた。


 反応なし。

 大輝氏がやる方がまだマシかもとも思ったが、どちらにせよ曽根家の人間の誰からも真摯な信仰の感情を感じないので、誰がやっても同じかな?


 命が軽かった昔はまだしも、今では『救ってくれる神様』と言うよりは、『助けてくれる代わりに命を取る相手』で、実質悪魔に近い様な印象を曽根家の人間は内心で抱いているんじゃないかな。実際に死ぬ側が命を奪う存在に感謝しながら死んでいっているなら、呪われた一族だなんて嫁までもが思ったりしないと思う。


 これじゃあ相手も顔を出さないよねぇ。


 暫し当主があがいた後、諦めて碧に場所を譲った。

 碧が祠の前に跪き、祝詞を唱え始めた。

 いつもの清めの際の祝詞をの流用で、神様の名前とやって欲しい部分だけが違う感じかな?

 哀れな魂を清めて昇天させてと頼む代わりの。曽根家の声を聞いて下さいと祈っている。


 キラキラと碧の魔力が空気に舞い始めたところで、ざぱあぁぁ!と泉から何か巨大な存在が姿を現した。




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― 新着の感想 ―
信仰と言うよりかなりビジネスライクな関係ぽいですね
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