あとは若いお二人で?
「知り合いで父親が亡くなったから家計を支える為に高校生で退魔師になり、先日一級術師になった若い男の子が相棒を探しているところだったから、話をしてみたら谷敷さんと会ってみても良いって。
実質一般家庭出身なんで価値観にそれほど違いはないと思うし、妹さんもいるからセクハラも大丈夫かも?
セクハラに拳で対応するのはオーケーと言っていたし。
ただ、妹さんも才能があるとかで、その関係か会って話す時に妹さんも一緒に話を聞きたいそうだけど、どうする?」
谷敷さんに連絡をいれる。
考えてみたら蓮君の年齢は聞いてなかったな。
でもまあ、『若い男の子』と言えばそれなりに想像はつくよね?
一応会う時の自己紹介に年齢を含める方が良いかもとは言っておこうかな。
蓮君はそれなりに体格も大きくなってきていたし、苦労しているせいか大人びている。こないだ会った時で、ちょっと体型が細めとは言え普通に大学生かそれ以上に見えなくも無かったらからね。
下手に谷敷さんが異性として守備範囲内だと判断したら警戒するなり色気を出すなり、どちらにしても面倒な事になりかねない。
他の退魔業界の男どもが酷いからこそ、まともな蓮君の魅力が引き立って見える可能性もゼロではないからね〜。
仕事のパートナーと私生活まで一緒にするのが好ましいことかどうかは微妙だと思うけど、本人の判断次第だ。でも、避けられる誤認で気まずい状況になったら勿体無い。
『一般家庭出身でどうやって高校生から退魔師になったの? 誰に弟子入りしてたのかしら?」
直に返事が来た。
どこの門下の人間かって重要なのかなぁ。
弟子入りする業界だったら確かに師匠の考え方にかなり影響を受けて、派閥的な柵も多いのかも?
「父親が旧家の血を引く退魔師だったけど、一般人の母親と結婚して縁切りされて関東で退魔師として働いていて、息子にも教えていたらしいわよ」
あれ、考えてみたら退魔協会への登録時の免税特権は誰のものになったんだろ?
私と一緒にオリエンテーション研修を受けたって事は、父親が生きている時はまだ登録していなかったんだろうに。
父方の親戚が恩着せがましく退魔協会への手続きを『やってあげて』、しれっと免税特権を手に入れたのかな?
そう言えば、蓮君の妹も才能ありだから養子縁組の話があったって話だったけど、彼女も退魔師になるのかな?
そこそこ年が離れていたっぽいから修行を始めるとしたらこれからでも不思議はないが、どこかに弟子入りする資金的余裕は……あるのだろうか。
となると、蓮君が教えるのかな?
誰かと組んでいるのに妹を教える暇があるのかね?
退魔師業界での女性術師の苦労なんかも妹さんが聞いておきたいポイントかも。同じ4〜500万を掛けるなら、普通に大学に行く方が潰しが効くかもだからねぇ。
『なんかこう、セクハラが無い事は当然前提条件的に求めるけど、最近ラノベで流行りの妹が兄に近づく女性との関係を邪魔する系な状況もちょっと遠慮したいんだけど。大丈夫かな?』
谷敷さんが不安そうな猫のスタンプと一緒に質問を返してきた。
谷敷さんもラノベが好きらしい。
いやぁ、ラノベにある様なザマァされる系な妹キャラって現実にはいないでしょう??
いるにしても、高木家はそんなアホなことをやっている余裕は無いと思うし。
以前、迷子猫騒動の時にちょっと会った時の印象では特に私に敵愾心を持っている感じでは無かったし、兄に極端に執着している様子でも無かったと思う。
多分。
猫の事で一杯一杯だったのかもだが。
「ちょっとだけ機会があって顔を合わせた時にはそんな感じの子じゃ無かったけど、折角面談に同行してくると言うんだから、じっくりそこで様子を見て自分で判断したら?
あと、妹さん才能がどの程度なのか知らないけど、兄貴に弟子入りしたいとか、色々教わって最終的にいくつか仕事に同行させて貰いたいとか、修行が終わったら兄妹で組んで働くつもりなのかとかも聞いておく方が良いかもね」
4年なり10年なり先の話だったら別にどうでも良いかもだけど。
『そうね。
じゃあ、一度紹介して貰える?』
返事が来た。
「私は口を挟むつもりは無いから、谷敷さんのメールアドレスでも貰って良い?
あっちに送るから適当に直接会う手配をして」
下手に私が顔を出して、『長谷川さんの紹介だから信頼した』なんて言われても困る。
好奇心は疼くから、上手くいったかは後で聞きたいけど。




