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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学4年

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中々酷い

「今日は会ってくれてありがと〜」

 結局、退魔協会のパーティから3日後に都内のちょっとおしゃれなガレット屋さんでランチに会う事になった。

 なんでも、谷敷さんが以前手助けしたとかで、普段は夜しか使っていない奥の個室を開放してくれたのでプライバシーも確保された上で美味しいガレットが食べられる。

 表側の店はちょっと混んでる感じだけど、ちょっとお洒落に素朴系な感じで雰囲気も良い。

 これなら食事の方も期待できそうだ。


「ちなみに、私らの事務所は2人だけしかいなくて、リタイヤを考えるぐらいの歳になったら20歳ぐらい年下の若手を見習いっぽく受け入れて育て上げて終わりにしようかな〜って話し合っているの。だから谷敷さんを受け入れるって言うのは無理よ?」

 遠慮なくオーダーしたガレットを食べながら先に牽制する。

 うん、サラミと卵とチーズが良い感じにラタトゥイユの仄かな野菜味とミックスしていて、美味しい。


「まあ、ペアで働いている2人の事務所にもう一人入れる意味って無いとは思うけど、やっぱそうか〜。

 じゃあ、誰か女性の術師でパートナーを探している人、知らないかしら?

 ゲイで女性に興味がない人でもいいわ」

 ため息を吐いた谷敷さんが深く息を吸い、ぐいっと身を乗り出して彼女的には次善策的なリクエストをしてきた。


「谷敷さんってもしかして一般家庭出身の退魔師で、業界に伝手が無いの?」

 と言うか、私だってないんだけどね。

 でも特級術師になれるならそれなりにずっぽり業界のネットワークに浸かっていると思ったのかな?


「そうなのよ〜。

 師匠は良い人だったから、まともな感じに術師になれたんだけど。私が昇進テスト受かったって報告した直後ぐらいに病気で亡くなっちゃって。

 師匠の息子で兄弟子だった人は、一般家庭出身の術師なんて雑種で一人前になんてなれる訳がないって散々私を貶したし弟子入りした後も悪口を言う以外は徹底して無視してきた人だから、助けてくれるとは思えないのよ。

 実際、連絡を入れてもガン無視状態だし」

 深くため息を吐きながら谷敷さんがシードルを喉に流し込んだ。


 シードルってアルコール分は少ないと思うけど、一応お酒ではあるんだから、真昼間からあまり飲まない方が良いんじゃない〜?

 と言うか、悩みがある時にお酒を飲むのはお勧めしないんだけどな。


 個人的には酒はいつでもお勧めしないが。

 下手に酒で楽観的になってはヤバいし、二日酔いしたら鬱になるし。悩んでいる時に酒を飲むのは、通常時よりも更に不味いだろう。


 まあ、それはさておき。

「で、退魔協会にパートナーになる人の紹介を頼んだら、ハズレだった?」

 師匠がご老人なんだったら若い世代の術師はあまり知らなかったんだろうなぁ。

 若い世代の知り合いはその仲が悪い息子の方が直接付き合いがあるんだろうし。


「最初に紹介された男性は私が愛人希望だと思い込んでて、妙にボディタッチが多くて失礼だな〜と思っていたら泊まりがけの仕事の際に当然のようにベッドに連れ込もうとして、断ったら激怒してパートナーシップを解除した上で私の悪評をばら撒きまくったの。

 退魔協会にクレームをつけて悪評を何とかしてくれって文句を言ったら、次は旧家のお坊ちゃまを紹介されて」

 ギリっと音を立てそうな勢いでガレットにナイフを入れながら谷敷さんが言った。


 お坊ちゃまかぁ〜。

「なんか地雷臭がするわね」


「何度か仕事を一緒にこなして、比較的まともかな〜と思ったらある日仕事の帰りに家でお茶でもって誘われて。

 断ったんだけど、何度か誘われたからもしかしたら旧家ではそうするのが常識なのかと思って一度行ってみたら……物凄い押しの強いオバ様にいつから子供を産めるかと聞かれて。

 一般家庭出身の女なんて本当は嫌なんだけど、3人兄妹だから子沢山家系って事で特別許すのよ!なんて言われて」

 深くため息を吐いた谷敷さんがガレットを口に突っ込む。


 うわぁ。

 愛人希望だと思う酷い男に関してクレームをつけたら、結婚をせっつく母親に圧迫されている旧家のお坊ちゃまを紹介されたのか。しかも家族構成を調べられてるって……。


「女性と組みたいって要求したら?」

 数は少ないが、こないだの綾杉さんだって女性だ。

 結婚した後も働く女性だっているだろうし。

 まあ、子供産めプレッシャーが強すぎたらしょっちゅう産休と育休で仕事を休んでいて、パートナーが実質いないなんてことになりかねないかもだけど。


「どうも女同士で仲良く仕事をさせたくないのか、やたらと気位の高いお嬢様的な人を紹介されて二、三回依頼をこなしたら向こうから『ガサツ過ぎて一緒に仕事を出来ない』とお断りされ、次は女でもやっていけるのよ!!って戦ってきたらしき50代の怖いオバ様でやたらと上から目線で何でももかんでもダメだしする人で。

 ちょっともう、折れそうなの」

 少し涙ぐみながら谷敷さんが言った。

 うわ〜。


 まあ、考えてみたら碧だってパートナーとして許容範囲内な女性術師を退魔協会に紹介して貰えなかったから私と会った時にフリーだったんだよね。


 退魔協会がパートナー紹介がやたら下手なのか、敢えて酷いのを紹介して諦めて独身男性と働くのに合意するよう誘導しようとしているのか、相棒がいない退魔師業界の人が皆色々と問題ありまくりな人が多いのか知らんけど。


 大変そうだねぇ。


「う〜ん。

 同情するけど、それでもウチの事務所には入れられないわねぇ。

 2人で仕事しているのにもう一人来られても仕事の振り分けが面倒になるだけだし。

 取り敢えず、家に帰ったら藤山さんに誰かパートナーを探している女性の知り合いが居ないか聞いておくけど、期待はしないでね」

 その程度はしても良いだろう。


 そんな人がいるかは知らないが。



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― 新着の感想 ―
せっかく大金かけて一人前になったのに パートナーが見つからないせいで 仕事がうまく行かないのであれば そりゃあ一縷の望みにでも縋りたくなるでしょうね
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