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手早いねぇ。

「それってどこで売ってるの?」

ガラスカッターで器用に窓ガラスを丸く切り抜き、腕を差し込んで鍵を開ける碧に思わず尋ねる。


もしかして退魔協会って泥棒用の道具も一通り売ってるの??

普通に入れる1階の売店では見かけていないと思うけど。


「ネットで買えるよ。

勿論名目は泥棒用じゃなくて工芸のガラス細工に使う用としてだけど。

流石に鍵のピッキング用の道具は一般人が簡単には買えないし使うのに練習が必要だから、窓が切れない様な強化ガラスを使っていたら諦めて侵入のプロを退魔協会に手配して貰うけど、意外とガラスカッターでなんとかなる家が多いんだよね〜」

コンパスで円を描く様な感じにガラスカッターを動かした碧がぐいっと捻り引っ張る様に手首を動かすと、円形に切れたガラスがパリンと小さな音と共に割れて碧の手に残った。


うわ〜。

窓ガラスってこんなに簡単に切れるんだ・・・。

一人暮らしするならガード用に犬をゲットすべき??

魔力の節約の為に結界とかは張っていなかったが、寝る前のセキュリティに関して真剣に検討した方が良いかも。


窓ガラスの穴に腕を突っ込み、鍵を開けた碧があっさり掃き出し窓を開く。

警報がなるかと一瞬身を固くしたが、特に音が鳴る様子はない。


「結局、こんな豪邸に住んでいるのにホームセキュリティは無い訳??」

悪事をやっているのだ。

探知結界を展開した上で現代の警報技術も使ったホームセキュリティを活用するのが一番だと思うが。


「セキュリティ会社のステッカーが見当たらないから、契約していないみたい。

魔術でなんとかなると思っているのかしらね?」

肩を竦めながら碧がペンキ塗りなんかの時に使うシューズカバーを靴に嵌めて家の中に入った。

おっと。

私もカバーをつけて手袋をしなくちゃ。


一応、呪師が行方不明になっても警察は来ない様に退魔協会が話を付けるはずだが、呪師の名前も分かっていないので根回しの手配が終わる前に想定外な方向から警察に行方不明に関する連絡が行く可能性はあるので、下手に捕まる様な情報は残さないでおく方が良い。


家を出る前に諸々を渡された時はなんじゃいなと思ったけど、なるほどこう言う侵入方法ならシューズカバーと手袋はあった方が良いよね。


家の中に入り、霊視で人の存在を探したら2階に誰かがいるのが分かった。

寝ているのかな?

スタスタと進んでいく碧の後を続いたら、階段を登って直ぐの部屋に辿り着いた。


寝てるみたいだけど、更に眠りの術を掛ける方が良いかな?と思って術を準備したが、碧が男の頭に触れたら呼吸が更に深くなり、意識が夢すらみないぐらい深く沈むのが感じられた。


「眠らせたの?」

「昏睡状態にしたの。

眠りの術だと刺激で起きる可能性もあるでしょ?」

碧がテキパキと手錠を男の足首と手に嵌め、猿轡を噛ませながら言った。


ちょっと心配になったので紙人形を取り出して、もう一度確認する。

うん、間違えてない。

こいつがこの紙人形を作った人間だわ。


夜中に不法侵入して手錠まで掛けて連れ出したのに実は関係ない人間だったなんて事になったら目も当てられないからね。


しっかし。

白魔術師って人を昏睡状態にも出来るんだねぇ。

まあ、癒すだけでなく痛めつけるのも白魔術師が一番優れていると前世では言われていたけど、あんまりそう言うのを直に見なかったからなぁ。

白魔術師の危険性に関してあまり実感が無かったんだけど、ある意味白魔術師と黒魔術師が組んだら悪事をやり放題じゃない??


あっけに取られた私がぼんやりとそんな事を考えている間に、碧が寝室の中を探し終わった様だった。

「ここには無いみたいね。

まあ、一人暮らしの様だし、寝室に書類を置く必要は無いわよね。

後は・・・書斎でも探そう。

全部PCに入っているなら退魔協会の専門家に任せなきゃだけど、意外とこの年代だと紙の記録が残っている事が多いからね」


うう〜む。

「慣れてるねぇ」


「練習として父親の捕縛依頼に何度か同行したからね。

慌てなければ意外と簡単だよ?」

碧があっさり答え、部屋から出ていった。


私は・・・ちょっと用心しつつ呪師の精神を読んでみるか。

記録がどこにあるのかの記憶だけでも読み取れれば、全部調べる手間が省けるだろう。


呪師の精神に触れるのなんて危ないが、ここまで深く意識が落ちている状態だったらかなり無防備な筈。



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