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任意聴取?

「うわ、立派な家〜」

目的地に近づいてから正確な場所を特定するのに多少時間が掛かったが、11時前には紙人形の作り主の家に辿り着いた。

大きな庭があって垣根で囲まれている、東京ではあまり見ない様な中々の豪邸だ。

周辺の家も色々バリエーションはあるものの豪邸ばかりだから、日本にも金持ちは居るところにはいるんだね。


まあ、前世の高位貴族の屋敷とかとは全然ランクが違うけど。

サイズ的には前世の豪商の屋敷程度かな?


最近のIT起業家なんかで大金持ちになった様なのは六本木とかの超高層マンションとかに住んでいるという話を聞くから、庭付きの豪邸って東京ではあまり無いんだろうと勝手に思っていたが・・・単に私がそう言う富裕層の家に縁が無かっただけのようだ。


ゆっくりと碧が車を動かしながら周辺を見て回る。

ある意味当然の事ながら、周囲に車を停められるようなコインパーキングもコンビニも見当たらない。


「下手に道端に止めておいて警官に首を突っ込まれても困るし、符を使って外周にある電源を焼き切った後に正面の門を開けて、家の電源が生き残っていたらもう一枚符を使おう。

雷と違って音はしないから、符を使っても直ぐには気付かれないと期待しておこう」

碧が正面の方へ車を回しながら言った。


中々ダイナミックな攻略法ですね〜。

まあ、塀をよじ登っている所を警官に職務質問されたくは無いから意外と無難かな?

住み込みの警備員がいたら監視カメラが落ちたら即座にバレるかもだから、人が出てきたら声を出される前に眠らせられる様に術を準備しておくつもりだけど。


「インターフォンに貼って起動すれば良いのね?」

車を降りながら碧に確認する。


「インターフォンで来客を確認して解錠する事が多いから、同じ電源を使っていると思う。

もしも門の鍵が掛かったままだったら鍵の方にも貼って起動させて。

どうせ経費として請求出来るからケチらなくて良いよ」

碧が頷きながら言った。


ふむ。

まあ、停電したら門が開かなくなって閉じ込められると言うのは困るだろうから、電流が通っていたら施錠状態になる形式の方が良いよね。

電気系の機械に私の能力は全然効かないから、符で上手くいくと期待しよう。


警備員が門に詰めていてくれたら術でなんとか出来たんだけどねぇ。

機械化・自動化は黒魔術師にとっては鬼門だな。


そんな事を考えながら、インターフォンに近づいて符を貼り付ける。

少なくとも私だったら警官とかが寄ってきても無力化出来るから、他の適性の魔術師より穏便だよね。

雷系の適性持ちだったら符を使わないで済むんだろうけど。


「起動」

符に魔力を通す。


バチっと小さな火花がインターフォンから飛び、カメラの赤いランプが消えた。

うっし。

ちゃんと符が機能した様だ。


碧に親指を上げて見せてから正面門の方へ近づき、手で押す。

鍵のかんぬき部分が引っ込んだのか、あっさり門が左右に分かれながら奥の方向へ動いた。


期待通りこちらも同じ電源だった様だ。

やったね!


急いで門を左右に開き、とレンタカーが中に入ったら持ってきたチェーンで門を閉めた。

開けっぱなしにしたら人目を引くかも知れないし、万が一呪師が逃げようとした際に足止め出来たらめっけものだ。

自転車用のチェーンなのでよく見るとちゃっちいが、手で引っ張って千切れるほどは弱く無いのでこれで用は足すだろう。


碧も車から降りて、家の方へ近づく。

「で、どうやって入るの?」

鍵開けなんて特技は身につけてないぞ。

第一、鍵を開けてもチェーンが掛かっているだろうし。


「じゃじゃ〜ん」

碧が何やら細い棒に尖った何か付いている道具を取り出した。


「・・・退魔師って個人宅への違法侵入スキルも必要な職種だったの?」

ちょっと想定外なんだけど。


「所有者が分からなくなった古い幽霊屋敷なんかで実際に悪霊がいる場合なんかは、窓を割ったりドアの蝶番を外して入る事もあるって父親に色々と教わったんだよねぇ。

呪師を捕縛する依頼って言うのはいつの時代でもあるし。

現代風に手法をアップデートしてホームセキュリティへの対応もその際に情報は貰ったんで、それを試せると思って色々と準備してきたの〜」

碧がにこやかに小声で教えてくれた。


なるほど。

呪師捕縛依頼と言うのはそれなりにあるのか。

確かに、普通に呪詛返しするだけじゃあ依頼主を抑えられるかは不明だしね。


ちょっと想定以上にワイルドな依頼になったなぁ。

夜中に呪師の家を特定するにしても、翌日にインターフォンを鳴らして『退魔協会まで同行して貰います』と警察の任意聴取みたいな感じで引き摺り出すのかと思っていたよ。



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