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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学4年

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マジで来た

「お父さん?

 さっきのお見合いの話だけど、もう断った?

 ……ああ、まだなんだ。じゃあ、取り敢えずなんで話が出てきたのか分からないと気持ちが悪いから、もしもその相手の人が東京に来るついでがあるなら、一度会ってみて話を聞いた上でお見合いをするか決めたいって伝えてみてくれる?」

 取り敢えず、父に電話してお見合いの話を持ってきた向こうに会いたい旨を伝えてもらう事にした。


 もう断っているかもとも思ったが、プライベートな話だし日中は向こうに連絡するにしても夜になるかもと思って電話してみたら案の定まだだったそうだ。

 と言うか。

 考えてみたら仕事の相手にプライベートなお見合いなんて話をした場合、連絡先は個人的な番号を伝えるんだよね?

 流石に会社の電話番号は使わないと思うが、どうなんだろ?


 それよりも、取引先と個人的な関係を持つのって不味く無いんかね?

 下手をしたら情報漏洩とか利益相反な状況になりかねないでしょうに。

 社内とか、グループ内の知り合いとお見合いっていうのはまだしも。取引先と親戚関係になるのって社内規範的に制限されて無いのかな?

 銀行のお偉いさんの娘とそこから融資を受けている企業の人がお見合いするって言うのは『あり』な気がするし、中小企業だったら場合によっては推奨されるかもだが、商社とメーカーじゃあねぇ。


 何故か美味い食事と酒が入ると少し知能指数が下がるっぽい父親はまだしも、取引先の出来る男だとかいう部長さんはそこら辺の問題点とか意識してても良さそうなもんだよね。


 まあ、どちらにせよ。

 成就する可能性が低そうな遠距離見合いをやるかどうかを決めるために東京に来いなんて話は、酒の勢いで出ただけのお見合いの話だったら『じゃあ、縁がなかったってことで』で終わる筈。

 これで東京に来たら、マジで何か裏があると考えても良さそう。

 これで来なかったら、単なる偶然だと思ってスッパリ忘れよう。


 ◆◆◆◆


 来なければスッパリ忘れられると思っていたのだが。


「田中さん、これがウチの娘の凛です。

 凛、こちらが◯川製作所の田中部長だ」

 マジで来たよ〜。


 最初から断る気なのに、東京まで来させちゃってちょっと申し訳ない気がしないでも無い。

 でも、裏があるお見合い話なんて、実質お見合いじゃないよね??

 だから私の要求だって理不尽ではない筈。


「長谷川 凛です」

 軽くお辞儀をしながら挨拶を交わす。

 父親世代の知らない人と昼食と言うのもなんだったので、ちょっとお茶でもと言う話になった。30分程度で終わらせたいところだなぁ。ケーキとお茶なら十分食べ終われると思うんだけど。

 きっと出来る男なら東京まで来たら他に会う人や、やる仕事もあるよね??

 流石に情報を抜き取る気満載な小娘とのお茶のためだけに北海道から東京まで飛行機に乗ってきたとは思いたく無い。

 もしかしたら新幹線かもだけど。


「じゃあ、後はお二人で」

 仕事の合間に紹介のためだけに抜け出してきたらしき父親は微妙に後ろ髪を引かれているような顔をしていたが、諦めて仕事に戻って行った。

 私らは父親の勤務先の近くにある、美術館の一部みたいな明治時代の銀行だった場所をリフォームしたカフェへ。

 お洒落だし、予約できるし、比較的席が離れていて静かだしと言う事で父が急遽予約を入れたのだ。

 ホテルでのお茶はパパ活のイメージに繋がりかねないので、遠慮した。

 会ってみたらそれなりにスタイルがいい出来る男風な人だったから、少なくとも金で女子大生をゲットしなきゃいけない情けないおっさんには見られないとは思うが、上司と部下と思われなかったら愛人と誤解されそうだから、やはりホテルは避けたい。


『クルミ。

 そっとこの人に足にでも貼り付いておいて』

 席に案内されている間に隠密型クルミを亜空間収納から出して、頼んでおく。

 テーブルの下にある足だったら本人にも周囲の人間にもバレにくいだろう。

 近距離だったらこれで本人が嘘を言っているかとか、隠している情報を読み取れる。

 多分。

 能力持ちで無ければ。


 適当に頼んだお茶とスイーツが届いて落ち着いたところで雑談をやめて、さっさと本命の質問にいく。無駄話をしても得るものは無いからね〜。


「田中さん。

 お見合いなんて苦しい言い訳で私と接触しようとしたのは何故なのでしょうか?

 教えて下さい」

 ちょっと言葉に魔力を込めて説得力を付け加える。


 絶対に話す気が無いのを無理に捻じ曲げる程の力は込めていないが、話す気があるならさっさと本題に入ろうかと思わせる程度だ。

 流石に何も話す気が無かったら態々東京まで来ないでしょう。

 ……来ないよね??


「やはりお見合いっていうのは苦しいかな?

 ちょっとストレートには頼み難かったので、とっかかりにでもなればと思ったのだが。

 凛さん。

 北海道に引っ越してあちらで退魔師として働く気は無いかな?」

 苦笑しながら田中さんが聞いてきた。


 ええ〜〜〜?

 マジで北海道への移住勧誘だったの??

 退魔協会経由で依頼を出せば良いじゃん。

 まあ、指名依頼は高くつくし、毎回私らの交通費や滞在費を払わなきゃいけないし、源之助のことがあるから余程の案件じゃ無い限り泊まり掛けの仕事は断るけど。


 でも、だからってお見合いの話を持ってくる??

 これで結婚する!なんて私が言ったら息子さんはどうするつもりだったんだろ??

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>父親の勤務先の近くにある、美術館の一部みたいな明治時代の銀行だった場所をリフォームしたカフェ 東京駅近くの? お父さんってまあまあエリートだったり?
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