表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学4年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1389/1406

後始末?

 床に蹲ったままの中年女ジンウィーを無視して、碧が今出てきた扉をもう一度開き、中に声を掛ける。

「貴方の監視役が私に襲いかかってきたから反撃したら、動けなくなっちゃったみたい。

 彼女と逸れた時にでも使う緊急連絡先はあるの?

 さっさと帰国して貰いたいんだけど」


『碧を攻撃したのでやり返したらお主の同行人は動けなくなったようじゃ。

 誰か連絡先を持っているなら、其奴に連絡して、あの女を引き取って国を出ていけ』

 白龍さまが中々キツい意訳を赤龍チーロンさまの愛し子(アブドゥル)に伝えた。


「は? え? ……うわ?!」

 驚いた時の単語にならない音ってどの言語でもそれ程違いはないんだね。

 と言うか、驚き過ぎて言葉以前の音を発していたから、それを勝手に私の耳が状況的にこんな声を出すだろうと解釈して音を当てはめたのかも?

 脳って意外と色々と補足して意識の方に情報を伝えるからね。


 部屋の中から出てきたアブドゥルが、おっかなびっくりに廊下に蹲る中年女ジンウィーを見て今度はもう少し落ち着いた(?)驚きの声を上げた。

 こちらだって、ああも露骨に白龍さまの愛し子を攻撃するとは思わなかったから、驚いたんだよ? あっさり撃退できるから嬉しくもあったけど。天罰ディフェンスって隠れて出てこない黒幕を排除するのに効果抜群だからね〜。


 ある意味、もしも誰かがアブドゥルに襲い掛かったら赤龍チーロンさまがそいつを一瞬で焼き尽くしているだろうから、体に異常が無い白龍さまの報復は優しいと言っても良いだろう。

 中国で悪事の謝罪行脚なんぞし始めたら、あっという間に権力者に消されちゃいそうな気もするけど、それは向こうの都合だからね。


 単に横領をしてたとか暴力振るっていたとかなら良くある悪事であまり騒ぎにもならないだろうが、今回は黒魔術師なのだ。

 本人が自分の為にやってきた悪事も十分色々とあるだろうが、権力者の為に邪魔な人間を目に付かぬように排除するとか洗脳して言う事を聞かせたとかなんて悪事も多いだろう。

 さっきの洗脳攻撃もかなり手慣れていたし。

 とは言え力技に近い感じであまり洗練されてなかったから、そこまで黒魔術師は現代中国の中には多くは居ないのかな?

 権力者が黒魔術師を多数所有してしっかり訓練させて使いまくっている状況だったら、もっと力の使い方も研究されて効率化されているだろう。前世の私たちのように。


 あの国って文化大革命だっけ?の時代に知識層や元権力者の子孫とかの生き残りを殺しまくったみたいだから、その時に中国版の退魔師もガンガン殺したんだろうねぇ。

 呪詛とかの対処の為に必要最低限は残しただろうけど。共産党権力下では宗教も実質禁じられたから、呪詛を返す方法ってどのくらい残ったのかちょっと気になるところだ。

 とは言え、以前のゾンビ作成術みたいのは残っていたんだから、普段から表に出せないようなヤバい術が多めに残されたんだったりして?


 そう考えると、あっちの裏社会とか権力層とかって残ったヤバい術で蠱毒の如き熾烈な殺し合いをやっているのかも。

 そんな連中に日本の世襲政治家が対応できないのも不思議はないかな〜。

 少しは頑張ってよね?

 ある意味、ちょくちょく碧を狙って自爆しているようだが、人口が多いのだ。

 余計な事をしてくる権力者も多いのだろう。


 暫く足元の中年女ジンウィーを呆気に取られた様に見下ろしていたアブドゥルだが、赤龍チーロンさまに突かれて、慌てて自分のポケットから携帯を取り出して連絡先を選び、呼び出し始めた。


 最近じゃあ日本人が中国に行く際は自分の携帯やPCを持って行かない方が良いって話だけど、日本に来る分にはそう言う用心が必要なくて良いよねぇ。

 ちなみに連絡先はどこなんだろう?

 普通に大使館なのか、それともどこぞの秘密警察っぽい裏組織の日本支部みたいなところなのか。


 退魔協会の職員の前で堂々と呼び出しても良い番号だったのだろうか?

 暫く中国語(多分)で話し合っていたアブドゥルが、やがて携帯電話を遠藤氏に渡した。

 どうやら埒があかないから説明できる人物に代われと言われたらしい。


「はい。

 ええ。

 ですが……。

 こちらとしても、突然日本の退魔師に掴み掛かろうとしたところで倒れたので、驚いているんですよ。

 本来でしたら傷害罪で警察に告訴してもらうところですが、その前に倒れたので、取り敢えずそちらに回収して頂きビザを取り消して2度と日本に入国できない様に政府に手配するだけで手を打とうと思っていますが。

 本格的に司法の場で争う方が宜しいですか?」

段々話しているうちに遠藤氏の声が低くなり、最後には脅しつけるような口調になっていたのは驚きだった。

 遠藤氏ってこんな話し方も出来たんだね!?


暫くやり取りした後、通話が終わり、遠藤氏が携帯をアブドゥルに返した。

「暫くしたら大使館から迎えがくるそうです」

『大使館から迎えが来るそうじゃ。

 何だったらこちらに亡命するか? 協力しても良いぞ?』

 白龍さまが遠藤氏の言葉を訳し、ついでにおまけの質問まで付け加えた。

 そんな事言って、良いの??


 アブドゥルが目を丸くしたが、残念そうに首を横に振った。

 まあ、同胞の待遇改善を盾にとられたんじゃあ一人だけ逃げる訳にもいかないよねぇ。

 育った環境が悪ければ同族意識もなく、さっさと逃げる!!と思う事もあるだろうが、どうやらアブドゥルの過去はそこまで悪くはなかったらしい。

 良かったと言うべきか、残念な事にと言うべきか、微妙なとこだね。


「では、これ以上あの国の関係者と顔を合わせたくないので、先に帰りますね」

 碧が遠藤氏とアブドゥルの告げて、あっさり階段のほうへと向かった。


 さて。

 この後はどうなるんだろう?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
むしろ権力中枢は有力な呪術師の一族が掌握してそうです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ