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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学4年

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参考にして下さい

 会議室の外を出たら、中年女ジンウィーと遠藤氏が立っていた。

 遠藤氏は中年女ジンウィーをどこかに案内しようとして失敗して、しょうがないから付き合ってここで待っていたって感じかな?

 いや、付き合ってと言うか、潜在的敵対国のエージェント疑惑が濃厚な人間を退魔協会の中で自由に歩かせ回る訳にいかないから見張っていたと言うのが実情に近いかも。

 2階の会議室って一応下の一般に開放されている部分から入れるけど、裏の階段を降りると協会職員が働いている部屋のそばに出るんだよね。

 うっかり中年女ジンウィを自由に歩き回らせて、彼女が素知らぬ顔をして職員のスペースに入り込んだりしたら困る。席を立った誰かのPCから協会のデータベースにアクセスされたりしたら不味すぎるだろう。


 本来だったら席を立つ時はPCの画面をロックすべきだけど、日本人ってそう言う点のセキュリティ意識が薄いからなぁ。

 ロックしてなかったり、もっと酷い場合にパスワードのメモをPCのスクリーンに貼り付けてたりしている可能性もゼロではなさそう。

 中年女ジンウィーに日本の退魔師情報を全部抜き取れたら、碧の誘惑が失敗してもお釣りが出るぐらいの成果になるだろう。そんな事をやらせる程、協会(もしくは遠藤氏)が無能でなかったのは幸いだ。


「冗談かと思っていましたら本気で私との結婚を求めているようですけど、日本語を話せない相手とは結婚を前提にしたお付き合いどころか友人関係すら無理なので、ご自分の母国で日本語の勉強を頑張って下さいと伝えて貰いました。

 セキュリティがしっかりしたアメリカか日本のアプリ経由なら動画で時折話し合って日本語の勉強に協力してもいいですが、日本へ語学留学するなら日本語の日常会話が普通に出来るようになるまで会う気も通話する気もありません」

 碧が遠藤氏と中年女ジンウィーに告げた。


 ムッとした様子で中年女ジンウィーが碧を見据え、早口な中国語(多分)に魔力を込めて話し始めた。

『愛し子同士、仲良くしたいでしょう?

 偉大なる大国の役に立つためにも、求められる通りにしなさい!』

 うわ〜。

 黒魔術師の才能持ちで、ここまで人前で露骨に意思誘導(と言うか出力的には洗脳一歩手前だね)をやらかす人なんて初めて見た。

 だけどこっちは一応それにも備えていたからね。


 ビシィ!!

 碧の周りに展開しておいた結界に中年女ジンウィーの力が弾かれ、その力をモロに食らったジンウィーが床を転がる勢いで倒れた。

 一瞬呆気に取られたように我々を見た中年女ジンウィーだが、次の瞬間頭を抱え込んで床に伏してしまった。


 あらぁ?

 カレンの時と同じような天罰ディフェンスを準備しておくと白龍さまは言っていたけど、碧に謝るぐらいなら床に蹲るんだ?

「ザンさん?」

 遠藤氏が恐る恐るそっと中年女ジンウィーに声をかける。


『碧の意思を無理やり変えようと力を使うなど、許し難い暴挙!

 しっかり今までの悪事に関して被害者から許しを得るよう、真摯に謝るのじゃの』

 白龍さまが現れて宣告した。


 もしかして、中国のお偉いさんは碧の天罰ディフェンスの事を信じてなかったのかね?

 前回のハニトラ騒動ではそれ程強烈なのじゃあ無かったかもだけど、天罰を喰らった人が出ても実在しないと無視しちゃうほど、下っ端の人の悪さだったの??

 あの国って上が何もかも命令しているのかと思っていたんだけど、ある程度の権限がある人間は勝手に自分の利益の為に色々と権力を悪用して悪さをしているんかな?

 毎年のように汚職や贈収賄で政府高官が捕まったと言うニュースが流れるもんねぇ。摘発のタイミングは政敵の排除や国民の不満を逸らすためと言ったトップの都合重視なんだろうが、実際に贈収賄をしている人は幾らでもいそうだし。


 アメリカだったら誰が変な謝罪会見をしているのかとかのやらかし情報がネットで見つかるけど、中国じゃあインターネットも国がほぼ管理しているらしいからなぁ。

 誰がどんな不思議な謝罪行脚をしているかの情報は入手出来なそう。


 でも、少なくともこれで赤龍チーロンさまの愛し子(アブドゥル)に碧へ変なハニトラもどきな行動を強要する人間が居なくなるかな?

 代わりに彼の同胞の待遇を良くする約束も無効になりそうだけど。

 まあ、どちらにせよ。碧が彼と結婚するのも卵子を提供するのもあり得ない事なんだから、失敗したな!とイチャモンつけられないだけ、良い事なんじゃない?


『ふむ。

 お主の言っていた天罰とはそう言うものなのか。

 確かに命じた元の人間までことわりを辿れるのは便利そうだな。

 そちらは無理にしても、やった本人に直接的な攻撃ではない罰を下す程度なら出来そうだ』

 白龍さまの横に赤龍チーロンさまが現れて、興味深げに床に蹲っている中年女ジンウィーを観察し始めた。


 アブドゥルに暴力を振るった相手をその場で灰にするのは現代社会だとちょっと問題だが、下痢にするとか悪い事をした相手に謝らなければ耐えられない状態にするとか言った報復だったら直接責任を問われなさそうで良いよね〜。


 これでアブドゥルも人生が過ごしやすくなると期待したいところだね。

 19世紀とか20世紀初期ぐらいまでだったら侵略してきた相手を焼き尽くして追い払えばそれなりに自分たちの生活を守れただろうけど、現代じゃあ少数民族を弾圧する中央政府を炎で撃退するのは難しいからねぇ。


 なんとか状況を改善できると良いね。

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― 新着の感想 ―
これは大陸に天罰が吹き荒れる予感
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