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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学4年

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会話とも言えない対話

「ありがとうございました、赤龍チーロンさま。

 さて、アブドゥルさん。

 何が目的で日本へ来たんです?

 偉大な存在の愛し子になった者同士の親交を図るって態々通訳を連れて海外に行ってまでしてやる事じゃないですよね?」

 中年女ジンウィーが出ていったのを確認して、碧がアブドゥルに尋ねた。


『お主、何しに来たんじゃ?』

 白龍さまが碧の言葉を通訳……と言うか本音を短く意訳した。

 こう言う信頼感ゼロな状況だと、ソフトに柔らかくした社交辞令部分を削除して意訳されると会話が続かなくなりそうな感じだねぇ。

 まあ、本音で話し合えるのは良い事かもだけど。


 アブドゥルがちょっと困った顔をしながら何か中国語(多分? もしかしたらウイグル語とかその他どこぞの少数民族の言語の可能性もあり)で暫く何かを説明し、話し終わったら赤龍チーロンさまを期待するように見つめた。


『国のお偉いさんから、お主を誘惑して中国本土へ移住するよう説得しろと言われている。

 移住が無理だったら、日本で暫く近くに暮らして情を持ってもらうようにするのでも良いそうだ』

 赤龍チーロンさまがあっさり述べた。


「日本から出る気は無いわ。

 それに、氏神さまに間に入ってもらわなきゃ意思疎通できない相手と結婚なんてどう考えても無理だし、仲良くなるのも難しいわね。

 あなただってそう思うでしょ?」

 碧があっさり断りを入れる。


『無理だそうだ。

 それに言葉が通じないのでは問題外だ』

 あっさり白龍さまがアブドゥルに告げた。


 う〜ん。

 マジで龍に通訳を頼むのって少し無理があった気がしてきた。

 でも私が念話で通訳をするのも微妙だしなぁ。私が黒魔術師だと言う情報がどこまで漏れているのかは知らないけど、態々洗脳を狙ってくるかも知れない危険な陣営の人間に教える必要はない。


 困った顔をしたアブドゥルが一生懸命何かを話す。

『日本語ならこれから頑張って勉強するぞ?』

 赤龍チーロンさまが訳する。短い。


「じゃあ、日本語をマスターしてからまた来てください」

 碧がばっさり切って捨てた。


『儂等抜きで話し合えるようになってからまた来るんじゃの』

 白龍さまが告げる。

 これってもう、微妙に通訳になってない気がする。

 でもまあ、意思の疎通は一応出来ているんだから良いのか?

 下手くそな通訳を雇ったりすると、政治家や事業家の外国人との会話ってこのぐらい身も蓋もない内容に変容するのかな? ちょっと怖いぞ。


 アブドゥルが慌てて何かを言い、懇願するように碧の手を取ろうとするような動きを見せたが、無情にも碧がさっと机の上から手を退けてしまったのでアブドゥルの動きは空振りになった。

『此奴の同胞への待遇改善の条件がお主との結婚か、子供か卵子の中国への持ち帰りなのだが。

 取り敢えず、こちらで日本語の勉強をしている間に定期的に会って付き合えているっぽく見せてくれないか?』

 赤龍チーロンさまが向こう側の狙いをあっさりバラした。

 やっぱそうかぁ。

 子供を持ち(連れ)帰るって、結婚してもある日家に帰ってきたら夫と子供が居なくなっていたって事になる訳??


 日本って国際結婚した際の子供の扱い?に関するハーグ条約だっけ?に締約してるんだっけ? 中国が入っているかどうかも不明だが、日本人駐在員の人権すら保障されない国なのだ。国の命令で子供が連れ去られたら、まず再会は無理だろうなぁ。

 それこそ、取り返した時には精子(もしくは卵子)が出来ている年齢になっていて、採取しまくられたトラウマでおかしくなってそう。

 いや、流石に碧の子だったら白龍さまが天罰ディフェンスで守るか?

 赤龍チーロンに守られた父親に連れ去られる事自体を止められるかは微妙な気もするが。

 龍同士の戦いが東京で起きたりしたらヤバすぎる。

 つまり、そもそも彼と結婚して子供を産む事自体が危険満載ってことだね。


「露骨に日本の術師を狙いそうな相手に意味もなく日本へ長期滞在されるのは遠慮したいの。日本語の勉強はやるなら中国本土でやって、上手くなったら日本へまた来ればどう?

 なんだったら安全そうなアメリカか日本のアプリの動画でなら定期的に話すのに付き合っても良いわよ?」

 ちょっとアブドゥルの状況に同情したのか、碧が少し譲歩してみせた。


『悪巧みをしているような人間を日本に滞在させるのは反対じゃ。

 まずは喋れるようになってからまた来るが良い。

 安全なアメリカか日本のアプリの動画でならたまに会話するのに付き合っても良いぞ』

 白龍さまが訳する。


 と言うか、結婚してとか卵子をくれって要望は問題外過ぎて話し合う価値もないって感じでスルーされたね。

 まあ、あり得ない提案にまともに付き合うのなんて、時間の無駄だよねぇ。


 がっくりと肩を落としながらアブドゥルが何か言った。

『ジンウィーと相談する』

 赤龍チーロンさまが言葉少なく訳した。


「じゃあ、私たちは帰りますね!」

 さっと碧が立ち上がってあっという間に扉に方に近づいていた。

 おっと。

 私も帰るよ〜!

 なんか結局私ってば一言も口をきかなかったな。

 まあ、今回はモラルサポートだったってことで。



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オブラートを全部剥いだ上で全力でぶつける通訳w
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