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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学4年

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ニュースが楽しみだ

 尻餅をついたカレンが一瞬呆然としたようにフリーズした。そのままぎゅっと目を閉じてからゆっくりと目を開き、真っ直ぐに碧を見つめて口を開いた。

『ごめんなさい。

 政府の役人に言われて、貴女の意思を曲げてまでしてアメリカに連れて行こうとしました。

 お金が必要とは言え、許されることではありませんでしたね。

 許しを求める権利があるとも思えませんが、謝罪いたします』

 念話を込めているから何を言っているか分かったし、真面目で真摯な様子だったけど……頭を下げていないのは日本的な認識としてはちょっと違和感を感じる。

 挨拶で頭を下げるのって東洋の慣習だと聞くけど、謝る時に頭を下げるのもだったんか。

 考えてみたら、前世でも謝る時に普段は特に頭を下げなかったなぁ。

 王族相手に何かの失敗を責めらる時なんかは土下座した上で頭のグリグリと踏み躙られる事も多かったけど。


 テレビなんかで時々見る、謝罪会見で勢いよく頭を深く下げて沈黙したまま暫く静止状態で居るのもちょっと不自然だな〜と思う事は多かったんだけど、本気で誤っているのに頭を下げないのも微妙に不思議な印象だ。


 なんで急に謝ったのかは不明だが。

 これも天罰の一環?

 それとも天罰を喰らった事を自覚して、自発的に謝っているのかね?


「え、意思をマゲテってillegal use of powerじゃない!!

 Governmentの依頼ってどう言うこと?!」

 キャロルが混乱したように声を上げた。

 どうやら今回も碧の強制勧誘に関して直接的には関わっていないようだね。

 いい加減、自国の政府の人間がどんな事をやる傾向があるのか、理解しておくべきだとは思うよ?

 これに懲りて今後は誰かに碧を紹介してくれと頼まれても、断るようになって欲しいねぇ。


『私の大学の助成金を切られたのは知っているでしょ?

 部族の方も切られていた上に光熱費が大幅に値上げされて、皆で部族の土地を離れて出稼ぎに行く必要があるかって相談しているところに政府の役人が接触してきたの。

 ミドリ・フジヤマをアメリカに来るよう勧誘するのに成功したら、大学と部族の助成金を倍にして戻しても良いって。

 光熱費は関係ないらしくて助成金から払えと言われたけど』

 カレンが念話を使いつつ続けた。

 もうすっかり念話を使うのを隠す気も無いみたいだね〜。

 まあ、私らに説明しなきゃいけないのに話が通じないんじゃ意味がないもんね。でもこれって考えてみたらいつか海外旅行に行けた場合、全然外国語が出来なくても意思疎通が出来るって事だね!


「ちなみにどうしてアメリカ政府の人間がそこまで私に執着するのか、言ってましたか?

 アメリカにも回復師はいるでしょう?」

 碧が尋ねる。


『愛し子のパワーを持つ回復師は少ないし、下手にそう言う数少ない有名な回復師に依頼して健康状態に不安があることが世間にバレたら困ると思っているんじゃないかしら。

 何と言っても国民の人気を集めている今のトップはもうかなりの年だから、うっかり転んで骨折でもしただけでも大問題だし、死んじゃって副大統領に引き継ぎなんて事になったら次の中間選挙でボロ負けしかねないから』

 肩をすくめながらカレンが答えた。

 どうやらそこら辺の詳しい説明は彼女も受けていないらしい。

 ある意味当然か。

 捕まったら司法当局から色々と尋問されるような違法行為をするよう唆そうとしている相手に、依頼主側の実情を詳しく話すなんてアホ過ぎる。


「まあ、取り敢えず。

 大きな問題はなかったし、火の鳥君を助けようとしたのは事実だから、謝罪は受け入れます。

 駅まで送るから、さっさと乗って頂戴」

 碧があっさり頷いて車に乗り込んだ。

 ある意味、カレンはどうでも良いからね〜。

 命令を出した大元への天罰がどうなったのか、さっさと知りたいからアメリカ人の二人とは早くお別れしたいよね!


 二人を駅で下ろした後、適当な道で車を停める。

「結局、天罰は何になったんですか?!」

 待ちきれない!!


『うむ。

 今まで利己的意図の為に人に知られたら困るような事に力を使い害した相手に正式に謝罪して、それが受け入れられなければ許されるまで謝り続ける衝動が耐えられないぐらい強くなる天罰じゃ。

 今回は碧の意思を歪めようとしたのじゃからの。

 それを命じた人間の意思も歪めて、隠したい害意をしっかりと謝らせる事にした』

 姿を現した白龍さまが自慢げに言った。


 ふうん?

「力って魔力だけでなく、権力や暴力も入るんですよね?」

 助成金なんて話が出るとしたら政治家か役人なのだ。

 魔力や物理的な力を使った悪事は少ないだろう。


『勿論じゃ。

 法がどうであろうと、その者が振るえる力を人を痛めつける為に使ったら、それを正式に認めて謝罪せねばならん。

 取り敢えずここ1年ぐらいにやった悪事を全て認めて謝りまくれば1年程度で衝動も収まるはずじゃが、抗えば抗うほど、効果が長引く』

 楽しげに白龍さまが言った。


 おお〜。

 違法かどうか、関係ないんだ?

 確かに自分の権力や資産を増やす為に公にできないような行為に権力を利用したら、たとえ法の抜け穴を利用して司法上は咎められない行為だとしても謝るべきだよね!!


「でも、政治家なんかだったら被害者も街全体とか、野党支持者全部とかになりませんか?」

 ちょっと首を傾げながら碧が言った。


 確かに?

 それこそ最近アメリカの共和党がやりまくっている、自党の勝率を上げるための選挙区の引き直しなんかだって直接の敗者は対抗候補者かも知れないけど、本当の被害者は公正な投票が出来なくなった住民だよね。


『謝罪会見でもすれば良かろう。

 誠意を持って謝り、正しい状態に戻せば許されるのではないか?

 戻せないような悪事を働いたならば只管謝り続けるしかないの』


 うわぁ〜。

 政治の世界でやった悪事なんて、元に戻せない事の方が多いんじゃない?

 そうなると只管謝るしか出来ない役立たずに成り果てるのかな?


 諦めて、田舎で農業か林業でもするしかないかも?

 どのくらい上の人がこれから謝罪会見をやりまくるか、楽しみだね!





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― 新着の感想 ―
>国民の人気を集めている今のトップは 正確には 国民の半数からの人気と 残りの半数からの憎悪でしょうね
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