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バリア!

「こういう場合ってまずは相手に手を出させないと反撃できないけど、うっかり洗脳なんてされちゃったら嫌だわ〜。

 凛、なんかこう、バリアみたいのって出来ない?」

 碧がかなり嫌そうな感じに顔を皺くちゃに顰めながら聞いてきた。


 そうだよね〜。

 ラノベあるあるな突然異性に惚れちゃう魅了も寒気がするけど、そうじゃなくても洗脳されて他国が素晴らしい!!って突如移住を希望するようになるのも怖い。

 洗脳って掛けられて直ぐに解除できればそれ程大きな影響はないんだけど、うっかり潜在意識への働き掛け的な奥深い部分への効果に気付かなくてそこをきっちり解除出来ず、暫くしてから何かおかしいと調べて術の残滓が見つかってそれを解除した場合、変な反応が残ることもあるんだよね。

 今は私がそばに居るから変な術を掛けられたら直ぐに分かるし完全に解除出来ると思うが、トイレにでも行って離れた瞬間に表面から見えないような術を掛けられて、それに気付くのが遅れるとまずい。

 だが。

「短期的なバリアは可能だけど、それこそずっとっていうのは厳しいかな。

 ちなみに白龍さまは碧の精神に影響を与えるような変な術を掛けられたら即座に分かります?」

 解除そのものはデリケートな精神に対して白龍さまのパワーでやったら危険すぎるから無理としても、掛けられたら事さえ分かれば私が解除できる。

 と、思う。

 多分。


 何事も絶対はないけど、黒魔術の技能では私ほどみっちり教わり、それを使いまくってきた術者は現代地球には居ないと思うんだよね。

 何と言ってもこっちの世界では、人の精神を変に弄っているなんてバレたら多分業界団体とかに速やかに排除されるだろう。

 前世みたいに、王族の命令だったらかなりの事がやり放題な環境とは違うのだ。

 カレンもそこまで魔力がある感じじゃなかったし。

 まあ、そこは本人が私を上回る魔力制御力を有していたら隠しきれちゃう可能性もあるが。


『特に注意を払っていなければ碧が変な言動をしていた場合に何か臍を曲げるような不快な出来事があったのか、それとも誰かに術を掛けられたのかは分からぬ可能性もあるの。

 じゃが、警戒している間ならば術を掛けられたら即座にそれ倍増して反転した天罰を下せる。

 これで多分大丈夫な筈じゃが、一応更に精神を防御する術を掛けられるなら掛けておくと良いだろうの』

 白龍さまがちょっと心配げにふわふわと碧の周りを動き回りながら言った。


「取り敢えず、今は精神バリアを掛けておくね。

 東京に帰ったら、黒魔術の魔力を向けられたらピリッと警告痛がある上で防御するような符を何枚か作って渡すわ。

 一回防御したらそれで尽きちゃうような使い捨てタイプだし、聖域の雑草を使っても防御は短時間しか効かない程度だけど、ピリッとしたら白龍さまに呼びかけるようにすればそれで大丈夫だよね?」

 ちょっと記憶を読もうとする程度でも術者は天罰デフェンスを喰らっちゃう事になると思うけど、まあ人に対して精神系の魔力を使おうとする時点で自業自得という事で諦めてもらおう。

 天罰なら因果応報的な働きになる筈だし、表面的な記憶や感情を読む程度だったら大した反撃にはならないでしょう。


 最初に聖域の雑草を使った符を作り始めた頃に何通りか防衛用の符も作ったんだけど、最近は作ってなかったし持ち歩いてもいなかったんだよねぇ。

 外国勢力が碧の特異性と有用性に気付いたとなると、これからは油断せずに常時防衛用の符を身につけた方が良さそうだ。


『うむ。

 儂が幻想界に行くなりして離れる場合は更に注意が必要じゃが、そうでなければそれで大丈夫じゃろ』

 白龍さまが満足げに言った。


 うっし。

「じゃあ、取り敢えずバリアね」

 黒魔術の干渉を受け流して精神に届かないようにする防御用の術を碧に掛ける。

 前世ではお偉いさん用に精神干渉の術に対する防御用魔道具が色々とあってこんな術は殆ど掛ける必要が無かったんだけど、アクセサリー的な魔道具ですら持ち込めない様な場に王族が行くような状況では掛ける必要があるって事で、それなりにみっちりと仕込まれたんだよね。

 私が担当していたような下っ端でクソッタレな王族はそう言う重要な場に出ることは殆ど無かったから術を使う機会も然程無かったが、意外とまだ覚えている。


「はい、完了。

 じゃあ、これでカレンが何か仕掛けてきても大丈夫だけど……火の鳥君はどうする?」

 なんか地面に箱ごと転がしておくのも微妙な気がするが、洞窟を使った刈り取った後の雑草を保管している場所もイマイチ卵の置き場に向いていない気もする。


『そこら辺の木の根本にでも転がしておけば良いじゃろ』

 白龍さまが無関心そうに言った。

『はい、それで十分です!

 ここなら暫く魔素を吸収したら元の成体に戻れると思いますし!』

 火の鳥君が元気に付け加える。


 それで大丈夫なんか〜。

 普通卵って温めなきゃいけない筈だけど、考えてみたらここまで持ち込む間も箱の中に入れられただけで温められては無かったよね。

 まあ、もっと寒くなっても孵ってなかったらちょっと暖かそうな古くて着なくなったダウンジャケットでも持ってきて包んであげるかな?


 次に聖域へ雑草狩りにでも来た際に忘れなければ、持ってこよう。



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― 新着の感想 ―
なるほど、碧さんの精神支配については リスク特大でもリターンも特大だから 挑戦者は今後も現れるかも知れませんね
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