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火の鳥の親戚ですかぁ

「……まさかその紹介したい友人って異世界に行ってみたい究極のオタクとかじゃあ無いわよね??」

 キャロルの言葉に一瞬絶句したあと、碧が恐る恐る聞き返した。

 以前に捜索救助依頼が出された、婚約者を巻き込んだアホ御曹司みたいのだったら会うのも拒否一択だよ?!

 オタク心が昂った末の自殺未遂(と言うか、すぐに死ななくても帰って来れなければ社会的にはストレートに自殺だよね)に巻き込まれるのは良い迷惑だ。


 危険だからやるなと口を酸っぱくして忠告しているのに執拗に粘着してきて、そのうち根負けして境界門を使わせたら今度は家族や友人に自殺幇助したと責められまくってなんとか連れ戻してこいと粘着されるなんて、碧だって絶対に遠慮したいだろう。

 まあ、粘着も度が過ぎれば白龍さまが撃退してくれるだろうけど。


「いえ、オタクではなく、Native Americanで先祖のレキシに関して熱心にケンキュウしている人なんです。

 Native Americansのhistorical sitesにもよく行っているんですが、それ以外にもGreat Spiritが現れたってウワサを聞いたらソウイウところもジックリ回るんです。で、先日チョットThunder birdがアラワレタと言う噂が流れたところに行ったら、ヘルプを求める声が聞こえたラシクて」

 碧のドン引きな心境が感じられたのか、キャロルが慌てて一生懸命説明を始めた。


 ……あれ? サンダーバード??

 なんか聞き覚えがある名前だね。

 まあ、確かにUMA(未確認生物)の話を追っ掛けていたらサンダーバードの噂に行き当たっても不思議はないかも?

 それこそ、ネス湖じゃあるまいに隠れる深さも無い諏訪湖に龍が水遊びに来てるって言うのだってUMA目撃情報の一つかもだし、先日サンダーバードが水遊びしていたのだって、夜遅くに普段人通りがない場所をぶらついている人がいたらそれなりに目を疑う光景を見ただろう。


 とは言え、助け(ヘルプ)を求める声??

 何か念話のできる幻獣がサンダーバードと一緒にこっちの世界に来て、うっかり忘れられて置き去りにされた??

 と言うか、流石に連れてきたら忘れないとは思いたいから、境界門を通る巨大な鳥に巻き込まれて境界門を通り越しちゃったのかも?


「え〜と、そのお友達って能力持ち?」

 碧が尋ねた。

 確かに、普通の一般人だったらあまり念話は聞き取れないからねぇ。

 と言うか、国際術師フォーラムのついでに来てるなら、エクゾシスト?

 インディアンの人でも神父になったりするのかな? アメリカの原住民の神様に興味がある神父ってちょっと違和感ありまくりだけど。

 なんと言ってもキリスト教って異教徒である事を理由に他の大陸の原住民を大量虐殺したり街がたち行かなくなるぐらい大量に住民を拉致して奴隷化したりした、ヨーロッパ人の悪行の倫理的支柱みたいなもんだったからねぇ。

 だが奴隷として連れてこられた黒人系の人だって今じゃ敬虔なキリスト教徒が多いらしいし、インディアンの人もキリスト教徒化しているのかも?


「Shamanなんですよ。

 Christian churchのメンバーでは無いですが、governmentにそれなりに管理されるpractitionerなのでコクガイへも理由がないとほぼデラレナいんです。

 だから、今回のフォーラムのサンカシャとして来るんです」

 キャロルが言った。

 やっぱアメリカでも術者の海外流出はかなり制限されてるんだね〜。


 シャーマンって事は、実は本格的にインディアンな人なのかな?

 サンダーバードの民の子孫だったり??

 サンダーバードさんや。藤山家に食事を集りに来る前に、興味を持っている民の子孫かもしれない人に会いに行ってあげれば良かったのに〜。


「で、声が聞こえたって何か居たの?」

 碧が要点に話を戻す。

 そうだよね、だから境界門を探しているんだろうから。


 だけど幻獣(?)を連れて飛行機に乗るのって厳しくない??


「なんかred なトリだったんですが、疲れたと言って卵にモドッタらしいんですよ。

 それをカバンに入れて持って来るプランです」

 キャロルが言った。


『火の鳥の一種かも知れんの』

 そっと白龍さまの声が(念話だけど)聞こえた。

 キャロルがいる前で姿を現す気は無いらしい。


 そう言えば、前世でも不死鳥系で死ぬほど弱ると灰になって生まれ変わるとか、寿命が尽きたら自力で燃え上がって卵に戻るとか言うタイプの幻鳥の話を聞いたことがあったかも。

 あれって生まれ変わる際に必要な魔力が半端じゃ無いから孵化は幻想界じゃないとほぼ無理って話だったから、詐欺師がよく卵っぽい見た目の玉とかを貴族や豪商に売り込んでたんだよねぇ。

 普通に温めていたら腐ったとか、単なる石だったとか、良くてもっと一般的な幻鳥が出て来たって話が多かったようだけど。


「う〜ん、その卵を受け取って聖域に置いておいて、孵ったら境界門を通るのをどうぞって言う程度なら構わないけど、赤の他人を聖域に入れる訳にはいかないわよ?」

 碧がちょっと悩んでから言った。


 孵るのに時間がかかるようだったら、そのうちサンダーバードが来たら押しつけても良いしね!





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― 新着の感想 ―
サンダーバードなら置き去りにしてても不思議じゃないですね
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