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早いね!?

 丁度昼食を食べ終わって食卓を片付けていたら、電話が鳴った。

 毎度お馴染み、退魔協会の着信音。

 うげげげ〜。

 なんかこう、私が立てたフラグって全て実現しちゃって無い??

 世の中、もっとバキバキ折れる意味のないフラグもどきの方が多い筈なのに。


 ラノベの主人公じゃあるまいに、おかしいよ?!

 ぶちぶち文句を言いながら、スピーカーボタンを押す。

 もしかしたら違う案件かもだしね。

 ある意味、違う案件だったら近藤さんの案件の依頼が来ないから、丁度いいかも?


「はい」

『いつもお世話になっております、退魔協会の遠藤です』

 ですよね〜。

「こんにちは」

 まだ近藤さん達と話してから丸1日も経っていない。

 流石にこんなに早く調査が終わって依頼が入ることはないよね?? 調査員を手配するだけで1日、調査にもう1日、その結果に基づいた依頼費の連絡と依頼主との交渉でもう1日ぐらい掛かって、最低3日ぐらい掛かるもんなんじゃないの?

 まあ、値段交渉は入院しなきゃいけない程ヤバい悪霊の場合は無いのかもだけど。


『先日長谷川さんから退魔協会の連絡先を教わったとおっしゃる依頼人から命に関わる緊急依頼の話が来まして』

 遠藤氏が話し始めた。

 げ〜。やっぱ亜希子さんの案件か。

 入院中だと緊急扱いになるのかね?

「あ〜、ペルーに行って悪霊を拾ってきた件なのでしたら出来れば避けたいんですが。

 旅行に行った三人組の一人がクラスメイトだったので一応相談にはのりましたが、三人組のもう一人が……私や碧が退魔師だと知ると粘着しそうな人なので。完全に赤の他人な、あの大学とは無関係な人を派遣する方が良いですよ。

 神社の厄祓いの返金を求めて神社の前でプラカードを持って歩き回ってやろうかなんて真面目に考えるような人なので、下手をすると退魔協会にも風評被害になりかねないですし」

 私の言葉に、一瞬電話の向こうから沈黙が流れた。


『……厄祓いに返金を求めるとは斬新ですね。

 ですが、この件に関しては元々病院側の回復師から、周囲の患者に悪影響が出ているからなんとか出来ないかと退魔協会が非公式に相談されていた件なんです。

 病院にいる回復師では対処出来ない程の悪霊のせいで、藤本さんが入院してから容体が急変した患者が複数いるらしく。本人だけでなく他の患者の為にも至急に対処が必要なのですが、そのランクになりますと出来そうな退魔師が限られていまして。今直ぐに依頼を受けられそうな退魔師の中では快適生活ラボのお二人が一番可能性は高いかと、連絡させて頂きました』

 遠藤氏のちょっとすまなそうな声が電話から流れてくる。


 マジか〜。

 白魔術師がいる病院なんてかなり大きな大病院だろうに、そこがお手上げな感じなんだ?

 これって藤本さん側が退魔師を雇わなかったら、なんか理由をつけて病院から追い出されたのかな?

 もしくは藤本さんの実家がそこそこ金と伝手のあるところだったら病院が退魔師を雇うよう説得したか、ガンとして拒否されたら場合によっては病院側が退魔師を雇ったか。


 まあ、それはさておき。

 他に出来そうな退魔師で手が空いているのが居ないって本当かね?

 色々とある呪詛や悪霊退治に退魔協会の退魔師は誰もが忙しいって言うのは前にも聞いたけど。

 ため息を吐きながら碧が電話に近づいて来た。

「命に関わるなら助けるのも吝かではありませんが。

 家族・友人がそばに居ると悪影響があるかも知れないので、除霊が完全に成功したと確認が取れるまで、病院から離れていて貰うことは可能ですか?」


 嘘じゃないよね。

 悪影響の対象が亜希子さんや友人・家族ではなく、主に私らの生活にっていう点がちょっと誤解されるかもだけど。


『分かりました。

 これからあちらに電話して、危険ですから離れて下さいと伝えます。退去が確認できたら直ぐに行っていただくのは可能ですか?

 A級ランク依頼報酬に緊急時の特別手当も出します。

 実は病院側からも本気で泣きつかれているんですよ』

 遠藤氏が言ってきた。


 うわ〜。

 一応50万から100万円ぐらい掛かるだろうと近藤さんには言ったけど、マジで100万円超えるんじゃん。

 私らの受け取りが100万円超えるけど、依頼主側の費用は更にそれの3割増しぐらいになるんじゃない?

 近藤さんが親からお金を借りて亜希子さんとやらに貸し付ける羽目になっていないと期待したいね〜。

 もしかしたら病院側も急がせるために少し出しているのかも?

 他の患者の容態が急激に悪化するのは病院にとっての悪評とか訴訟リスクだろうし。


 碧が頷いたので依頼は受けることに。

「分かりました。それで良いですよ。

 場所はどこですか?

 あと、依頼人のご家族がその特別手当も含めた退魔料を払うのに合意しているんですか?」

 ついでに聞いておく。近藤さんの借金だったらやっぱちょっと気不味いし、私が退魔師師だとバレた時に後から減額請求されても嫌だ。

 どちらにせよ、出来れば暫く近藤さんとは会いたくないなぁ。

 と言うか、近藤さんはまあ良いけど西江さんはごめんだ。


『ええ、依頼が来た段階ですでに病院から相談を受けていたので、そちらに出向いていた調査員が確認して金額を提示したところ、父親がその場で振込しました。

 お陰で今度はこちらが祓える人員を探すために慌てている訳ですが』

 遠藤氏が返した。

 確かに、合意はまだしも、その場で振り込む人は少なそうだよね。

 もっとも、最近はどの銀行もアプリと生体認証をガンガン売り込んでるから、携帯から払えない人の方が少ないかもだけど。


 しゃあない。

 今から着替えて行きますか。



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>ラノベの主人公じゃあるまいに 気付いてなかった!? 転生を繰り返していたらいつの間にかラノベの主人公になっていた件 にタイトル変更?
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