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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学4年

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……意外と手慣れてますね

「取り敢えず、私たちのどちらかが覚醒させなければこの石川さん、ですか?は目覚めないとは思いますが、もしもの時のことを考えて、手を椅子に固定しておきましょう。

 暴れる入居者を拘束するような道具って何かありませんか?」

 これから5階建ての施設に居る入居者全員の呪詛転嫁の有無を確認しなきゃならないのだ。

 田端さんなり他の警察の人なりが来るまでここでぼ〜っと待っている暇はない。


「入居者の拘束は虐待ということで禁じられているので……」

 高井さんが気不味げに答えた。

 あれ、そうなんだ?

 なんかこう、高齢者って最後は拘束されてチューブをブッ刺されて命だけ長らえる羽目になる印象だったんだけど、それはもうダメになったんだ?

 まあ、拘束されてチューブで延命されるなんて誰にしたって絶対に避けたい人生の終わり方だろうから、禁止されたのは良いことだとは思うけど。


「じゃあ、取り敢えずタオルで手を椅子の肘掛けに巻いて、それを紐で結びましょう。

 ハンドタオル2枚と、紐を下さい。

 万が一目を覚まして逃げようとした際に、混乱を巻き起こそうと命に関わるような呪詛を撒き散らかされたりしたら危険ですから」

 高井さんが微妙そうな表情だったので説明を付け加える。

 碧が昏睡状態にしたんだから、顔をぶっ叩いても目を覚さない筈だけど……呪師だからね。

 何か想定外な反応で目覚めて逃げられる可能性がゼロとは言い切れない。


 それこそ、身動き取れないように首から下の神経の接続を一時的に切断させておくぐらいの事をすれば絶対に逃げられないだろうけど、流石にそれはちょっと行き過ぎな気もするからね〜。

 物理的な拘束の方が無難だと思われる。


「確かに、これ以上入居者の方々を危険に晒す訳にはいきませんね」

 高井さんが呪詛をばら撒かれる危険性に危機感を抱いたのか、今度はあっさり頷いて部屋を出て行った。


「ちょっとこう、手足が痺れた感じで上手く動かせないように出来ないかな?」

 碧に聞いてみる。

 正座の後みたいな感じで痺れちゃって動けないのも、悪くないと思うんだけど。


「う〜ん、血流を制限するのは下手に動かれて更に流れが阻害されたりするとその先が壊死しちゃう可能性もあるからねぇ。

 縛っておく方だけの方が良いと思う。

 代わりに、目覚めないように凛が精神をオフ状態にしておけないの?

 白と黒魔術で肉体と精神の両面から眠らせれば、相手が呪師でも大丈夫でしょ」

 碧が言った。

 確かにね。

 しっかし。足が痺れるのって場合によっては危険なのかぁ。

 自分の体重で足が痺れる程度なら大丈夫だけど、外から血流を制限するのがちょっと難しいのかな。


「分かった。

 取り敢えず精神が覚醒しないように封じておくわ」

 これで私が階段から落ちて死んだりしたらこの石川とか言う呪師もずっと目覚めな可能性があるが、碧がいる場合で私がうっかり死ぬなんて事はないでしょう。


 ガチャリと音がして、高井さんが戻ってきた。

 ちょっとボロそうなハンドタオルと、荷物を作るときなんかに使いそうな紐と鋏、更にはガムテープまで持ってきている。

 紐の上からガムテープでぐるぐる巻きにして留めるつもりなのかな?

 後で取れなくて大変な事にならない?


「え〜と、取り敢えず。タオルで包んで紐で縛りましょうか」

 ガムテープに関しては何も言わずに、タオルを受け取って呪師の右手を椅子の肘掛けに巻き付けて固定し、碧が紐でそれを何重かに括る。

 次に左手も同じように固定した。


「結び目のところだけ、ガムテープで上から留めておきましょう。

 ごく稀に、歯で紐を解く人もいますから」

 高井さんがそう言って、10センチぐらいのガムテープ片を紐の結び目の上から貼り付けた。

 なるほど。

 こうしておけば、目覚めて体を前の屈めても、歯で紐を解けないよね。

 時間がたっぷりあればガムテープを口で剥がせるかもだけど、流石にそこまで時間を開けるつもりはないし、目覚めない筈だし。


 と言うか。

 拘束の方法に妙に詳しいのはなんでなんだろう。

 拘束がOKだった時代の知識??

 高井さんって何歳なんだろ?

 考えてみたらいつから高齢者施設で入居者の拘束がダメになったのかも知らないから、何歳ぐらいだったらそう言う経験があるのかも分からないけど。

 もしかしたら精神病院とかで危険な精神病患者を拘束した経験があるのかもだし。

 とは言え、そう言う場所でも紐での拘束はない気がするが。非常時用の対処方法なのかな?


 それはさておき。

「じゃあ、ここは当局の人が来るまで鍵をかけておいて、その間に他の入居者の方々の呪詛状態を確認して回りましょう。

 私と藤山で二手に分かれて確認作業をする事で時間を節約したいのですが、もう一人職員の方に手伝って貰えますか?」

 さっさと終わらせないと、明日もここに来る羽目になる。


 まあ、駅の周辺はお洒落だからちょっと帰りに食事や買い物を楽しむのも悪くはないとは思うけど。

 どのくらい時間が掛かりそうか、様子を見て2日分相当ぐらいだったら今日は早い目に切り上げて駅の周辺を散策しようかなぁ。


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― 新着の感想 ―
脳味噌が壊れてしまっているのに健常者と同様の扱いをしろって言われても逆に危険ですよね まったく似非人権主義者ときたら
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