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竹林のリスク

「うわ、横浜市内だけど、最寄り駅から歩くと40分だって。

 バスは……30分に1台?! 随分と不便な場所だね」

 行き先をナビで調べたら、意外と辿り着くのに時間が掛かることが判明。

 陸の孤島チックな場所なのか、最寄り駅からずっと住宅地が続くがバスじゃなきゃ実質辿り着けず、その奥は畑や林になっている。更に向こうに行くとまた住宅街が広がっているようだから、ポケットの様に農地が残った地域みたいだ。

 マジか〜。

 相模とか箱根の方ならまだしも、横浜市でもこんな田舎っぽい畑のある地域が残っているんだ?? 横浜市のイメージがちょっと変わったかも。


 神奈川県なんてあまり縁がなく、何度か友人とみなとみらいに行ったとか、中華街に行った程度だったから沿線から離れた地域が比較的東京寄りな横浜市でもこんな感じだとは想定外だ。

「あ、バスは何種類か通っているみたい。でも、時間によってどこの駅からバスに乗るのが良いのかも小刻みに変わるみたい」

 うわぁ。ちょっと予定より早かったり遅かったりした場合に、態々全然違う路線の駅でバスに乗らないと最適な時間の修正が出来ないのかぁ。面倒くさ過ぎるぞ。


「レンタカーしていこう。

 どこか、駅のそばで大通りに出やすいレンタカーか、カーシェアの拠点は無いかな?」

 碧がタブレットを手に取りながら言った。


 普段だったらもっと田舎に行く事が多いから、特急で適当に近くまで行ってからレンタカーするのでそれほど悩まないんだけど、今回は首都圏だからねぇ。

 下手な場所のレンタカーを選ぶと右折とか信号待ちとかでイライラする羽目になりそうだ。出来れば理想的な場所のレンタカーを選びたいね。

「う〜ん。

 どの道が混むか分からないから、選びにくいね。

 最寄り駅からだとどうも駅の周りの道が細くて混んでそうだから、一つ前の駅で降りてここでカーシェアの車をゲットして横から進む感じで現地に行くのが良いかな?」

 碧が地図を見ながら言った。

 流石だね〜。

 土地勘がない場所でも、地図を見て色々と推測してベストルートを割り出せるなんて、惚れ惚れとしちゃう。

 私だったら諦めてどれだけ時間が掛かろうが『経費ということで請求できるよね!』と割り切ってタクシーに乗り、向こうが想定以上に田舎だったらそのままタクシーを待たせたと思う。

 半日待たせようが、私らの日給から考えればそれ程大きな金額ではないだろう。駅から歩いて40分のところで立ち往生するのはごめんだ。


「よっし! カーシェアの車は確保できた!」

 タブレットを弄っていた碧が腕を上に突き上げた。

 隣の駅のカーシェアの車を予約できたらしい。

「お盆なのによく予約出来たね」

 せっかく天気が悪くて比較的涼しいから、こういう時こそ外に行きそうなもんだけど。

 まあ、ドライブに行くにはいつ雨が降るか分からない天気だと微妙だし、テーマパークだったら電車で行った方が良いしで、田舎にある実家に帰るんじゃない限り、車は必要ないのかな?

 子供がいて人数が多かったら電車より車の方がの方が良さそうな気がするけど。

 ギャーギャー騒ぐ子供は電車の中で周囲の目が痛いだろうに。


「それだけ車を乗る人が減ったってことなんだろうねぇ。

 これってこのまま進むとレンタカー会社が潰れそう。

 タクシーを呼ぶのにさえ難儀する地域だったらレンタカーやカーシェアで何とかなっているだろうに、今後はバスの運転手が減って便数が下がったら更に不便になっていくんだろうなぁ」

 都心に住むと車なんて全然必要ないけど、ちょっと離れると別世界って感じだねぇ。

 そのうち自動運転がもっと進んで実用化したら、バスやレンタカーを自動運転で使えるようになって運転手不足は解消されるかもだけど。

 少子高齢化による過疎化はどうしようもないけどね。


 ◆◆◆◆


 現場に行ってみたら、バス通りらしき交通量が多い二車線の道路沿いに50メートル幅ぐらいの畑が2ブロック程広がり、バス通りに並行でギリギリ車がすれ違える程度の農道っぽい道があり、その奥は1ブロックは更に畑、もう一つのブロックは竹林と、営業しているのか不明な古い竹材販売所の看板があるプレハブっぽい小屋と古い家、及び整備を始めたらしき更地があった。

 工事用に小型重機があるし、ここっぽいね。


 神奈川県のそれなりにメジャーな私鉄の駅からバスで入ったところにこんな自然っぽい竹林があるんだねぇ。

 なんかこう。

 後ろの林を死体放置とかに使えそうなのに、態々物置の下に埋めたのかぁ。

 まあ、竹林ってガンガン筍が生えてくるって話だから、下手に死体を埋めても筍が引っ掛けて上に持ち上げちゃうリスクが高いのかも?

 畑に囲まれているとは言え、バス通りの向こうは住宅地だから犬の散歩で通りかかる人は居そうだ。となると、死体が地面から出てきちゃったら犬が騒ぐか。


 取り敢えず。

「車も殆ど通ってないみたいだし、ここに路駐しちゃっていいよね?」

 碧が木陰に車を停めながら言った。


「だね〜」

 帰りは私が運転する予定だし、路駐の方が出しやすいから私もその方が安心だな。







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レンタサイクルって手もありますね
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