表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1314/1362

交渉次第?

「お久しぶり、それとリリちゃんの世話をしてくれてどうもありがと〜!

 これ、パリのお土産よ!」

 一週間の新婚旅行から美咲さんが帰って来た翌日に、彼女がウチにお土産とペットシッター代を持って訪れた。

 引き継ぎっぽい感じで美咲さんの家に行っても良かったんだけど、考えてみたら旅行から帰った後って荷物が散らばることが多いよね?

 そこに客が来るとなると、時差ボケで疲れていても部屋を片付けなきゃいけないし、お茶を出してお茶受けも……なんて話になると大変だろうと言うことで、ウチに来ると主張した美咲さんに特に強く反論しなかったのだ。

 まあ、私は貰う物だけ貰って、お茶は出さないつもりだけど。美咲さんも渡すだけで中には入らないと予め言っていたし。


「どうもありがとうございます。

 うわぁ、素敵な絵ですね」

 美咲さんのお土産はA3とA4の間ぐらいなサイズの絵だった。

 プリントじゃ無くて、本当に絵の具を使った油絵。このサイズだったら持って帰ってくるの、大変だったんじゃないかな?? 急遽ペットシッターを頼んだからと言う事で、頑張ったのかな。

 流石に有名な画家のだったら値段が高すぎるだろうから、それこそパリのセーヌ川沿い(?)で売ってる無名画家の絵なんだろうけど、ちょっと印象派っぽい感じな柔らかくてほわっとした色使いの公園と石造りの建物が見える街の一角を描いた絵で、中々いい感じだった。

 でも。綺麗なのに、これでお土産に出来るような値段にしかならないなんて、画家には絶対になりたく無いね〜。


「無名な画家なんだろうけど、なんか味があって良いでしょ?

 色々と買い漁っちゃった。

 あ、あとこちらがペットシッター代ね。急な要望に応じてくれて、本当にありがとう。

 これからも何かあったら頼んで良いかしら?」

 美咲さんが封筒を渡しながら聞いてきた。

 おいおい。

 流石に緊急事態以外でペットシッターのバイトをする気はないよ?


「週末だったら餌をやりに行くのも不可能では無いとは思いますが、もう来年から社会人なんで、残念ながら平日は時間的制約が厳しいと思うんです、すいません。

 それはさておき、美咲さんが帰って来てリリちゃんも喜んでいましたか?」

 週末だけだったら鍵のやり取りとか考えると、頼まないだろう。

 最近はスマホを使ったデジタルキーみたいのもあるらしいだけど。

 暗証番号や登録する携帯電話を随時変えられるなら、そう言う携帯を使ったデジタルキーって便利かも?

 業者のペットシッターに頼んだ場合って鍵を複製されたらどうするかって心配だろうからね。


「うふふ〜、帰って直ぐはちょっと拗ねている感じだったけど、やはりちょっと寂しかったのか、昨日は誠司さんと私の膝を取り合いしてたのよ〜」

 デレデレと嬉しそうに美咲さんが言った。

 新婚旅行から帰ったばかりなのに妻の膝を猫と取り合わなきゃいけないなんて、ちょっと夫の人が可哀想な気もするが。まあそこら辺は分かった上で結婚したんでしょう。


 と言うか、いつか碧が結婚した場合って夫の男性は源之助と碧の愛を取り合う羽目になりそう。

 源之助と張り合ったら負けだよ〜って言っておくべきかも?

 よほどの事が起きない限り、『俺と猫のどちらが大切なんだ?!』って聞いたら『源之助よ!』と言われそう。


 雑談をしていたら碧が帰ってきたので、美咲さんがペットシッターのお礼を言いながら帰っていった。

「あれがその母親冷凍事件のマンションの人?」

 碧が麦茶を冷蔵庫から出してコップに注ぎながら聞いてきた。

「そ〜。

 そんでもってこれがパリのお土産」

 碧に貰った絵を見せる。

 最近じゃあヨーロッパも温暖化で暑いらしいけど、パリは大丈夫だったのかね?

 昔は東京より涼しかった筈だから、エアコンが無い建物が多くて却って大変なんじゃないのかな?


「へぇぇ、良い絵じゃない。

 そう言えば、結局3階の娘さんはどうなったの?」

 碧が絵を手に取って色んな場所に置いて見てみながら聞いてきた。


「なんか、心神喪失で完全無罪を主張するか、罪を認めて執行猶予狙いで行くかで迷っているみたい?」

 ちょっと好奇心が疼いたのでハネナガに金子さんの部屋を見張っていて貰ったところ、弁護士とお兄さんと金子さんの話し合いを時折目撃(直にじゃないけど)出来たのだ。

「へぇぇ。

 まあ、確かに介護のストレスで判断力が損なわれていたようだけどね。

 でも、介護で疲れ果てる人はそれこそ掃いて捨てるほどいるんだから、違法行為をチャラに出来るほどのものなのかしら?」

 碧が少し首を傾げる。


「そうだよねぇ。

 幸いにも、お母さんは殺してないから心神喪失だとしても認めるハードルは低めなんだろうけど」

 取り敢えず、暫くは弁護士と金子家と検察との交渉がまだ続くってところかな?


 そろそろハネナガも解放するか。

 どちらを選ぶにせよ、どうも弁護士的には金子さんが刑務所に入る事態にはしないで済むと自信があるみたいだし、穢れが復活なんて事も起きてないし。


 あとは生き残った人達で適当にやっていってもらえばいいでしょう


 


 ここでこの章は終わりです。明日は休みますので、明後日からまた宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
美咲さん>リリちゃん>旦那さん ヒエラルキーはこんな感じですかね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ