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怪しい外国人勢力だったのかな?

「警察が雇ったダイバーがあの地底湖を探ったら、7人分の死体が見つかったんだって。

 凛が書いておいた名前も参考にしたけど、50年近く前の事だから大学の名簿から確認できた加害者側ですら家族に連絡が取れそうなのは主犯だったらしき元鉱山持ち主の分家の男性だけ。彼の場合は死体があそこに無いから意味がないし、学生運動の仲間に関しては何も知らないって断られたらしくて、結局お手上げになったんだって〜」

 大学から帰ってきた私に、碧が退魔協会から聞いたらしきキノコ山依頼のその後の顛末について教えてくれた。


 大学の生徒だったら家族の連絡先とか元の住所とかが分かるだろうに、それでも50年も経つと連絡が取れなくなるのかぁ。

 それこそ、昔の住所が分かるならそれから本籍でも辿って現在の所在地とか、分からりそうなものだけど。

 学生本人の住所は短期賃貸だろうからあまり役に立たないとしても、親の住所とかを大学に知らせてなかったのかね?


 まあ、考えてみたら50年も前となったら情報は全部紙だろうから、10年か20年ぐらい経ったら大学側が処分しているのかな?

 今だったらソフトデータだからもう少し維持しても邪魔じゃないだろうけど、紙だったら物理的に場所を取るからねぇ。

 まあ、それでもクラウドやデータセンターだってタダでは無いのだから、50年も学生の家族の連絡先をキープしているかは微妙かも。


 それはさておき。

「ちなみに、被害者側だった家出少年とホームレスの人は?」

 どうしても捕まえられなかったホームレスの霊はまだしも、近寄ってきて捕まえられたホームレスの霊の一人と家出少年は名前と直近の家族の住所も一応分かったんだけど。

 まあ、家出少年はまだしも、ホームレスの人の方は死んだ時点ですら家族がそこに住んでいたかは不明だけどね。


「50年は長いから。

 家出少年は警察側に捜査依頼があったんだけど、家族の連絡先が古すぎて引っ越し先がわからず。

 身元が分かったホームレスの人の方は住所自体がダムの下に沈んで無くなっていたってさ」

 碧が教えてくれた。


 うわぁ。50年は本当に長いんだね。

「日本って一々引っ越したら住民票を変えなきゃいけないし誰かが亡くなったら遺産相続をやるのに生涯の本籍を全部集めなきゃいけないとかで色々と不便なのに、いざとなると意外とそれが役に立たないんだね?」


「ね〜。

 まあ、もっとやる気があったら見つかるかもだけど。警察も50年前の白骨死体で、非公式とはいえどう言う状況での殺害か分かっていて、既に犯人側まで死んでいるとなると、とことん突き詰めるだけの予算も人員もないのかも」

 碧が溜め息を吐きながら言った。

 確かに。

 限りある予算と時間を使うには値しないと判断されても、不思議は無いか。


「それはさておき、死体が見つかった鉱山で育てた椎茸なんて、縁起が悪いってあまり売れなそうだね。

 まあ、考えてみたら鉱山跡で育てるんだったら鉱山での事故で過去に誰か死んでいた可能性は元々高かったんだろうけど」

 誰も死んでいない鉱山なんてまず無いよね?


「まあ、地元じゃなくて東京で売れば他の椎茸に混じって分からなくなるんじゃない?

 スーパーで見かける様な、『生産者の顔が分かります』ってタイプの顔写真付きなオーガニック系産物としての売り込みはやらない方が良さそうだけど」

 碧が言った。


 そうだね!

 下手に顔写真や住所を売りにする様な感じにすると、誰かが『あ、実家のそばの山じゃん、これ。こないだお盆で帰った時に白骨死体が見つかったって大騒ぎになったところじゃない?』とか言い出して炎上しそうだね。


「あの鉱山の持ち主だって多分あの地域の名家だったんだろうから、その分家の息子が怪しげな儀式で大量殺人をしていたなんて噂話はあっという間に近辺の街や村で広まりそうだしね。

 ちなみに、その怪しい儀式とやらは何を呼び出す筈だったの?」

 碧が聞いてきた。


「『大いなる存在』だってさ。

 漠然としたことしか言われてなかったんだけど、外国人だから日本語が上手く出来ないんだろうって勝手に自分で自分を納得させて期待値だけを上げてたっぽい?

 最初は血を流して魔法陣っぽいのに垂らしていたから、何か魔法陣で死霊でも喚び出す術がロシアの方ではあったのかもね。

 都心でゾンビパニックっぽい大事件を起こせたらそれはそれでオッケーと思って協力していたのに、『練習』の為って言っていた鉱山跡からいつまで経っても出てこないから、あっさり見捨てて損切りされたっぽいから術の本当の目的は微妙に不明〜」

 主犯じゃない、最後から2番目ぐらいに死んだと思われる霊は主犯よりはもう少し『指導者』として関与していた外国人の言動を覚えていて、そいつがもっと政治家や人々を搾取する企業家がいる都心で儀式をすべきだと盛んに主張していたのを覚えていた。

 と言うか、そいつは大学でやるべきだと最初に言っていたのだ。


 流石に人が多い都内でそんなことをする勇気がなかった一同は主犯が知っていた鉱山跡でやることにしたけど。

 そっちでやってみて、効果があったら大学なり国会議事堂のそばなりでやると言っていた様だが……まあ、確かに7人の死であそこまで濃厚な穢れと悪霊が生み出されたんだから、何か効果はあったのかも?

 加害者側の悪霊はちょっと狂化状態で危険度が高かったし。


「ふうん?

 怪しい共産主義を日本に導入させようとした連中の要らない置き土産ってやつかしらね?

 まあ、実際に唆されたとは言っても殺し合いをしたのは日本人なんだから、外国人勢力のせいだけには出来ないけど。

 どちらにせよ。50年経ったとは言え、ちゃんと埋葬できることになって良かったよね」

 碧が源之助のブラッシングを始めながらいった。


 だね〜。

 根本さんも無事に椎茸栽培に戻れると期待しよう。

 これでこの話は終わりです。

 明日はお休みしますが、明後日からまた宜しくお願いします。

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