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下調べはバッチリなのね

「ちなみに寝ている間にも何か起きたりするのですか?」

 目の下の隈から察するに、ちゃんと眠れていない様だが。


「街中を歩き回って買い物をしていたり、友達とテーマパークに行っていたり、大学の授業で何やら発表していると言った様な夢を妙にリアリティが強い感じで見るんですが、今のところ部屋からは出ていません。

 今回のことが起き始めてから、部屋の外から鍵を掛けてもらって、私が携帯で朝の挨拶をしない限り開けない様に頼んであるのでその点は確実です」

 葵さんが言った。


 確かに勝手に体が乗っ取られて現実で着せ替え人形化するなら、寝ている間に体を乗っ取られて夢遊病的に出掛けるリスクはあるよね。

 本人もそれが怖くて碌に眠れていない様だが。


「大学に入ってから、グループでテーマパークに行ったりしましたか?」

 生霊がこれだけ取り憑き放題な程に波長が合っているとなると、直に会って触れられたことがあると思うんだよねぇ。

 遠くから見かけて憧れるだけでも生霊的ストーカーになるのは可能だが、流石に何度も短時間でもあっさり取り憑いて体を乗っ取っているとなると、手が触れる程度の接触が一度はあったと思う。

 そんでもってテーマパークに行った明晰夢を見るとなると、余程のテーマパーク好きなんじゃ無い限り、実際に一緒に行っているんじゃないかな? 買い物や大学の授業は女子大生としては普通な生活の一部だが、テーマパークはちょっと例外的だろう。


「サークルの新入生で集まって一度GW前にネズミランドに行きましたが…‥特に変なアプローチをしてくる人は居ませんでしたよ?」

 葵さんが答える。


「体が乗っ取られるのはそのテーマパークに行く前から起きていましたか?」

 その前から起きていたなら、テーマパーク行き前に接触があった相手だね。


 碧と私が出会った時みたいにサークルの新人歓迎会に参加していたら、ジュースを注いだり料理を渡したりする際に近くに座っていた人全員と触れているとは思う。


 クラスメートとの懇親会みたいのもやっていても不思議はないし。

 大学のはじめって大学デビューだ!って事で皆社交に頑張るから、1年目は特に飲み会とか懇親会とかが多いからなぁ。

 それとなくなあなあでお酒が出回ることも多いし。

 流石に本来は違法だから一気飲みとかはしないだろうし飲むのもビールかサワー系程度だけだろうけど、酒が入ればソーシャルディスタンスも短くなる。


「……そう、言えば?

 確かにネズミランドに行くまでは視線を感じていただけかも?」

 葵さんが携帯を取り出してカレンダーを確認し始めた。


「最初に変な事が起きたのは、青山のブティックに従姉妹に付き合って行った時だったから……ネズミランドに行った次の日ですね」

 葵さんが携帯から顔を上げて言った。

 なんかさっきよりも更に顔色が悪い。

 自分がサークルで知り合った誰かが、生霊ストーキングをしていると実感した様だ。


「知り合いがそうと思わずにやらかしていると言う方が、変なストーカーに見初められて電車の中で触れられたのが原因で取り憑かれる様になっているよりはマシですよ?

 少なくとも、名前が分かれば相手を見つけるのは簡単になりますし」

 碧が慰める様に告げる。


 そうそう〜。

 相手が何処の誰か分からない生霊ストーカーってマジで困るからね。

 まあ、私の場合は生霊を捕まえて痛い目に遭わせて今後こう言う事をやらない様に言い聞かせられるし、無意識だとしても2度と体から離れようとしないぐらいなトラウマを埋め込むことも不可能では無いが、出来れば本人に直接会って意識誘導とか封印を精神に埋め込む方が長期的効果は確実だ。


「ちなみに、サークルの申し込み時に各自の住所とか連絡先は提出しているんでしょうか?

 あと、そのネズミランドに一緒に行ったメンバーの名前もあると生霊が来た後の流れが手っ取り早くなります」

 大学のサークルの申込書って住所を書いたっけ?

 名前と携帯番号、メールアドレスと大学の学部とクラスしか書かなかった気も?


 まあ、生霊を撃退する際にうっかり殺しちゃっても揉み消すと言うぐらいなのだ。依頼主がそこら辺は大学に手を回して詳細を入手できるだけの権力を持っていると期待しておこう。


「父が大学に入ってから私が会ったと思われる人間全員の詳細を入手して調べていますから、あると思います」

 葵さんがあっさり言った。


 出会った人間全員を調べてんの?!

 凄いね。

 と言うか、もしかしたらこんなお屋敷に住む様なお嬢様だったらハニトラとか誘拐を警戒して、近づく人間は全部調べたりするのかも?

 本来ならばそれなりに親しくなる人間しか調べないんだろうけど、生霊ストーカー事件が起きたからね。疑わしい相手は全部調べていても不思議はない。


 なんと言っても本人が被害者の近くに居なくても色々出来てしまうのだ。

 加害者になりうる人間の可能性が広すぎて、父親も頭を抱えただろう。


「じゃあ、取り敢えず名前が分かるように名簿だけ貰って、あとは生霊が現れるまでは適当に過ごしましょう。

 私はもう直ぐしたら大学の授業があるのでそちらをオンラインで受けています。

 葵さんはなんでしたらこの不眠用のお守りでも持って、ソファかベッドで昼寝でもしたらどうでしょう?

 最近よく眠れて居なかったのだったら、少し休むと体力の回復に役立ちますよ」

 数日掛かるかもだったら、ずっと雑談しているんじゃお互い疲れるし、睡眠不足の解消はその隈対策に良いと思うよ〜。



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― 新着の感想 ―
ネズミランドってネーミングが酷すぎるw
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