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予防薬って大切。

 かなり力技な治療を終え、アンコちゃんの体内、毛皮および私たちの服とかに寄生虫の卵や幼虫がついていない事を碧がしっかり抹殺チェックした上でアンコちゃんの体を綺麗に拭き取っていたら、やはり全部で1時間ぐらい掛かった。

 眠らせたままでやっていたので逃げようとするのを押さえつけなくて済んだのでまだマシだったけど、意外と猫の体を綺麗に拭くのって大変!

 諦めて水洗いすべきだったかも。ただまあ、水じゃあ乾いて固まり始めた血を綺麗に洗い流せなくて、結局大変だった可能性は高いかな?


 一応お茶を飲めるように電気ポットはあるんだから、水を溜める為の湯おけでもここに一個置かせてもらい、今後こう言う外科手術もどきな治療をする羽目になった時にぬるま湯に入れて猫(小型なら犬でも)の体全体を洗えるようにしておこう。


 やっと、どこを拭いてもタオルがピンクにならなくなった頃には私も碧も疲れ果てていた。

「……どんな病気でも治せる自信があったから予防接種とかしてなかったけど、源之助に寄生虫対策用の薬を買ってきて投与しよう。

 背中の後ろに毎月垂らすだけだし、蚊がいる時期だけでも」

 碧がげっそりしながら言った。


「だね。

 諏訪に連れて行った時とかに蚊に接触するかもだから、やっておく方が無難だよね。これは繰り返したくないわ」

 私たちのマンションの中は碧の虫除け結界で蚊は生きて入れないし、ノミも野良猫からサンプルをゲットして排除対象として生体指標(マーカー)を登録してあるらしいが、寄生虫には色々種類があるらしいし、そう言うのを研究した結果として売り出されている薬で予防しておく方が無難そうだよね。

 まあ、考えてみたら源之助だったら治療した後にお風呂場でぬるま湯のシャワーと猫用シャンプーで洗えるからここまで後始末に苦労することはないし、たとえフィラリアに寄生されてもああもニョロニョロだらけになる前に碧が気付いたとは思うけど。


 それはさておき。

 碧が疲れ果てていたので、アンコちゃんは私が抱っこして新井さんの所へ連れて行った。

「神への祈りで大分と具合が良くなった様です。

 家にあるトイレなどから再度体調が悪化する危険があるので、今後は猫用の寄生虫予防の薬を毎月投与した方がいいでしょう」

 それとなく予防薬に関して念を押しながらアンコちゃんを渡す。


「助かったんですか?!」

 信じがたいと言う顔で新井さんがアンコちゃんを抱き上げた。


 来た時はぐったりと浅い呼吸をしていたアンコちゃんだが、起こされた今は元気になって箱を覗き込んだ新井さんへズンズンと熱心に鼻チュンしている。

 あれは良いよねぇ。

 なんか猫の愛を感じられて。

 源之助は碧にはそこそこしょっちゅう鼻チュンをしているのだが、私には炬燵の上でまったり昼寝している時ぐらいじゃないとやってくれないんだよねぇ。

 朝ごはんは私があげることが多いのに。

 差別は良くないぞ!


「ちなみに、医療行為だと主張されかねない奇跡は場合によっては法令違反だと変な横槍を招くことがあります。

 ですから今回の件に関しても、他者に話さない方が良いでしょう。もしもアンコちゃんの容体に関して詳しく知っている獣医がいるなら、そこは避けて新しいかかりつけ医を見つけることをお勧めします」

 アンコちゃんをペット用カートに入れるのを手伝う形でさりげなく新井さんに触れながら、ちょっと魔力を込めて意思誘導を埋め込んで今後の行動に関して提案という形の指示を出しておく。


 元々、祈祷に頼るという事に微妙な心境だったらしい新井さんはあっさり頷いた。どうやら掛かりつけ医に見切りをつけて碧を頼った事にも罪悪感を感じていたらしく、意思誘導もすんなりと受け入れていた。


 まあ、あそこまで育ったフィラリアが居たらもうどうしようもないって言った獣医の言葉は常識的には嘘じゃあ無かったんだけどね。

 碧以外では絶対にアンコちゃんは救えなかったと思う。

 あんなにフィラリアが育つまで気付かなかったのは新井さんがそれまでアンコちゃんを獣医に見せていなかったのか、獣医の観察力が微妙だったからなのかは不明だが、どちらにせよアンコちゃんが天寿を全うするまでは別の獣医に行ってくれ。


 あと、マジで今後は予防薬を使うのを忘れない様にね?







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― 新着の感想 ―
予防薬を使わないとすぐに再発しかねませんね
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