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『これヤバくない?!?!』

 兄貴にサンプルを3セット送った3日後に、聖子さんから碧に連絡が入った。


「大丈夫大丈夫、ちょっと『アロマのお陰で』気持ちのいいストレッチ用クッションとアイピローだから!」

 碧が明るく返す。


『まあ、体に蓄積していたストレスがリセットされるだけで、厳密には治療効果は無いと……言える、これ?』

 ちょっと疑わしげに聖子さんがメッセージアプリの通話画面で首を傾げた。


「サウナでがっと汗をかいた後に水風呂で冷やして、もう一度温めた後にマッサージで揉みほぐしてもらいながら寝るのと効果は同じ様なもんでしょ?」

 碧が指摘する。


 サウナも通常のマッサージも医療保険は効かないのだ。

 同じ様な効果のあるアロマのクッションやアイピローだって医療行為じゃ無いと主張できるよね? 医療器具や薬として売り出している訳でも、『効く』と効能を明記している訳でもないんだし。


『この腰痛用クッションを抱きながら肩こり用クッションを首の下に置いて、アイピローをして寝たら、めっちゃ気持ちが良くなってスキーをがっつり楽しんだ後に温泉でリラックスしたのと同じぐらいな感じになったんだけど〜。

 家のソファで30分寝転がるだけであそこまで気持ち良くなるなんて、ヤバいよ!』

 聖子さんが爆笑しながら言った。


 どうやらこの『ヤバい』は『素晴らしい』と言う文脈みたい?

 マズイんじゃない?!って心配して連絡して来たのかと思ったが、違ったのかな?


「まあ、どれも1個1万5千円ぐらいで売り出すつもりだからクッションやアイピローとしてはバカ高いし、会員制のサイトで個数を制限して販売する予定だし。面倒な連中にはバレないと期待してるところなの。

 聖子さんも、知り合いとかに安易に勧めないでね?

 親しい人がかなり苦しんでいる様だったら紹介しても良いけど、紹介できる相手は年二人までだからね」

 碧が釘を刺す。


 そう、値段は結局『クッション』や『アイピロー』ではなく、『確実に効果のあるマッサージの代替品』と言う感じでそこそこ高くする事にしたのだ。


 普通のアイピローやストレッチクッションよりちょっと高いだけだとそれ程切実でも無い人も安易に買い、その人達が人に薦めたり口コミを広めてバズってしまいかねないと言う結論になったのだ。

 1万5千円だったらそれこそ偏頭痛持ちとか、デスマーチ中で社畜な人しか買わないだろうし、人にもそうそう勧めないだろう。


 将来的に退魔協会との仲が拗れて副業的な収入が切実に必要になったらもっと売り上げを増やす価格設定を考えるが、現時点では下手に販売数を増やして忙しくなるのも嫌なんだよね。


『にゃはははは!

 流石にこれは人には言えないでしょ〜。

 ちなみに3ヶ月で効果が切れちゃうんだったら、また7月に買いたいから振込先を教えてね』

 聖子さんが言った。


 やはり碧が言っていた様に、符を描くのが大変で眼精疲労や肩こりに悩まされているみたい?

「あ〜それまでに決済方法を考えておくね。

 ちなみに、1日に何回も使うと早く効果が無くなるから、1日1回か2回で我慢、その上で合計90回の使用よ?」

 碧が念を押す。


 そう言えば、決済方法を手配しないとだね。

 碧のカリスマ祈祷師はニコニコ現金払いでやっているんだけど、これは基本的にネットでの販売だから、クレジットカードかQRコードを使ったキャッシュレス決済かなぁ。


 聖子さんと碧の通話が終わった後、碧とその点を話し合った。

「快適生活ラボの健康グッズって、社会に出たばかりな若い人よりはがっつり働いている中堅世代が買うと思う。紹介制だしそこそこ高いとなると購入層はやっぱ中年に近くなるかな?

 決済手数料ってQRコードを使ったキャッシュレス決済の方がクレジットカードより安いみたいだし、下手にクレジットカード情報を保管していてそれが漏洩したりしたら面倒そうだと思うんだけど、世代によってはQRコード決済なんてやってない人も多いよね?」


「どうなんだろ?

 ある意味、中年以上になっていたら体力的にデスマーチ的な働き方が出来なくなってない?

 まあ、眼精疲労は老化現象の一つという話もあるけど」

 碧が首を傾げながら応じた。


 そう言えば、年をとってくると夜に目が霞むとか文字が二重になって見える様になるって話もあったよね。

 そう言うのに私のアイピローが効くかどうかは知らないぞ?


「考えてみたら、これって若い者用?

 いやでも柳原氏ってそこまで若くは無いよね??」

 自分の会計事務所を持っているのだ。

 中年とか壮年って呼ばれる年齢だよね?

 何歳か聞いた事はないけど。


「取り敢えず、凛のお兄さんがどんな感じに会員制のサイトをやってくれるか確認してから決めない?

 会員制サイトのプラットフォームを利用する形だったら、そこが決済も受け持ってくれるかもだし。

 私たちが直接決済も扱わなきゃいけないとなったら……それこそ、柳原さん所の皆さんにネットで買う場合に支払い方法は何が理想的で何だったら許容範囲内か、聞いてみよう」

 碧が提案した。


 そうだね。

 ある意味、柳原事務所の社員以外に客層が広がらない可能性もあるんだし、彼らに聞いてみるのが一番か。


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年取ってもデスマは続くのです...
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