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色々と前途多難?

 2分温めたアイピローと符を手に取る。

 魔力視で確認したら、ちゃんと魔法陣は魔力が残っているし紋様も損なわれてはいない。


「取り敢えず、一回温める分には大丈夫みたいね。

 一度冷めたら今度は5分ぐらい温めてみて、問題ないか確認してみるわ。

 考えてみたら、電子レンジの中に水も一緒に入っていて蒸気で蒸したりしたら大丈夫かもついでにチェックしてみようかな」

 目の疲れってホットタオルを当てると気持ちが良いってイメージがあるからアイピローを蒸そうとする人がいるかも?


「台所で温めるとなると、一回ぐらいうっかり水をかけちゃう事もあるかもよ?」

 碧が指摘する。


「確かに。

 アイピローのカバーの中に入っていたら多少は大丈夫かな?

 商品をどこかでオーダーするか買う際に、カバーが防水加工なのを選ぶ必要があるかもね」

 念話用カード型魔道具みたいにラミネートでカバーして完全な防水にするのもありだけど、電子レンジで温められるかもと考えると下手したら溶けかねないからなぁ。


 取り敢えず、コップに2センチ程度水を入れて、それと一緒に符入りアイピローを電子レンジに突っ込んで5分と設定する。

 さて、どうなるかなぁ。


「電子レンジとか防水の問題を鑑みて、私のは肩こり用も山型で首の辺をストレッチするタイプにするわ。

 不眠対策用のアイピローだったらそれこそ冷やして使って下さいとか、ハーブの香りが逃げるから電子レンジは使わないで下さいって書くのもありだけど、電子レンジで温めて肩周りに乗せてじんわりさせるタイプは『電子レンジで温めるな』なんて言えないからね」

 碧が言った。


 そりゃそうだ。

「符も聖域の雑草も、電子レンジで温めるのには向いて無さそうだもんねぇ。

 いっそ冷やして使うって言う方がまだマシそうだけど、ジェルだと符と雑草の存在に気付かれるリスクが高くなりそう」


「と言うかさ、単に『こう言うのをやってるの』って知り合いとかに見せるためにネットのサイトを作るだけなら良いけどさ、実際に効果があるって言うのが口コミで広がってある程度売れる様になっりしたら、バラして中身を確認しようとする人が出てくると思わない?」

 碧が指摘した。


「うげ、そうだね。

 模造品を作って売るぐらいならまだしも、分解して符と何やら魔力のある素材で実際に効果があるってバレて、自分たちで複製出来ないと分かったら私らにもっと作れって強要しようとする連中も出て来たら面倒だね」

 何と言っても情報を盗んで模倣品を作るのなんて『盗まれる方が悪い』とか、『過去の先祖の罪の償いの為に当然だ』とか言い出す連中もいるからねぇ。

 まあ、力技で強要しようとして何度か天罰デフェンスで撃退されたら懲りるとは思うが。


「考えてみたら、『よく効くからハーブの組み合わせを確認しようとバラしたら、中から符が出て来た』なんて事になったら不思議過ぎてネットで話題になっちゃうかも」

 碧が嫌そうな顔をして言った。

 ネットで評判になったらそのうち医療業界なり退魔協会が嘴を挟んで来るかもだよね。


「ハーブは聖域の雑草に適当にローズマリーとかタイムとか何か香りがいい草を混ぜる事にして、それを灰色に染色した和紙で包んで使用上の注意を印刷しておくのはどうかな?

 紋様そのものは紙の灰色に溶け込む薄さに調整した墨で描けば、符だと分からないと思わない?」

 和紙を使うなんて変わっていると思われるかもだけど、高級路線ならありだと考えてくれると期待しよう。


「なるほど。

 符に見えなければ『変わった符入りの健康グッズ』としてネットで話題にならなくて良いかも」

 碧が頷いた。


「まあ、攻撃用では無いし厳密には治療効果もない符なんだから、符だとバレても一応大きな問題はない筈だけどね」

 要はちょっと効き目のいいサロ◯パスとか冷◯ピタの類似品なのだ。不眠用のは正しく使わなければ睡眠導入剤よりも効果が無いし。


「ネット経由で売り出すなら私たちの名前は表には出ない筈だけど『快適生活ラボ』の名称は退魔協会に届け出てるから、あっちからそのうち情報が漏れそう。安全対策は色々やっておく方が良いでしょうねぇ」

 碧が溜め息を吐く。


「まあ、肩こりや腰痛の痛み止め程度は医療行為じゃ無いって主張したら多分医療業界も政治家も白龍さまの怒りを買ってまでして横槍を入れてはこないと思うけど」

 チン!と電子レンジから音がしたので取りに行ったら、もわっとかなりの量の湯気が電子レンジの扉を開けた途端に流れ出てきた。


 5分も温めたらコップの水が沸騰していたのか、中がびちょびちょだ。

「うわ、符も何もかもびしょびしょだわ。

 1分以上温めて効果が無くなっても責任取りませんって大きく明記しないとダメだね」

 ここまでふやけると墨が滲んで紋様がどこかで壊れたのか、符の魔法陣が無効化されていた。


「アイピローの水洗いもダメって書いとかないとだね」

 碧が指摘する。


 確かに。

「ある程度のうっかりをやらかしても安全に使えそうな形を考えないとだね。

 ……調理できるぐらい高温でも大丈夫なジッ◯ロックっぽい小袋を仕込んで、その中に符と雑草を入れるとかもありかなぁ?」

 ジップ◯ックの上のジッパー部分って洗濯機で洗っても開かないのかな?

 いや、完全防水にしたら、ハーブの香りが出ないからダメだね。


 まあ、最初から洗濯するなって使用説明書に書いておくんだから、そこまで防水性を頑張らなくても良いかな?


「乾いたアイピローを5分温めたらどうなるかも確認したら?」

 碧が指摘する。


 そうだねぇ。

 このびしょびしょなアイピローが乾いたら、符とかも無しで普通に乾いた状態でうっかり5分間電子レンジで温めたらどうなるのか、確認しよう。


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― 新着の感想 ―
最初から温めないタイプのアイピローにしといた方が良いのでは?
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