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一網打尽!

「あ、碧?

 こないだの国立と池袋の大学を終わったけど、そっちはどこが終わった?」

 池袋の大学のキャンパスまで行き、入り口3ヶ所に浄化結界を設置し終わったので碧に電話した。


 ここもやはり呪われた学生が多かった。

 考えてみたら、高校生は学校での携帯の使用を禁じられている所も多いだろうし、授業中はSNSを見たり書き込んだりするのも絶対にダメだろう。


 その点、大学生は自由だからねぇ。

 SNSで色々とマウント取り合って憎しみを掻き立て合ったり、報復に使える様なヤバいオカルトなサイトの情報を仲間内で拡散したりって言うのは時間が自由な上にバイト代でそこそこお金のある大学生が一番嵌まりやすそうだ。

 社会人だってそこそこ自由だが、営業に出ている最中とかならまだしも、オフィスで働いている勤務時間帯だったら携帯で遊んでいる暇はない筈。

 マジであのサイトの運営者は大学生をターゲットにして情報を広めていそうだ。


 一々書籍とかを調べなくてもウェブサイトで検索するだけで情報を集めやすくなったのは便利だけど、SNSって変にマウントの取り合いが起きたり、やばいバイトの勧誘が行われたりで良い事ないね。

 SNSなんて無くしちゃえば良いのに。


 まあ、インスタ映えとかで経済活動が活性化する面もあるらしいし、何と言ってもメタとかXとかが儲けまくって政治家に多額の寄付しているから政府が潰すのは難しいんだろうけど。

 DIYとかのやり方を解説してくれる動画はまだしも、煽りニュースもどき動画や呟きとか写真と一言コメントをアップする程度なSNSは弊害の方は多い気がする。


 色々犯罪利用とかも多いみたいだし、百害あって一利なしじゃない?

 そんな事を思いつつ、碧の返事を待った。


『あ、もう残り4校は終わったから、帰って良いよ〜。

 私も帰宅途中』

 碧の声が携帯から帰ってきた。

 早いな!?

 私の倍ぐらいの速度で熟してるじゃん!!


 特効持ちの白魔術師だから私みたいに効果を吟味して制限しなくてもそこそこの魔力でかなりの効果が出るだろうけど、移動時間なんかは碧と私で違いは無い筈なのに。

 私の行動ってそこまで遅かったかな??

 前世も合わせれば私の方が圧倒的に経験がある筈なのに。ちょっと自信喪失しちゃいそうだ。


 まあ、楽ができるのは良い事なんだけど。

「了解〜。

 ちなみに他の大学も呪詛掛けられている人が多かった?」

 碧に尋ねる。


『うん、凄かった。

 こんなに他人を呪いたいと思っている人がいるなんて、びっくりだわ。

 日本ってそこそこ良い感じに回っていると思ったけど、やっぱ不満を抱え込んでいる人ってそれなりに居るみたいねぇ〜』

 碧が返してきた。


 まあ、昔だって問題はあったとは思うし、日本の歴史の中では人知れず家長とか権力者に虐待されたり殺されたりした人が普通に居た時代も長かったと思うから、今が悪いと一概に言える訳じゃあ無いんだけどね。

 今を生きているから今の問題点が目に付きやすくて切ない。


「取り敢えず、がっつり呪詛が返って首謀者達がバタバタ倒れている事を期待しよう」

 ちょっと楽しみかも?


 ◆◆◆◆


 田端氏からは一週間程連絡がなかった。

 週末にもう一度大学を回って浄化結界がどうなっているか確認したら、ギリギリ残っているか消えているかって感じだったのでそこそこな人数の呪詛が返っている筈。

 結界を設置し直して待っていたら、今日連絡が入った。


『運営者と思われる集団を無事逮捕出来ました』

 お?

 逮捕まで出来たんだ?

 こう言う事件ってそれこそ現行犯的な状況に踏み込めたんじゃ無い限り、捜査に入って24時間か48時間か拘束してその間に証拠固めしてから逮捕じゃ無いの?


 それとも踏み込んだら良い感じに皆呪詛返しで倒れていて、証拠隠滅が全く出来て無かったのかな?

 だとしたら頑張って無料で浄化結界を設置しまくった甲斐があったと言うものだね。


「犯人はどんなグループだったんですか?」

 碧が尋ねた。


 外国のヤバい集団か、ヤクザか、半グレか、呪師の新しい形態か、何なんだろうね〜と待っている間に碧と可能性を色々と予想しまくっていたんだよね。

 元々は単にプログラミングの上手い呪師見習いか何かかと思っていたんだけど、集団だと白龍さまが言っていたからねぇ。

 どう言う集団が呪詛のオンライン化なんて言う新規領域に手を伸ばしたのか、是非とも知りたいところだ。


『呪師見習いと手を組んだ半グレ集団でした。

 如何にもそれっぽい紋様の中に実際の呪詛の紋様を黒とごく僅かに色が薄い人の目には黒なグレーとで描き込んで、画像をプリントするならば実効性のある呪詛になるのにコピーだと色が潰れて紋様が使い物にならない様にしてネットで呪詛を売り出すなんて方法を編み出した様ですね。

 SNSで情報を広めて売りまくってウハウハだったのが、先週あたりから突然何もかもが上手くいかなくなったらしいです』

 田端氏が言った。


 へぇぇ。

 呪詛の紋様ってプリントアウトして血を垂らして燃やす程度で効果が出るんだ??

 まあ、弱い呪詛だし、悪意を込めてやれば軽い呪詛程度だったら発生したんかもねぇ。


 呪詛の中には考え足らずになるとか、人の話を聞かなくなるとか、知性が劣化するって言った系統のもあったから、そう言うのが返ってきたせいで危機管理も上手くできなかったのかな? ちなみに萌に掛けられていたやばいタイプの男に粘着される呪詛は『異性』に粘着されるのか、『男』に粘着されるのか、どっちだったんだろ? 萌の呪詛をそこまでしっかり確認してなかったからなぁ。

 ちょっと興味がある。


 それこそ受験生とかが使う呪詛だったら周りのライバルの知性を劣化させる系を買ってそうだね。


「変な事を始めた集団が比較的早い段階で捕まってよかったですね」

 碧が言った。


『ええ、他にもオレオレ詐欺とか還付金詐欺とか、押し込み強盗とか、ありとあらゆる悪事に手を出していた集団だったので、色々と余罪も出てきてこれから他の関係者も捕まえようと組織犯罪チームもヤル気満々です。

 今回はご一報頂き、ありがとうございました』

 田端氏が電話で礼を言ってきた。


「いえ、善良な一般市民としての当然の行動ですから」

 碧があっさり返して、ちょっと追加で情報を貰ってから電話を切った。


 まあ、ご一報よりも呪詛返しをスピードアップさせた浄化結界の効果が一番大きかったと思うけど、そっちは退魔協会にぐちぐち言われない様、一応秘密だからね〜。

 ご一報に関する感謝だけでも受け取っておきましょう。




 これでこの話は終わりとします。

 明日はお休みしますが、また明後日から楽しんで下さい。

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― 新着の感想 ―
本体は海外にあって、これから世界中に蔓延するのかも
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