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駄目だこりゃ

「うわぁ。

要求される情報が多い代わりに出来るだけ手間が少ない様にデザインされてるけど…‥マジでめっちゃ詳細を聞いてくるんだね。

情報漏洩したら個人情報が丸裸になりそう」

遠藤氏から送られてきたリンクをタップしてアプリをタブレットにダウンロードし、入力する為にアプリを立ち上げた私は思わず呆気に取られた。


「なになに、どんな感じ?」

碧が覗き込んでくる。


「なんかこう、競馬用サラブレッドとかのブリーディング育成ゲームかと思う様な詳細だね。

両親及び祖父祖母の才能の有無、叔父叔母の数及びその中の才能の有無、兄弟の数とその中の才能持ちの詳細。

しかも各才能持ちの退魔協会でのランクまで書き込む欄がある」

マジで才能持ちの子を産みたいと言う願いが大前提なマッチングアプリだねぇ。


子供の才能なんてどんなのを持って生まれてくるかなんて生まれて育ってみなきゃ分からないのに。

家族の条件を多少厳選したところで、確率論的にもかなり不確実だろう。


「うわ、しかも祖父母、両親との同居あり、なし、義理の親族との同居が可か出来れば拒否か、断固拒否かって項目もある〜」

自分もアプリをダウンロードして動かし始めた碧が言った。


「おお〜。

しかも自分が長男か否かも明示だし、長男は問題なし、跡取りなら可、出来れば不可、絶対拒否って選ぶ様になってる。

まあ、今時は一人っ子も多いんだから、一人っ子なら長男だし跡取りだよねぇ」

なんかこう、条件が細か過ぎて笑えてくるぞ。


「自分の収入と貯蓄、相手に求める収入と貯蓄、持ち家派か賃貸派かまで聞いてきてるし。

つうか、考えてみたら私の収入って現時点ではめっちゃ少ないよね?」

元々、依頼の報酬は快適生活ラボに入り、私の報酬はそこから適当に必要に応じて払う形になっている。


両親の扶養家族から外れない程度で制限してるから少なめなんだよねぇ。


「現在学生って欄があるからここにチェックを入れれば良いんじゃ無い?

それより、相手にどの程度の収入を求める?」

碧がタブレットのスクリーンを指しながら言った。


そっか、学生枠があるんか。他の項目に目が行き過ぎて気が付かなかった。

相手の収入ねぇ。


「売れない小説家や画家やニートもどきな紐を養う気はないからねぇ。

最低賃金でバイトするにしたって、それこそ週5日で1日5時間労働、時給千円でも年収は120万円は稼げるよね。

だとしたらもうちょっと頑張れって事で、最低でも年収150万円って事にしようかな」

勿論、生活費は折半で、相手の贅沢品への出費を補助する気は無いけど。


と言うか、結婚する気自体が特にないしねぇ。


「碧はどうする?」


「う〜ん、それこそ小さな神社の宮司とかだと実質収入ゼロな場合もあるからなぁ。

ニートはご遠慮下さい、収入に関しては要相談って感じかも」

タブレットをスクロールしながら碧が言った。


そっか、碧の場合は神社関係者との出会いがあるかもなんだねぇ。

とは言え、退魔師だったら収入はガッツリあるだろうから、このアプリで収入を要相談しなきゃいけない様な人はあまりマッチングさえされない気がするけど。


「うわ、欲しい子供の数にゼロが無い!!」

碧が笑いながら声を上げた。


ええ??

思わず碧の手元を覗き込んだら、まじで欲しい子供の数を選ぶのが、1、2、3、4、それ以上となっていた。


「これって4とかそれ以上って選ぶ男がいたら絶対に女性からお断りされると思わない??」

現実的な希望じゃないでしょう。


「それこそ代理母を探してきてお金も払って手配してくれるって言うんじゃなきゃ無いよねぇ。

まあ、極々稀に五人兄弟とかもいるらしいけど。

ああ言う家ってなんだってそこまで子供を産んでるんだろうね?」

海外だったら宗派によっては避妊が許されない信仰もあるからヤったら産まれちゃうって言うのはあるのかもだけど、日本でそこまで真面目にそう言う宗教を信じている人はほぼ居ないでしょうに。


家族の縁がなくて、自分は沢山家族が欲しいなんて言う人が似た様な考えの人と出会って結婚すると子を産みまくるのかね?


それこそ退魔師か何かでガッツリ稼げる様な家じゃ無いと、五人も子供がいたらそれだけの人数が住む家を買うのも借りるのも大変だし、食費も衣料費も学費もめっちゃ掛かるだろうから、一般的なサラリーマン家庭でそれをやろうとしていたら『何やってんの?!』って私の友人だったら突っ込みを入れるけど。


まあ、愛人を沢山囲って子を産ませまくるって言うなら四人も有りがちかもだけど。流石に『愛人OKか否か』と言う質問はなかった。


ある意味、貴族みたいな社交と統治が重要な社会だったら妻がそっちをやって、子供は愛人(側室や第二夫人、妾等々)に任せるって言う選択肢もあるんだけど、日本じゃあそこまでして結婚する意味はほぼ無いだろうしなぁ。


「う〜ん、退魔協会の下心が見え過ぎてて、これでマッチングされた人が和やかに老後を共に過ごせる様なパートナーである可能性がめっちゃ低そうに思えてくるわぁ〜」

他の部分もかなりブリーディングゲームっぽくって印象が悪いけど、あの子供の数のところが痛すぎるね。


これじゃあ肉食系な受付嬢でも尻込みするんじゃない?

まあ、産みますって約束しておいて、『子供は天の授かりものですから』と言いつつ密かに避妊する可能性もそれなりにありそうだけど。


このアプリをデザインしたの、絶対に旧家のおっさんでしょ。

女性側の結婚する気を削がないと言う重要な視点が抜けてるよ〜?

買収されたアプリ会社の人も、そこら辺ちゃんと助言すれば良いのに。



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― 新着の感想 ―
出鱈目なデータを入れ放題だと思うんですが それでマッチングなんてしたら 苦情の嵐ですよね
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