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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学3年

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弟子入り?!

「尾山さんところに弟子入りする事にしたわ!」

呪詛返しを終え、呪師と黒田と鈴木絵里の処分は退魔協会に丸投げしてのんびりお守り作りに戻っていた私たちの所に、絵梨花さんが遊びに来た。


ちなみに絵梨花さんの体調はすっかり元に戻ったと本人は言っているし、碧がチェックした範囲でも問題ないらしい。


良かった。


被害者として絵梨花さんと脩さんも退魔協会や警察とかとなんやかんやとやり取りしていたらしいが、それも終わったのかな?


私たちは問題解決には関与したけど、実際の犯罪そのものに関しては被害は受けてないから厳密には関係者とは言えないんだよね、

和紙販売の中抜き疑惑に関しても法的に見ると被害を受けたのは尾山家だし。


まあ、尾山家がちゃんと受け取るべき利益を受け取れていたら、諏訪神社の修繕とかに関しての資金援助してもらえて碧パパの苦労がもう少し減ったかもってのはあるから間接的には被害者なんだけどね。


尾山家の和紙は白龍さまの聖域で栽培しているこうぞがあってこそなので、諏訪神社に寄進するのは当然って事で尾山家は代々自分たちが生活できる分を除いた収益のほぼ全額を寄進する人たちだったらしいのだが、それだと食っていけないって事で碧パパの時代ぐらいから寄進の金額を大幅に下げたそうだ。しかも先行き暗くて若い人が入ってくれず、年寄りばかりになってきた尾山家の作業を一族の若い人間が忙しい時期なんかに手助けしていたらしい。


それが実は本来なら若者をガンガン雇ってもやっていけるぐらい利益が出る筈だったって知って、尾山家だけでなく他の一族もそれなりに怒っていたと碧が言っていた。


まあ、妥当な販売価格を知らせずに割安に買い取っていたのは違法行為では無いけど。でも、退魔師の仕事を支えるためとあまり強く値上げを求めずにギリギリな値段で提供してきた尾山家の善意を踏み躙る行為ではあるよね。


これからどうするのか、色々と話し合いが行われていたらしいが・・・。

絵梨花さんが弟子入りって言うのはちょっと想定外だ。


「えっと〜。

なんで?」

碧がお茶を入れながら首をかしげる。


「元々、日本の古い民芸工房みたいのに関しては大学でも色々と学んだし、興味があったのよ。

諏訪にもちょくちょく残っていたし。

ただ、民芸工房を残すにはそれこそ国から補助金を貰うか、大々的にネットで広めて観光客が来るような感じにしなきゃ経済的には無理なのが多いだろうなぁと思って就職先としては諦めてたの。

でも尾山さんとこの和紙は実はあんな大事を起こすぐらいに利益が出せるって話でしょ!?

これは若い人間でも民芸工房で働いて、ちゃんとしたビジネスとしてもやっていけるように色々現実的な工夫が出来るチャンスだ!!と思ってここのところ何度も尾山さんの所に色々と話をしに行ってたの」

碧からお茶を受け取りながら絵梨花さんが教えてくれた。


普通の民芸工房とは違いそうだけど、考えてみたら確かに符用の和紙でガッツリ儲かるなら、それで最新式の機械とかコンピューターとかを入れて効率化して普通の和紙も製造販売出来るようになるかもだよね。


まあ、やり過ぎると民芸工房と言うのと違う感じになっちゃいそうだが。

効率化と伝統の技の両立は悩ましいけど、悩むだけの資金と余裕がある中で試行錯誤は良い事だよね。


「・・・もしかして、脩さんを捨てて尾山さんの所に嫁入りするの?

ちょっと歳が離れすぎじゃ無い?」

碧が恐る恐ると言った感じで尋ねる。


ぶはっと絵梨花さんが笑った。

「別に尾山家を継ごうとか思っている訳じゃあないから!

尾山のお爺さんのお孫さんも自分が一人前になる時にまだ工房が残っているなら跡を継ぎたいって言っているし、私はそれまでの中継ぎプラス参謀もどき?

40過ぎた家業を捨てたオッさんの後妻に入る気も、10歳下の少年を誘惑する気も無いわよ〜」

絵梨花さんがひらひらと手を振りながら言った。


「・・・脩さんとはどうなったの?」

碧がそっと聞いた。


絵梨花さんがため息を吐いた。

「まあねぇ。

あの事件では脩も被害者だって言うのは色んな人から説明されたし、本人はマジで私だと思って鈴木絵里と毎日を過ごして結婚話も進めようとしていたって言うのも聞いたけど・・・。

苦しい時に助けてくれなかった怒りって言うのは説明されたら綺麗さっぱり消えるような合理的なものじゃあ無いし、術に掛かっていたとしても赤の他人を私と誤認したって言うのも微妙に許し難い気もするのよ。

だから・・・諏訪と東京に離れるぐらいな距離感で暫く過ごすのも、丁度良いんじゃ無いかと思うの。

脩が諏訪に遊びに来る際に会って、ゆっくりまた絆を再構築するなり、別に出会いを求めるなり。

ちょっと白紙に戻してやり直したいってとこかな」

絵梨花さんが言った。


あ〜。

魔力で認識を捻じ曲げられた場合って、普通の精神力程度の人間にはどうしようも無いんだけど・・・苦しんでいた当事者としては、超人的な努力でそれを振り切って自分を助けに来て欲しかった!と言う思いも消しきれないんだろうね。


それこそ鈴木絵里が脩さんに犯罪行為をする様に迫ってきたとかだったら脩さんも気力を振り絞って意思誘導を跳ね除けたかもだけど、単に日常の毎日が進み、元々『そろそろ・・・』と考えてきていた結婚話が持ち上がっても極端に違和感は無かったんだろうし、ある意味結婚する事に違和感を感じるなんて絵梨花さんへの裏切りだと思って敢えてそれを無視していたのかも。


第三者的には脩さんを責めるのは可哀想と言いたい気持ちもある。

でも、同じ女性としては確かに、もっと頑張るべきだったでしょ?!と言う思いも分からないでも無い。


男女の関係って難しいよね。


「まあ、取り敢えずこれからは諏訪和紙をどんどん退魔師に直接売り込んで行く予定。

あちこちで『退魔協会の黒田さんに、諏訪和紙の価値はもっともっとあるって教わったんですよ〜』って言いふらしながら退魔協会を外して直接値上げ交渉をしていくつもりよ」

ふふふと笑いながら絵梨花さんが付け加えた。


結局今回の一連の悪事は経済的犯罪って事になった。黒田と鈴木絵里の能力は封じられ、懲役刑も言い渡されたが執行猶予がついたせいで実質慰謝料を払っただけで終わってしまったのだ。

魔力を封じられたから退魔師としての未来は封じられたが、それと金銭だけで納得できるかと言ったら微妙だよね。


まあ、数千万円の慰謝料なので絵梨花さんはそれで家が買えそうではあるけど、満足できる処罰では無くても不思議では無い。

当然黒田は退魔協会からクビになったが、アイツのおかげで退魔協会も諏訪和紙で甘い汁を吸えなくなり、他の退魔師や和紙の製造者も色々と不都合を被る事になるのが全て黒田の《《お陰》》と絵梨花さんが広めれば・・・それなりな報復を他の人間がやってくれる可能性は高いかな?



ここら辺で一区切りですかね〜。


明日はお休みしますが、また明後日から宜しくお願いします!

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― 新着の感想 ―
伝統産業に従事したいのであれば どう見ても儲けが確実な処は当たりでしょうね
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