表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学3年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1050/1409

そっちは違法じゃない??

碧にちゃちゃっと鈴木絵里の記憶にあった情報を念話で伝えたら、ちょっと首を傾げていた。

『う〜ん、あの和紙の製造ってあまりお金にならなくて、素材の刈り取りなんかは一族の若いのがお小遣い目当てに手伝ってるレベルなんだけどなぁ。

あのお爺さんが父さんを騙して儲けを着服していたとも思えないし・・・。

もしかしてどっかで横領されてるのかな??』


ふむ。

お爺さんなのか。

諏訪の老人達って藤山家の事が大好きっぽい感じだから、確かにお金を着服しているなんてちょっと考えにくい気もするね。


『ちなみに、作った和紙はどう言う販売経路で売ってるの?』


『一々各地の退魔師のところからオーダーを受けて発送するのは手間がかかり過ぎるって言うんで全部一括で退魔協会に売って、あっちが退魔師の方へ個別に売って郵送も請け負ってるって話だったと思う』


あ〜。

『それって絶対退魔協会の方で誰かが中抜きしてるでしょ。

組織としてやっているのか、個人が横領しているのか知らないけど、他の二番手とか三番手の和紙メーカーと価格差が出ない様に調整しているって名目でがっつり値上げして売ってるんじゃない?』

藤山家の人間は製造元から直接入手しているし、それだってそれなりに高いと私も碧も思っていたけど、考えてみたら私らが入手している和紙の値段と退魔協会で売られている符の売値と比べたら10倍以上の価格差があるんだよね。


てっきりそれが符を作った術師の技術料なんだと思っていたけど、実はそのうちのかなりの分は退魔協会の誰かの懐に入っているっぽい?


まあ、最終売値を知らない製造者から安く買い叩くのは違法行為じゃあ無いだろうとは思うけど、利益をちゃんと分け与えないのは誠意ある行為ではないよね。


『そうかも?

今度、どこか退魔協会から和紙を買っている退魔師にいくらで買っているか聞いて、値上げ交渉を退魔協会とする様に尾山のお爺さんに言うわ〜。

いや、智子叔母さんに言ったら自分で受注と配送手配をするって言うかも。

ここまで手間を掛けるほど本来の利幅が大きいなら、近所のおばさんとかをパートで雇えば十分カバーできるでしょ。

あまり儲からないんだし、もう一族用だけを細々と作って事業そのものは廃業しようかともこないだ言ってたんだよねぇ』

碧が付け足した。


おいおい。

退魔協会、欲をかき過ぎたせいで金の卵を産むガチョウが引退を考えていたようだよ?


まあ、それはさておき。

『で、この問題の背景を脩さんとか絵梨花さんにどう説明したら良いかな?』


ちなみに情報を得た手段も微妙に合法的じゃないけど、田端氏に鈴木絵里やその父親を罰する様動いてもらえるんかね?


駄目だったら最後の手段として碧が白龍さまに泣きつくと言う手もあるかもだけど、出来れば人を罰するのは第三者の手でやって貰いたいところだ。


鈴木絵里は実行犯に近いとは言え、本人がやったことはハニトラに近い結婚詐欺モドキなので能力を封印する程度で良いだろうが、父親の方は隣家でボヤを起こしたり絵梨花さんに呪詛を掛けさせたり、それなりに重篤な犯罪を犯している感じだからきっちり罰せられるべきだろう。


・・・退魔協会の人間が呪詛を依頼した場合って、刑罰はどうなるんだろ?

命を狙う様な呪詛じゃ無かったから能力を封じて刑務所行きなのか、それとも実効性を分かっているのに呪詛を命じた段階で問答無用に死刑なのかね?


『う〜ん、それなりに明け透けなやり取りをメールでやってるから、それを元にその女を起こして鎌を掛ければ自白させられるかも?

ちなみにこいつに意思誘導を掛けて正直に答えたくなる様に出来る?』

碧が尋ねてきた。


『この人も黒魔術師の適性持ちだからあんまり露骨にやったらバレるけど、未熟っぽいから他者に対して意思誘導を使うのを妨害しつつ不安感を掻き立てるぐらいの事は出来るかな?

それで自爆するか否かはやってみないと分からないけど』

能力を封じちゃってから意思誘導を掛ければやりたい放題に近いけど、第三者に最終的な罰則を任せるつもりだとしたら出来ればあまりこちらの違法行為が露骨に証拠として残らない方がいい。


まあ、被害者として脩さんの洗脳を解く為に鈴木絵里の能力を封じる必要があったと主張するのも可能かもだけど。

だが、そうすると独学とは言え『成人男性をある程度洗脳できる程度の能力がある黒魔術師』を封じる事が出来るだけの能力が私にあるって退魔協会に公式に知られちゃう事になる。


それは微妙に避けたいところかな。


『よし、じゃあそれでやってみよう!』

碧が頷いた。


「脩さん、絵梨花さん、何か見つかった?

こっちのタブレットには中々意味深なやり取りがあるから、この女性を起こしてちょっと尋問しようかと思うんだけど」

碧が家探ししていた二人に尋ねる。


「こっちは特に何も役に立ちそうなものは無いわね〜。

考えてみたら、今時やりとりは全部携帯かタブレットだから、引き出しを探しても大したものは出てこないわよねぇ。

悪事の裏を説明して分け前を合意した正式な契約書類なんぞ、違法行為をしている時に作っている訳がないし」

絵梨花さんが溜め息を吐きながらリビングのソファに座り、額に手を当てた。


あ〜。

呪詛で引き起こされた光過敏アレルギーもどきで頭が痛いのかな。

先に呪詛を返しちゃうべきかも?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
これは天罰案件ですね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ