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ミキタビ始めました!  作者: feel
4章 決闘の街
193/293

爆発 193


 シャンシャンが前に立ち、その背中に隠れるようにして駆け出した二人。


 ダモクレスは二本の剣を構えて、シャンシャンを見据える。


「そんなに見るのは失礼アル」


 シャンシャンは言葉と同時に手を合わせる。すると、ダモクレスの手にしていた長剣の柄が爆発を上げて、左手にしていた長剣が飛んで行った。


 ダモクレスは即座に右手に持っていた長剣を両手に持ちかえる。その間に、手を伸ばせば触れる距離まで近づいたシャンシャンは左のポケットから小さな瓶を取り出し、ダモクレスの顔面へと放り投げた。


 ダモクレスは瓶が顔面に届く前に切り裂こうと剣を振りかぶる。だが、剣が瓶に触れるよりも先にシャンシャンが指を鳴らす。その瞬間、瓶は爆発を受けて粉々に砕け散った。


 砕け散った瓶からは真っ黒な液体が飛び出した。ダモクレスは長剣を振るうが、液体は爆風を受けて十分に広がっていたためにダモクレスの視界を塞いだ。


 ダモクレスの動きが硬直した。その隙をリーナは見逃すことなく、手にしていた短剣でロミオの光球のダメージが残っている腹部へと短剣を突き立てた。


 短剣はいとも簡単にダモクレスへと突き刺さり、傷口からは大量の血があふれ出す。リーナはそこで攻撃を止めることなく、次なる攻撃に出るために短剣を引き抜こうとする。しかし、ダモクレスの腹部に刺さった短剣は突き刺さったままびくともしなかった。


「リーナ!」


 真横にいたシャンシャンが声を上げて、リーナの腹部を蹴飛ばした。


 リーナはその予想外の衝撃に短剣から手を離して吹き飛ばされる。


「っげほ、っげほ」


 腹部を蹴られたことにより、肺から空気が上がったリーナは咳き込みながら立っていた方角を見つめた。すると、そこには左足を失ったシャンシャンが片足で立っていた。


「シャンシャン!?」


 リーナが駆け寄ろうと立ち上がると、シャンシャンは指を鳴らして自身の後頭部を爆発させた。シャンシャンの体が前に傾く。


 自殺行為。そう見えた行動は、その後すぐに頭部のあった位置を走ったダモクレスの長剣を回避するためだったとリーナは理解した。


「片足を失ってもなお諦めないか。その覚悟は認めよう。だが────」


 ダモクレスはシャンシャンに言葉をかけながら、シャンシャンの頭部を切り損ねた長剣を翻し、振り降ろす形で再び振るった。


 シャンシャンにその攻撃は見えていない。さらにシャンシャンは先の爆発の影響を受けており、爆発を使った回避を行えるとは思えなかった。


「アルト・ノリス!」


 シャンシャンの頭部を寸分の狂いなく切り降ろすかのように思えた長剣。だが、その剣身がアムリテの放った拳ほどの水球により、狙いがずれる。そのまま長剣はシャンシャンの頭部を切り裂くことなく、再び頭部の真上を素通りして床に突き刺さった。


「感謝するアル」


 爆発の反動から立ち直ったシャンシャンは前に傾いた姿勢から腕を真上にあるダモクレスの顎へと向けて伸ばし、顎に触れる寸前のところで勢いよく手を叩いた。


 すると、ダモクレスの口内かから大きな爆発が起こった。


 シャンシャンはダモクレスが動き出す前に小さく手を二度叩く。それは追撃ではなく、自身の肩の前方に爆発を起こしてダモクレスから距離を取るための爆発だ。


 その行動を見たリーナは短剣を諦めてシャンシャンの元へと駆け寄る。


 左腿から大量の血を流して顔が青ざめているシャンシャン。だが、その視線は常にダモクレスへと向けられていた。


「……ヨイラ、血を止めるネ」


「まだ戦うつもりですか!?ロミオさんの応急処置は終わりました。すぐにでも横になって────」


「───その瞬間、私達は殺されるアル。早く止血するネ」


 シャンシャンが見つめる先に立っているダモクレス。その表情はいまだ闘志に溢れており、一切の油断を許さないだろう。


 ヨイラはロミオから手を逸らして、シャンシャンの左腿へと淡い緑色の光を誘導した。


「アムリテ、足止めだけなら何秒持つアル?」


「……十秒。それ以上はたぶん無理ね。突っ込まれたらどうしようもないわ」


「……リーナ、よく聞くアル」



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