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ミキタビ始めました!  作者: feel
4章 決闘の街
182/293

班員 182


 オウジンとオーナーを先頭とした合計八人は、オーナーが保有する三つの車両に分かれて目的地へと向かっていた。リーナとアムリテは最後尾の車両に乗っており、そこにはヨイラという若い女性と無口で細身な色白のシャートと言う男性が乗っていた。


 リーナはオーナーの口から名前を聞いていたヨイラへと話しかける。


「あの、リーナって言います。よろしくお願いします」


「うん。オーナーから少しだけ聞いてるよ。ヒイロさんの友達なんだってね。でも、ヒイロさんを助けたいと思うのは良いけど、二人は戦いに参加しちゃだめだよ?」


 ヨイラは右手の人差し指を立てて、リーナとアムリテに注意する。


 その注意が気に入らなかったのか、アムリテは怒気を孕んだ口調でヨイラに反論した。


「あたし達が邪魔になるって言うの?確かにヒイロとかオウジンには敵わないけど、シャンシャンとロミオには勝ったんだから!あんたよりもよっぽど強いの!回復魔法が使えるからって────」


「──三秒。これが何の秒数か分かる?」


 ヨイラはアムリテの言葉を途中で遮り、右手の指を三本立ててアムリテの前へとやった。


「あなた達とシャンシャンさんが本気で戦った場合に生きられる秒数。ロミオさんの場合はもう少し長いかな?それでも一分と持たないと思う」


「な、何言って……」


 困惑するアムリテの腕をヨイラはおもむろに掴み上げる。アムリテは必死に腕を引き離そうとするが、腕を掴んでいるヨイラの指はピクリとも動かない。


「私との戦いならこれで終わり。刃物で血が流れても終わり。長時間戦っても終わり。あなた達がランキング勢に勝ったのは誇れるけど、それはあくまで武器がランダム、しかも殺害が禁止されているという状況だったのを忘れないで」


「ヨイラ、そのくらいにしろ。それ以上二人を脅すなら、オーナーに報告するぞ」


 ヨイラの言葉にリーナとアムリテが気圧されているのを見かねてか、乗車したときからずっと無言を貫いていたシャートが口を開いた。


「シャートさん、だって……」


「その二人が四位と五位に勝ったのは事実だ。お前はそれに嫉妬してるだけだ。別にそこはどうでもいいが、無駄に空気を悪くするな。息が詰まる」


「……すみませんでした。お二人も失礼しました。少しムキになっていたかと…」


 シャートに叱られたヨイラは二人に頭を下げる。


 その様子にリーナは慌てて、胸の前で両手を振った。


「そんな!私もシャンシャンに勝てたのは運だったと思ってますし、アムリテもちょっと緊張してるからだと思うんです」


「……そうね。悪かったわ。あんたの言うことも一理あるし、お互いに今のはなかったことにしましょ」


 アムリテは仲直りの印として手を差し出し、ヨイラはその手を握った。それでこの話は終わりかと思いきや、そんな様子を見ていたシャートが再び口を開いた。


「アムリテ、だったな?別にどうでもいいが、ヨイラが今言ってたのは全部本当の事だからな。無しにして突っ込んで味方の足だけは引っ張るなよ」



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