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ミキタビ始めました!  作者: feel
4章 決闘の街
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ヒイロ対オウジン 170


 ヒイロがオーナーの後を追って控室から出た後、戦闘場中央にジャッジが現れてヒイロとオウジンの解説を始めた。決闘の開始を今か今かと待ち望んでざわざわとしていた数多の観客も彼の解説に耳を傾け、決闘場は十分な静寂を持つ。そこに満を持して槍を握ったオウジンが登場した。


 オウジンの登場により決闘場の静寂は破裂し、大歓声が沸き上がった。


 当の本人はそれを気にする様子もなく、指定されていた戦闘場の中央手前まで進むと、じっと視線の先にある通路を睨みつけた。


「それでは王者、ヒイロ選手、お願いします!」


 なおも冷めやらぬ歓声はジャッジの言葉に更なるボリュームを持ち、通路の影から斧を握ったヒイロが現れた瞬間には決闘場が振動するほどの歓声が沸き上がった。


 ヒイロは歓声を上げる観客席全体に手を振り、ニコリと笑いかけながらオウジンのように戦闘場中央手前まで足を進めた。


「それでは皆様も待ちきれないことでしょう!王者ヒイロ対二位オウジンの決闘を始めてください!」


 ジャッジは開始を告げると共に中央から飛びのいて安全圏まで避難した。


 ヒイロとオウジンはそんなジャッジを見向きもせず、ただお互いを見つめる。


「お互い引き運がないですね。よりにもよって、斧と槍だなんて…」


 ヒイロは互いの持つ武器を見比べて愛想笑いを浮かべる。そんなヒイロを見つめるオウジンは表情を一切変えなかった。


「……あんまり、話してると怒られそうなので私から行きますね!」


 オウジンからの返しが無いことを確認したヒイロは、手にしていた斧を手放すとオウジンの顔に向かって跳躍し、右足のつま先でオウジンの顎を蹴り上げた。


 オウジンはそれに反応できずに顔を上空に向けさせられる。


 オウジンの視界を逸らすことに成功したヒイロは左足でオウジンの脇腹を横蹴りした。しかし、その攻撃を受けたオウジンは一歩も動くことなく、受け止めた。


 ヒイロが見上げなければオウジンの顔が見えないほどに二人の身長差はあり、それは体格にも出ているためにヒイロの二連撃はオウジンに大したダメージを与えることはできなかった。


 横蹴りで大したダメージにならなかったヒイロは一度後方に跳躍した。


「これまで通り、ですね……」


 ヒイロは大して焦る様子も見せずに拳を握り締め、オウジンへと駆け出した。


 その速度はリーナと戦っていた時同様に、驚くべき速さでオウジンとの距離を詰めた。


 そして、オウジンの懐に潜り込んだヒイロはオウジンの腹部に向けて掌底を繰り出し、そのままの勢いでオウジンの太い腕に肘撃ちを、太い足には膝蹴りを与えた。


 しかし、それらを食らってもなおオウジンに動く気配が見られず、ヒイロが不審に思っていると、オウジンの口が開いた。


「…………降参しろ」



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