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ミキタビ始めました!  作者: feel
4章 決闘の街
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リーナ対ライトクレイル 147


 ロミオとヒイロからの訓練を数回受けたリーナは、第一試合が終わる少し前に訓練を切り上げて控室に戻っていた。


「それで?訓練場はどうだったの?いい感じだった?」


「うん!考え方が変わったって言うか、増えたかな!アムリテも来ればよかったのに」


 そう言われたアムリテはソファの上に寝転がりながら、手をひらひらと振ってあくびをした。アムリテが猫ならば、尻尾もゆっくりと振っている姿が目に浮かぶ。


「こうしてないと魔力が溜まらないのよ。何なら寝てもいいくらいけど、一日目は二戦目で終わりらしいから待っててあげてるの。これで負けたりしたら許さないからね?」


「あはは。ありがとう。ちゃんと、全力で戦うからしっかり見ててよね」


 リーナは握り拳を作って気合を入れ直した。


 そんな二人を横から見ていたヒイロが口を開いた。


「リーナさん、次の決闘で第一試合は終わりなので、控室に行きましょう」


「あ、うん!あれ?ヒイロも行くの?一試合目の時と同じなら、場所は分かるけど…」


 ヒイロはリーナの言葉に驚いたように肩を震わせ、額に汗を滲ませた。


「ヒイロはその力を見込まれて決闘場の警備を一部担っているんだよ。決闘の事故の防止とかもね。その準備で控室に行くんだろう?」


「あ、はい!その通りです!ほら、控室にも何人かのジャッジはいましたよね!?あんな感じです!」


「そ、そうなんだ…。頑張ってね?」


 ヒイロの剣幕に圧倒されたリーナは数歩引きながら、その説明に納得した。


 そうして、リーナとヒイロは選手用の控室へと足を運んで行った。


「ねぇ、シャンシャン。薄々気付いてたけど、ヒイロって…」


「そう言う事アル。本人もどうしてバレてないのか不思議に思ってるレベルネ」


「そりゃあ、リーナだからでしょ。まぁ、言わない方が面白いと思うし、あたしも見守らせてもらうわ。ところで、訓練場に行く前にヒイロに時間を作って欲しいって言ってたけど?」


「今日の試合が終わった後ネ。気になるならアムリテも来るアル?」


 シャンシャンから誘われたアムリテだが、魔力切れの事もあり、悩むことなく断った。


「残念アル。ヒイロとの戦いは良い訓練になるネ。魔法使いでも良いと思うネ?」


「あ、ご飯の誘いじゃないんだ。もっとパス」




 数十分後、リーナが長剣を持って戦闘場に現れ、観客席に座る数名から歓声が上がった。


 その歓声にリーナは戸惑いながらも頭を下げて、笑みを浮かべた。


「あんた、どうして笑ったんだ?もしかして。俺を笑ったのか?なぁ、そうなんだろ?」


 突如前方から飛んできた声にリーナは驚いて、目を向ける。そこにはリーナよりも少し小さな背をした少年が槍を持って立っていた。


「いつもいつも俺を馬鹿にして…。一体、俺がなにしたって言うんだよ…」


「怒らせたならごめん。けど、あなたを笑ったわけじゃないの。みんなが応援してくれたのが嬉しくって」


 リーナの言葉に少年はさらに皺を寄せて親指の爪を噛み始めた。


「なんで俺だけなんで俺だけなんで俺だけなんで俺だけなんで俺だけなんで俺だけなんで俺だけなんで俺だけなんなんなんなんなんなんなんなんなんなんなん…」


 爪を噛みながらつぶやく少年の親指からは血が流れ始め、決闘場の床に少年の血が数滴垂れている。


「それでは第二試合、リーナ選手対ライトクレイル選手の決闘を始めてください!」


 ジャッジの掛け声に合わせてリーナはライトクレイルへと駆け出した。その目から戸惑いは消えており、ただライトクレイルの四肢の動きを見逃すまいと思考と視線を切り変えた。


「ほら、そうやってそんな目で俺を見る。もう、俺がなにしたって言うんだよ!?」


 ライトクレイルは口から爪を外し、前かがみになって怒声を飛ばした。


 その怒声をリーナは気にすることなく、ライトクレイルに向けてロミオが訓練場で放ったような切り上げを放った。


 その長剣をライトクレイルが槍でいなすだろうと思っての一撃。しかし、リーナの思惑とは変わり、その長剣はライトクレイルの太ももへと深く刺さった。


「痛ってええええええ!?」


 リーナはその悲鳴よりも攻撃に成功したことに驚き、次の瞬間に自分の思考が遅れてたことに気付いた。


 その瞬間、リーナは足に力を込めて後ろへと退くが、ライトクレイルからの半夏委はなかった。


「もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!もう嫌だ!」


 ライトクレイルは太ももに痛みを忘れたかのように頭を掻きむしり、頭皮から血を流す。


 その光景にリーナは恐怖を感じた。




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