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ミキタビ始めました!  作者: feel
1章  初めての王国
13/293

豹変と躊躇い 13


 「リーナさん、時間ですよ」


リーナは横からの声に反応して、体を起こした。不思議と眠気はなく、気持ちのいい爽快感が体を満たしていた。


「起こしてくれてありがとう。それじゃ、行こうか」


リーナが体に着いた泥を払い落とし、森に入ろうとすると


「待ってください。今度は僕が前を歩きます。その方が確実に早いと思いますから」

「そ、そっか。ならお願いするね!」


リーナはパーツの様子に少し戸惑いながらも、パーツの後ろをついて行くことにした。


「はい、でも何かあった時はお願いします。聴覚や嗅覚はおそらくリーナさんの方が鋭いと思いますから。あと、見つけた際の狩猟もお願いします。僕では気づかれて逃げられるか返り討ちにされるだけなので」

「わかった!期待に応えられるよう頑張るよ!」


そう言って、二人は再び森へと足を進めた。


パーツの言動ははたから見たら、他人任せにしているように見えそうだったが、リーナは休憩前までのパーツに比べるとすごく合わせやすくなったと感じていた。



「リーナさん、そこの木の下に一匹います」


パーツとリーナはベルウルフと遭遇した場所から五分程度歩いたところで立ち止まり、姿勢を低くした。辺りはもう暗くなり始め、草の陰に隠れれば人さえも見つかるか怪しいほどだった。


「もしかしたら、影に仲間がいるかもしれません。僕だけ右から大回りして確認するので、正面のホーンラビットを見ていてください」


リーナは静かに頷き、木の根元から不自然に上へ伸びている角を見逃さないようにする。パーツは中腰に

なりながら、木の裏を確認するために動き出した。

木の裏にもう二匹固まっていてくれれば、そう願いパーツからの合図を待つ。しかし、リーナはパーツからの合図がどのようなものかを聞くのを忘れていたことに気付いた。


うーん、パーツ君のことだからアイコンタクトなんてことはないよね…?でも、休憩から雰囲気が変わった

からなぁ…。


そんなことを考えていると、木の裏から小さい光が二回光った。


それを攻撃の合図と思ったリーナは目の前のホーンラビットの角に手を伸ばす。ホーンラビットの角をしっかり掴む───はずだった手は空を切る。リーナが手を伸ばした瞬間に角は地中に潜ってしまったからだ。


「うそ!?」


空を掴んだ腕につられ体が前のめりになるがどうにか転倒を防ぐ。体勢を立て直し、ホーンラビットがいた方を見るとそこには大きな空洞が空いているだけだった。


「リーナさん!捕まえましたか!?」


若干興奮気味のパーツがリーナに駆け寄る。


「ごめん…」


せっかくのチャンスを無駄にした申し訳なさと、わがままに付き合ってもらったこともあってリーナは声を落とした。


「いえ、次に行きましょう。合図を決めていませんでしたし、ホーンラビットの捕まえ方を教えていなかった僕の責任でもありますから」

「いいの…?もう時間も…」


空はすっかり暗くなり、一直線で歩いてきたから帰れることは帰れるだろうが横へそれた場合には帰れるか分からないほどだった。


「はい、だから次がラストです。無理ならラストですし、三匹以上いなくてもラストです」

「うん、ありがとう!でも、居場所はわかるの?」

「さきほど、多数の糞と足跡を見つけました。まだ乾いていなかったので、一家族なら見つけられるかもしれません。すぐに行きましょう」


そう言ってパーツは歩き始めた。リーナも気を取り直して次こそはと意気込む。


「あ、ホーンラビットの捕まえ方を教えてもらってもいい?不意を突いても地面に潜られたら…」

「さっきのホーンラビットって斜めに角が出てませんでしたか?」

「あー、そう言えばそうだったような?」

「ホーンラビットを捕まえるには、飛び出ている角の方向と対になる地面を攻撃するのが楽ですよ」


攻撃と言う言葉にリーナは腰にある短剣を想定した。


「それに、いつでも狩りや逃亡ができるようにホーンラビットの周りの土はとても柔らかいんです」

「なるほど、だからあんなに早く逃げれるんだね」


次は容赦なく短剣で刺すことをリーナは覚悟する。少しの罪悪感はあるが、背に腹は代えられない。


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