学校
テスト明け、週末をはさんで再び学校が始まった。
真は前回の戦いで割と深めの傷を負っていたが、内臓が飛び出るような深刻なものではなかったので、この週末は自宅で静養していた。
「まこっちー! 進ー! おはよ!」
「「おはよー。」」
「傷は大丈夫?」
「もうほとんど治ったよ。そこまで深刻じゃなかったし。」
「そっか、よかったよかった。」
その後、途中でかよも合流して4人で学校へ向かった。
授業を受け、真は友達と昼ごはんを食べていた。すると校内放送が流れる。
「2年C組の御堂真くん、放課後職員室へお越しください。」
真は耳を疑った。
「え、俺なんかした…?」
「真ー、ついに悪さがバレたな笑」
「いや、悪いこととかしてないわ笑」
放送を聞き、進がやってきた。弟の姿を見つけ、廊下で話す。
「兄ちゃん、なんかした…?」
「いや、してねぇよ。ま、強いて言うならこの町の人救ってるけど?」
「まあ、そうだけど…。ん、待ってよ、そういえばこの前、動画撮られてなかった?」
「ああ、そういえば野次馬が撮ってたな」
「それの話かもしれないよ。これなんですか?みたいな」
「有り得る…。コスプレとかショーとか言っとくか…。」
残りの授業を受け、放課後を迎える。
「めんど…。」
真はしぶしぶ職員室へ向かった。
「失礼します…。」
「ああ、御堂くん、とりあえず座って。」
「はい。なんでしょうか…。」
先生はパソコンを見せる。
「これさ、御堂くんだよね…?」
そこには、予想通り野次馬の誰かが撮影した動画が映されていた。
「そうですね…。」
「パニックになったらしいけどさ、何してたの…?」
「これはちょっとした稽古というか…。本当に後悔しています…。ご迷惑お掛けしてすみませんでした。」
「部活の稽古ってこと?」
「まあ、そんなとこです…。」
「なら部活でやれよ。」
「ごもっともでございます…。」
真はひたすら自分が悪かったと主張し、大事にはならずに済んだ。
「SNSって怖いな…。さっさと帰るか…。」
真はぼそっと呟きながら校舎から出て、体育館のほうを通っていた。意外と時間がかかっていたようで、外は暗くなっていた。
「御堂ー!」
後ろを振り返るとさっきまで喋っていた先生が呼んでいた。
「はい! なんですか先生…!」
「ごめん、一応さっきの話は先生の間で広まって今回御堂に確認したものだから、このプリントに理由書いといて! 証明書みたいなもんだから。」
「分かりました! わざわざすみません。」
「あと、今週のどこかで生徒会長が御堂と喋りたいらしくて、その呼び出しもあると思うからよろしくな。」
「え、なんでですか…?」
「詳しくは聞いてないが、なにか確認事項とかあるんじゃないかな。」
「そうですか…。分かりました。」
「じゃ、暗くなってきたし気をつけて帰れよ。」
「はい。ありがとうございます。」
そう言って歩き出すと、先生が何か喋っている。振り向くと、先生の目の前に少し暗い印象の学生が立っていた。
(へぇ、まだ学生いたんだ。)
そう思いながら目をそらそうとしたとき、違和感を感じた。先生の様子がおかしい。その場に硬直しているような状態だ。
「先生…?」
真は先生に話しかけてみるが反応はない。先生の元へ近づくと地面に血溜まりが出来ていた。
「おいおいおいおい、うそだろ…。学生に紛れてたのか…!?」
先生の体は爪に貫かれ、大きく穴が空き、血が溢れている。どうしようもない。
「お前…!!!」
真は、刀を発現させ斬り掛かる。
妖は3本の爪を寄せ集め、刀を突く。すると刀が真っ二つに折れた。
「一点に力を集めて攻撃してくるってことか…。危ねぇ…。」
真は距離をとりつつ、之とかよの3人で作ったチャットに電話をした。
「もしもし? どこ…??」
之だ。真は場所を伝える。
「わかった! とりあえずチャットにも書き残してそっち向かうね!」
(よし、これで最悪でも2対1…! それまで持ちこたえろ…!!)
真は深く息を吸い込み、妖を睨みつけた。
ついに一般人が被害にあってしまいました…。
今回の敵の攻撃は少し特殊ではありますが、生身の人間だと大きな穴が空いてしまうほどです。
能力者との違いを感じますね。
また、先生はなにも声を発していないことから、攻撃も一瞬で気付くこともできなかったのでしょう。
この戦い、一体どうなるのか…。次回に続きます!