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ゼアプロディジー  作者: つんく
ー妖との戦いー
8/26

コンビネーション

 街はパニックになっていた。

それも仕方ない、今までと違い人が多い。



 「え、あれ何…?」



 「刀…? 本物か? コスプレかなんかか?笑」



 この緊迫した状況を見慣れていないからだろう、そこにいる人はパニックでその場から逃げる人、ショーかなにかだと思い込んでスマホで撮影する人でごった返していた。



 「みなさん! 危ないから離れて!!」



 真は必死に伝えるが、野次馬は去ろうとしない。



 (これはやばい、ほんとにやばい…誰が死んでもおかしくない…)



 そう思った瞬間、進が叫んだ。



 「兄ちゃん! 危ない!!」



 真は妖の方を見る。十分に距離をとっている。だが、目の前にその妖の爪が迫っていた。



 (くっ…!)



 ぎりぎりでその突きを刀で反らした。そのとき、刀身の側面で受けたことで刀が真っ二つに折れた。周りにいた野次馬がパニックになる。



 「これはショーでもなんでもない! リアルだ! 死にたくなかったらさっさと逃げろ!!」



 真はその野次馬に叫び、避難を促した。妖の方へ向き直る。



 (こいつの爪、伸びるのか…)



 「君、なかなか強いのかな? それともたまたま今まで勝ってきたのかな?」



 妖が真に話しかけてきた。



 「俺は強い、だから勝った、ただそれだけだ。」



 「…の割には一発くらっただけで武器壊れてるけど…大丈夫?」



 「大丈夫、わざとだから。お前を油断させてぼこぼこにするためにやったから」



 「ああ、そうなんだ…。うっざ! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」



 妖の表情が険しくなる。両手に爪を発現させ、真に向かって突きを繰り出す。


 真は折れた刀を捨て、再び刀を発現させながら上に跳んで避ける。



 「ばーか笑」



 妖はもう片方の爪を空中にいる真に向かって伸ばす。



 「っ! おっら…!」



 空中で体を捻りながら3本のうち1本の爪を弾き、爪を踏むと、そのまま妖の元へ飛び込む。



 「出すのもしまうのも早いんだよ?」



 そう言うと妖はすぐに爪を元のサイズに戻し、振りかぶって飛び込む真に向かって伸ばした。



 「くっそ…!!」



 近くに行くほど到達まで時間が短くなるその爪をかわすが、腕と腹をかする。



 「惜っしいー!」



 妖が残念そうに真を見る。真は地面に着地するとすぐに距離をとり、お互いに睨み合った。



 (厄介だ…。前回から接近戦に不利な戦いばかりだぞ…。)



 すると、妖の周りに光が見えた。


 その直後、妖に向かってくないが放たれる。



 「まこっちー! ごめん、ちょっと遅かった?」



 之だ。今回は之が頼りだ。



 「之! 助かった、ありがとう!」



 「んじゃ、もういっちょ…」



 そう言い、之が2撃目を加えようとしたとき妖はその場から逃れる。



 「おいおいおい! 2対1とか卑怯だなお前ら」



 「それだけお前が強いって評価してあげてるってことだよ」



 「まこっち、心にもないこと言ってぇ…笑」



 「おい嬢ちゃん、それはどういう意味だ?」



 「え、べつに?笑」



 「之、怒らせるなよ。あいつ、爪が伸びて厄介だぞ。」



 「大丈夫! 私に任しとけぃっ!」



 之はそう言うと先ほどと同じように空中からくないを発現させ、放つ。



 「それもう見たよー!!!!!」



 妖は光に囲まれた場所から跳び、逃れる。



 「こいつ、すばしっこいなあ、めんどくさ…」



 妖は跳び、空中から突きを狙う。


 真はすかさず刀では弾く。刀身の側面を滑らせ、軌道を反らす。



 「君、やるなぁ」



 「そんなもんかお前…」



 真は強がったがぎりぎりの戦いを迫られていた。



 (スピードについて行くのも厳しい…。)



 「まこっち、私は遠距離でまこっちは近距離が得意だから、上手く組み合わせて戦えばきっと勝てる。」



 「そうだな…お互いの得意分野で…! よし、行くぞ…!」



 真は妖の元へ爪の突きに注意しつつ突撃する。後方で之が集中力を高め、妖へくないによる攻撃を行う。


 妖は真に攻撃しようとするも、之の攻撃により阻まれる。その隙をついて真は妖に斬り込む。これで爪を伸ばす暇を与えない。



 「あの女、厄介な…」



 「おい妖! 自慢の伸びる爪が使えてないぞ?」



 「お前…!!」



 妖が爪を真っ直ぐに向け、伸ばす。


 真はとっさにそれを避けた。



 (っぶねぇ…あっ!!)



 その爪は真を狙ったものではなかった。真っ直ぐ之を狙う。



 「之ー!!」



 すると之が何者かに突き飛ばされ、爪はその人を貫く。



 「…!? かよ!!」



 そこにはかよがいた。



 「之、大丈夫…?」



 「かよ! ありがとう、助かったよ」



 不死身だとわかってはいるが、その姿は痛々しい。かよの胸に刺さった爪が抜かれると血が吹き出す。



 「…っ!」



 かよは痛みをこらえ、しゃがむ。ゆっくりと傷が治る。



 「かよ! 大丈夫??」



 「大丈夫。之、私おとりになるから2人であいつ倒して…!」



 そこに駆けつけた真もその案を聞く。



 「かよ、お前は大丈夫なのか?」



 「大丈夫、死なないから。」



 「たしかに、私たち2人でやっても今みたいに狙われたら戦いに集中できないから3人がいいかも…」



 「仕方ない、やるしかない…。かよ、頼む…。」



 「うん。任せて。」



 そう言い残すと、かよと真は妖の元へ向かっていく。真の後ろにかよが並ぶ形で接近する。之は真の攻撃に合わせ、胸元を集中的に攻めるため集中力を高める。



 妖が真の姿を確認すると、爪を伸ばし突いてくる。



 「かよ!!」



 そう言うと、かよは真の前に進み、その攻撃を体で受ける。



 「くっ…!」



 そのまま、かよは妖の爪を両手で掴み、抜けなくする。


 すかさず真が刀を向け、妖へ突っ込む。



 妖はもう片方の爪を振るう。



 「片手の攻撃とかもう慣れてんだよ!!」



 真は斬撃を斬って払いのけ、その刀を捨てると再び刀を発現させ、振りかぶる。



 「おらあああああぁああぁぁぁああ!!!」



 真が妖に斬り込むのと同時に、之も妖へくないを飛ばす。



 妖の右腕か切り落とされ、胸元にいくつものくないが突き刺さる。


 間を開けず真が服の裂け目から見えた核に向かって刀を振るう。



 「いっけえええええええええええ!!!!」



 真の振るった刀は核を貫き、見事に破壊した。



 「くそ…」



 妖はばらばらと塵となって消えていく。



 もう街には人の姿はなかった。警告がきいたのだろうか。



 「かよ! 大丈夫か…」



 「大丈夫だって、私死なないから。そろそろ覚えて?」



 「慣れねぇ…」



 お互いの無事を確かめ合い、それぞれの家へと向かう。3人とも疲れ果てていた。ここまでぎりぎりの戦いは初めてだった。


 進は3人の戦いを見て確信した。全員で協力すれば、きっと全ての妖を倒しきれると…。





 SNSには、妖と真の姿が映された動画が出回っていた。


 暗い部屋の中、1人の少年がパソコンに向かい、SNSを確認する。



 「あ、へー、妖ってこんな感じなのか。胸に核があるな…。この子刀使ってるじゃん。へー、戦ってんだなぁ…。」



 そんなひとりごとをぼそぼそと呟きながら、その少年はゲームを始めた。



 「よくやるよ、ほんと…。」

初めて3人で協力して戦いましたね。

かよの捨て身な感じ、なかなか肝が据わってるというか…。


最後に誰か出てきましたね。今後の登場お楽しみに。

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