小を積めば大を兼ねる
普段は賑やかであろう公園に、緊張感が漂う。
(どこからでも武器が出せる…か…。とりあえずはいつも通りの戦い方で…!)
真はその男に向かって走り出す。男は片手を横に振り、もう一方の手は真の斬撃を防ぐため備えている。
真は横から来た斬撃を跳んでかわし、以前と同じように振りかぶりながら刀を発現させる。
「おらあああぁぁあぁあああ!!」
真の斬撃を、男はもう一方の爪で防ぐ。
(くそ、なんか前より硬い…強くなってる…。)
妖は真をそのまま払い除け、次の斬撃のために構える。
真は着地し、刀を見るともうすでに刃こぼれが見られる。
(うわ、やっぱ硬いんだな…何回も変える必要がありそうだな…)
そう思った瞬間、妖が一瞬で目の前まで迫ってきた。
「っ…! あっぶな…!」
真は反射的に刀で斬撃を防ぐ。上下左右からランダムに爪が振りかざされる。
(やばい、刀がもたない…)
妖の攻撃は速度と威力を増し、ついに刀が折れた。
(あっ…! やばい、一旦…!!)
妖の斬撃は止まない。折れた刀で防ぐが、やはり厳しい。両腕にいくつかの斬撃がかすった。血が吹き出す。
「っ!! 痛い…! くっそ、痛てぇ…!!」
真は後ろへ跳びながら、折れた刀を妖へ投げつける。妖がそれを弾いた隙に再び刀を発現させる。
(くそ、之はどこで何してるんだよ…)
再び真は妖に斬りかかった。すると、妖の背後を一瞬何かが横切った。その瞬間妖の動きが止まる。妖は跳躍し、その場から距離をとる。
(何があったんだ…?)
「ごめん! ちょっと本物見て気とられてた笑」
いつの間にか横に之がいた。
「うわっ! え、いつから?」
「今だって!笑 それまでは公園走り回って様子見してた笑でも見た感じ2人なら余裕かもね」
そう言い残すと、真の横にいた之が消えた。
少し離れた妖のもとにいる。
(え…? 早すぎて見えない…!?)
之はくないを手に妖を斬りつける。
その速度は異常に素早く、妖もその速さに遅れをとっている。
斬撃を繰り出すも空振る妖。その斬撃をかわし、防ぎ、本体に細かな斬撃を繰り出す。
(これは…いけるな…!!)
そう確信し、真も刀を手に斬り掛かる。そのとき、妖の背中から新たに2本の腕が発現した。
(え…? まだ腕増えるの…??)
完全に油断していた。腕は2本だと思い込んでいた。
真の斬撃は新たに発現した2本の腕に発現した爪に弾かれる。之とともに一度距離をとる。
「やばくないか…?笑。腕4本とか思ってなかった…前は2本だったのに…」
「真! 私の言ったこと覚えてる?」
「ん? 何か言ったっけ…?」
「おい笑。武器は離れたところでも発現できる。そして、私は操作も得意。」
「それが?覚えてるけど…??」
「これ使わなくても大丈夫かなって思ったけど…。見せてあげる、その方が早いわ。」
すると之は、手に持っていたくないを消した。次の瞬間、妖の周りに一瞬あの電気のような光が走った。何かが大量に妖に刺さった。
「え…? 見えなかった…」
妖は反射的に体の前後を爪でかばっており、それに弾かれたものもあったが、それを上回る数のくないが突き刺さっていた。
妖の全身から血が吹き出す。
「す、すごい…。」
「すごいけどね、これ結構集中力いるよ?笑。全部操作してるからね?? あと、1回じゃ倒せそうもない。一つ一つはやっぱ小さいし。」
「たしかに、傷は負ってるけど致命傷ではない…」
「だったらどうするかっていうと……こうする!」
そう言うと妖に刺さったくないが光とともに消え、再び妖の周りに電気のように光が走る。再び妖にくないが突き刺さる。
「えっ…やば…」
「そう! 何度も何度も繰り返す! それだけ笑」
(こういう戦い方もあるのか…すごい…)
真はただただその状況を見ていた。
妖はそれ以上為す術がないようで、その場で自らの体を爪で覆い、できるだけ防いでいるが、その爪の壁にも穴が空いていく。
妖の体から大量に血が吹き出す。最初の一撃とは比べものにならないほど大量だ。
一体何本のくないが刺さったのだろうか。
妖は力なく塵となっていく。いつの間にか核を破壊していたのだろう。
妖が消えると、之がその場に座り込んだ。
「之、大丈夫か…?」
「あー疲れた! こんなに必要なの…?笑 今まで練習とかでやってたけどやっぱり妖って硬い! どんだけ頑丈なの?笑 めっちゃ疲れた笑」
「お疲れ…! ていうか今回は之のお陰だった。ほんとにありがとう。」
「それはお互い様だって。もしあの状況で妖が俊敏に移動し始めたら集中力切れるし絶対無理だった。真もいたから安心して攻撃に集中できたんだよ。やっぱ協力しないと勝てないんだなって…。」
「そうだな…1人だとほんと無理だった。」
そう言うとズタズタになった両腕に再び目を向けた。
「うっわ…やばい、割と傷が深い…」
ぽたぽたと血が滴る。
「と、とりあえずタオルかなんか巻いてさっさと帰ろっか…」
「そうだな…てかタオルなんかないんだけど」
之は周りを見渡し、新しく買った制服を差し出す。
「新しいの買ってね?笑」
「…笑。わかった、4つ買って返す。」
2人は荷物を持ち、再び駅へと歩き出した。
真の制服は血にまみれ、ところどころ破けていた。
(これは、破らないとか無理だなたぶん…)
さっそく新しく買った制服に着替えた。
真はこれからの出費にも不安を抱えながら公園を後にした…。
初めてのあとがき。設定というか裏話。
真からすると之は異常に素早かったようですね。
それもまた能力です。
それぞれの武器を発現させるのも能力ですが、身体的な能力もあります。
之の場合はそのすばやさも能力です。
真の場合は身体能力の剣技です。刀の扱いには抜群に長けています。したがって腕の筋肉量も多いため、今回の戦いで腕に傷を負いましたがそこまで重症にはならなかったです。普通ならあのくらいで腕ちぎれてます。
之の戦い方は、手にくないを持っての接近戦、遠距離から発現させての攻撃があります。
離れた場所に発現させるには武器の形、質感など具体的に想像し、敵へ投げるイメージが必要です。
想像力豊かな之だからこそ得意な戦い方です。
ちなみに、之は中学生で美術と体育だけずば抜けて成績が良いです。




