チームワーク
ちょっとグロいかもしれないです(一応)
「仲間から離れろ…」
小野寺だ。屋根の上からここへ飛び降りつつ、女の子の顔を殴ったらしい。その威力は凄まじく、間近に繰り出されたパンチの風圧にしびれを感じた。
「御堂、一旦離れるぞ。」
小野寺はそう言うと、真を女の子から引き剥がし、跳躍する。
上から奴らの様子を伺う。じわじわと再生する女の子と、こちらをじっと見る男の子が見えた。
「頭には核はなさそうだな。とりあえず透に確認してもらおう。」
「そうですね…。」
真の肩に爪が刺さったままになっている。
「大丈夫か…!?」
「と、とりあえず抜かないと…なんか痺れてきて…」
小野寺は躊躇することなく爪を引き抜く。
「ってえええええぇぇぇえああ!!!」
引き抜いた部分から血が噴き出す。爪は貫通していたが、なんとか左肩はくっついていた。
「危なかったな…下手したら左肩無くなってるぞ…」
真は左肩を必死に押さえ、出血を少しでも早く止めようとしている。
「おい、大丈夫か…?」
「まこっち…?」
遅れて透とかよが合流した。
「え、めっちゃ重症じゃん…」
透は声を震わせながら真に声をかける。
「だろ…笑。なんかな、2体いるんだよ…」
「2体…? てことはそいつら倒したら残り2体になるってことか…?」
小野寺が冷静に答える。
「数で言えばその通りだな。とりあえず、目の前に妖がいることに変わりはない。それに集中しよう。」
「でも! 今、文化祭だよ?? みんな巻き込まれたら…」
「1人…巻き込まれたよ…。俺の目の前で…。」
真は苦しそうに話した。沈黙が走る。
「私たちは訓練して強くなったはずだ。負ける訳がない。チームワークが大切だ。」
3人はそれを聞いてうなずく。
「よし、どうしましょうか先輩…!」
「とりあえず透は、核の位置を伝えたあとなるべく高く遠い場所からの狙撃をしてくれ。」
「分かりました!」
「私たち3人は近距離専門だから、うまく2体を分散させよう。かよはなるべく死なないようにね。」
「「分かりました。」」
「じゃあとりあえず核見ときます。」
屋根の陰になっている、妖がいた場所を透視する。
「あれ、1体しかいない…」
すると、透の背後に女の子が現れ、爪を構える。
「1人目…」
「透…! 危ない!!」
真はとっさに刀を発現させ、爪を弾く。
「っぶねぇ…!!」
「君、負傷してるのに…やるじゃん! 御堂くん…!」
続けざまに真の背後から小野寺が殴りかかる。
「よっと…」
女の子は後退し、それを避ける。
繰り出された拳で建物の屋根に大きな穴が空いた。中から悲鳴が聞こえる。
「うわー、一般人巻き込んでる…。ほんとあんた達能力者は最低。」
「そういうお前はさっき1人殺してるがな…。」
「頭だ! 頭にある!!」
透が核の場所を把握したようだ。
「透、助かる。…ん…? 頭…? この女の子の方は…?」
小野寺は思わず聞き返す。
「…2人とも頭だけど…」
(待て、さっき私は頭を破壊した…。)
「あちゃー、バレちゃったか…てか、君、地味にウザイね…」
女の子が再び透に襲いかかる。
「透!! とりあえず離れろ! 離れてそこから狙え…!!」
真が刀で女の子を止める。
「わ、わかった! 助かる!!」
透は屋根を飛び移り、距離をとる。
「ちっ…。さっきからさ、ほんとあんたは…」
女の子は左右の爪で刀を狙って斬りつけてくる。一瞬で刀が折れた。
「ほら、あんた、こんなもんだよ。弱いのに…いちいち邪魔すんなよ…」
刀を破壊したそのままの勢いで真の胸を狙う。
「そうだよ、だから私たちはチームで戦うんだ。」
小野寺は横から腕ごと殴って吹き飛ばす。さらに、かよが両手に持った爆弾を、女の子の頭を挟み込むように押し付けて爆発させる。
右肩と首から血を流しながら、女の子が膝を折って座り込む。
「やったの…?」
爆発で両腕が消し飛んだかよが思わず確認する。
「…のはずだ…。」
だが、核を破壊すると妖がすぐに消えていく現象が起きていない。
「おかしい…さっきもたしかに…」
すると遠くから矢が飛んできた。その矢は真たちを越えていった。
矢を追って振り向くと、男の子が間近まで迫っていた。
男の子は矢を軽々と払いのける。
「…お姉ちゃん…お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん」
そう言いながら男の子は爪を発現させ、かよに近付く。
「君も同じように吹き飛ばされたい…?」
かよがそういったとき、いつの間にかかよの首が無くなっていた。
「…お姉ちゃん…」
両腕をほぼ再生していたが、かよは首から血を出しながら同じようにその場に座り込んだ。
「御堂、こいつは早すぎる…こいつが本命だと言っていいかもしれない…。」
「私のこと忘れないでね…?」
振り向くと女の子が元の姿に戻り、小野寺に斬り掛かる。
「…!?」
両腕に甲冑を発現させ、なんとか斬撃をしのぐ。
「なんで…? どうなってんだ…?」
「御堂、訓練の成果を…。」
「わかってます…。じゃなくても勝てるかわからない…ですけど…。」
首を無くしたかよを抱え、一旦距離をとる。
(あっちもチームってわけか…これは息を合わせないと…合わせても……)
そんなことが起きているとは知らず、文化祭は盛り上がりをみせていた…。




