強くなるということ
その日から訓練の日々が始まった。
「部活最近来てないけど…大丈夫か…?」
「心配ありがとうございます…! ちょっと怪我が治らなくて…」
「そうか、気をつけろよ…。」
真は最近ずっとこの調子で部活を休み、学校終わりに博物館に通っていた。
博物館というより、道場だ。
「っすー。」
「透、早いな…」
「まあ、帰宅部なんで帰るのは早いんですよ。」
「小野寺先輩は?」
「生徒会らしくて、今日は遅いみたいです。」
真たちは、ここに入るためのキーカードを受け取っていた。
「んじゃ、始めるか…。」
真は刀を手に取る。相変わらず重いくせに持ちやすい。
訓練を始めてから1週間が経過した。幸い、この間に妖は現れていなかった。
ただ、妖と戦っていないのだが、かよを除く3人の身体はかなりぼろぼろになっていた。
「…がっ! キッつい…死ぬ…」
「ほんと…それ……死ぬ…」
「指が…」
かよが心配そうに見てくる。
身体は傷んでも再生するからか、ぼろぼろどころか常に新品だ。
そこへ小野寺がやって来る。
「今日はこのぐらいで休憩しようか。」
この1週間、始めてここに来た時と変わらず同じことを繰り返していた。
真は刀の素振り、之はくないを的に投げる。透は弓を引き、かよは新しい戦い方を模索していた。
だが、誰一人として状況は変わらなかった。たかが1週間、されど1週間。ここまで身体をぼろぼろにしても変わらなかった。
真は相変わらず刀に振り回され、之のくないは壁に少し刺さって床に落ちる。透に至ってはまだ矢を放ってすらいない。
「どうすりゃいいんだよ…。」
なにも進まない。その場で足踏みを繰り返すような感覚。
小野寺は真の暗い顔を見て声をかける。
「私だってここまでなるのに6年かかったからね。しかもそれだけかけても訓練終わりはへとへとだから。1週間でどうこうなるレベルじゃないよ。」
「6年…ですか…。まあ、そうですよね。」
焦る気持ちが4人を包む。ご先祖さまのために死んでたまるか…俺たちが終わらせる…。それだけが彼らを動かしていた…。
「みんな、またまた呼んですまないね。ここからはこまめに話し合いたいんだ…。」
町のとある建物の一室に、4人の人影があった。
「まあ、部屋から出るだけだし、全然構わないんですけどね」
「見た目はこんなじゃが、それくらい造作もない…」
「「なにか場違いな感じですが、こうして会えて光栄です。」」
「あれー、どうしたのそんなに改まって。君たち双子は可愛らしく無邪気にね?笑」
「そうもいかなくなって来たんだよね…?」
「「ですね…。まさかあの女がやられるとは…と思っております…。」」
「しかも妖に帰化したんでしょ? その捨て身の攻めでやられたらね、ちょっとびびるよね、君たちなら。」
「「…。」」
「まあまあ、そこまで攻めてやらんでもよかろう…。主らが死ねば、我々が仇をとる。ただそれだけのことよ…。」
「「それはもちろん、あなた方が負ける姿は想像することもできません…、仇はとっていただけると信じております…。ただ、私たちも…これ以上あの血筋を残すわけにはいかないと心底思っております。」」
「我々に次ぐ強さが認められた君たちなら、きっとどうにかできるさ…。信じてるよ…。次会う時、ここに能力者たちの首を置いて宴を開くか、君が来ないか、そのどちらか…。楽しみにしているね。」
「「はい…。全力で…。」」
双子がその場から姿を消す。
「さーて、神童がいなくなった今、6体の同胞がやられたな…。ここまでとは少しびっくりだね…。」
「だなぁ…。しかも前回は不意をついたはずだったんだがね。」
「君が目を付けてるのは誰だったっけ。」
「ああ、御堂真ね。」
「御堂…ねぇ…。直系だね。」
「そいつの能力は何かの…?」
「刀使いだよ。別に強くないね。単体でいけば瞬殺。」
「なるほど。能力を分けたことによる弊害かな…。神童は何を考えているんだろうね。」
「能力者が死んだらどうなるのかな…」
「未だかつておらんからのぉ。誰が初めをとるか、競走じゃの。」
「直系はなにかあるかもしれない…。瞬殺できたとしても少し警戒しておこう。」
「ああ…。そうだな。」
今回はとくにないですかね。
逆にここまでで聞きたいことなどあれば、コメント?かなにかで気軽にお聞きくださいませ!




