本物の重さ
その部屋には、見覚えのある武器が並べられていた。
「あ、刀…。」
「くない…使ってるのと同じ形だ…。」
「弓矢もある…」
「爆弾まで…あるんだ…。」
4人はそれぞれが使っていた武器を見つけると、間近で見ている。
「実際にそうしたことは当然ないんだが、たぶんそれが壊されると、私たちは武器を失う。」
4人は小野寺の言葉に驚く。
「どうして、そう思うんですか…?」
真がたずねると、小野寺は腕に何かを発現させた。
すると一瞬、傍らに置かれた甲冑の腕の部分だけが光った。
「発現させると、この原本ともいうべき甲冑の、しかも同じ部分が光るんだ。たぶん、ここからコピーしているんだと思う。」
(小野寺さん、甲冑を発現させてたのか…。)
そう思いながら、4人も手元に武器を発現させてみる。甲冑のときと同じように、目の前の武器が光り、手元に同じ形のものが発現した。
「さっきも上で話したが、原本が壊されないように、こうして地下の厳重な場所に保管している。いくら身体能力が高くても、武器なしでは勝機が下がってしまうのは明らかだ。」
「たしかに、そうですね。この刀がなかったら、俺はもう死んでます。」
「原本、持ってみたらどうだ。せっかくだ。」
そう言うと、小野寺は原本である甲冑の右腕部分をはめた。
「普段はコピーを使っているからだと思うんだが、やはり本物は重みとか雰囲気が違う。だから私は、この原本を身につけて訓練してきた。」
4人は少し驚いた。
「え、原本使って訓練…? 効果あるんですか…?」
真は思わず聞いた。
「ああ。重み、雰囲気が違うんだ。コピーは扱いやすい。だが、それまでなんだ。原本のほうが少し扱いにくさがある。だからそれに慣らしておくと、コピーが驚くほど一段と扱いやすくなる。」
「なるほど…。つまり、この前死にかけてた俺たちにはその過程が必要だってことですね。」
小野寺は真の言葉にうなずく。
「この部屋の奥にはもう一枚扉がある。その向こうには広い部屋がある。そこで訓練するといい。私もそこで毎日訓練をしている。」
「でも、訓練って言ったって、刀があってもどうすれば。」
小野寺は黙って奥の扉へ向かう。
「まあ、とりあえず中を見てくれ。」
パスコードを入力し、扉を開ける。
「えっ…」
中は地下とは思えないほど広い空間が広がっており、山積みにされたサンドバッグのようなもの、遠くには弓矢の的らしきもの、巻藁のようなものも山のように置かれていた。
「ここで、死ぬほど訓練できるよ…。」
小野寺が不気味に笑いながら4人を見る。この人、鬼だ…。そう4人は思った…。
4人はそれぞれの武器を手に取ってみた。
「お、重い…。」
真は、いつも扱っていた刀と明らかに異なる質感、重量に驚いていた。他の3人も同じようだ。
「まあ、神童はそれで妖を倒していたんだから、一度や二度使っただけで壊れるような武器ではないよ。」
4人は武器を手に、扉をくぐる。
「原本の特性、重みを自分自身に叩き込み、覚えさせることで、コピーであってもこれまで以上の力が出せるはずだ。とくにやり方は指定しないが、そこら中に使えるものがある。好きなように訓練してくれ。」
4人は部屋のあちこちに散らばっていった。
「…ふっ…! ……ふっ…!!」
真は黙々と刀を素振りしていた。
(なんて重さだよこれ…。筋力は他の人より絶対ある自身があるが…神童って…やばいな…。)
気を抜くと体の重心がずれてしまうほど、その刀には重みがあった。そして、刀の持ち手は驚くほどフィット感がある。
(これは…使いこなすのは時間かかりそうだな…。)
真はそのまま刀を振り続けた。刀を振る、この基本的な動作がこんなに大変だったとは…。そう痛感していた。
之はくないを握り、的から離れた場所に立っていた。
(なんか、重い…でも掴みやすい…)
之はいつもの感じでくないを的に向かって投げる。的から外れ、壁に弾かれて床に落ちた。
(あれ…? なんで…? 外れるのはいいけどさ…なんで壁にも刺さらないの…?)
試しにくないを発現させ、的に投げる。いつも使っているくないは見事に的の真ん中に刺さった。
ついでにわざと壁にも投げる。これも同じように壁に刺さった。
(うん、やっぱ刺さる…よ…ね……え…)
刺さったはずのくないが、的と壁からぽとりと床に落ちる。
(どうなってんの…?)
之は的に近づく。試しに直にくないを刺してみる。
「…らっ…!!」
的はありえないほど硬く、手にその強固な感覚が伝わってきた。くないの先が少しだけ刺さっていただけだった。
(これ…今まで戦った妖より硬くないですか…?笑)
之はもはや笑ってしまった。
(これは…長い道のりになりそう…)
一方で、かよは爆弾を握りしめて立っていた。
(これって…使ったら無くなる…よね…)
どうすれば良いのか悩んでいるところに小野寺がやってきた。
「君は爆弾か。原本は使ってはならないな…。ただ、爆発の威力が変わるかもしれないが、戦うスタイルは変わらない。君はコピーで爆弾の使い方を色々開発してみるといいかもな。」
「そうですね…。戦い方の種類とか色々考えてみます…。」
かよは、爆弾の原本を戻しながら振り返った。たしかに今まで、自分をも巻き込みながら爆発させるスタイルが主なものだった。
だが、砂浜での戦いではしばらく戦えず、足を引っ張ってしまった。戦闘の途中でそうなってしまうのは避けなければ、これからはどうなるのか想像できない。
(極力自分が負傷しない戦い方…。)
かよは考えを巡らせ、戦い方を模索し始めた…。
(かってぇ…)
透は弓を持ち、之と同じように的を狙って弦を引っ張っていた。
だが、弓自体も重い、さらには弦も驚くほど固く張られている。
(指が…)
透は思わず、弓を引くのをやめて床に座った。
(これ…やばい…。)
手を見ると、小刻みに震えている。
(他の奴らはどうなんだ…。)
透はぐるりと周りを見渡す。みんな戸惑っている様子が見て取れた。
ただ、小野寺だけは違った。
(え…だれ…笑)
小野寺は全身に甲冑を纏い、山積みにされたサンドバッグを殴りまくっている。
甲冑の下から汗が滴っている。
(原本使ってあれか…なら砂浜での戦いも納得だな…すげえ…)
透が小野寺から目を離して周りを見ると、同じように他の3人も小野寺を見ていた。
(これは…追いつかないと…)
4人は小野寺の姿を見て、そう決意した…。
「設定話」
ー小野寺についてー
甲冑ってググッたら出てきますけど、あれ全部着てサンドバッグ殴る小野寺を見たら、誰…?ってなりますね…笑
小野寺の能力は、筋肉強化?ですね。甲冑を
つけてなくても常時殴る蹴るは半端なく強いです。
ただ、甲冑をつけると殴る手も保護されるので限界まで力が出せます。
前回の砂浜での戦いでも右腕に一応発現させましたが、強すぎてオーバーキルになってます。




