能力者の歴史
小野寺は能力者達の先祖について話し始めた。
ー妖はつまり、動物と人のハイブリッドだ。そして、その研究に関わっていた人間、それが能力者達の祖先だ。ー
真は思わず小野寺の話を遮る。
「え…? 俺たちの祖先は神童ってやつじゃないのか…?」
「ああ。そういうことだ。だが、ある意味では祖先ではある。話を続けよう。」
ー神童もまた、その研究者たちによって作り出された。妖を作り出したときに身体能力の強化、異能の存在を研究者たちは発見していた。
だが、妖たちの暴走で自分たちの身を守ることにしたんだ。そこから神童の開発に集中した。持てるだけの技術を使い、無理やり誕生させたんだ。
神童が誕生すると、人間側が圧倒的優勢に変わった。今まで妖に手も足も出なかったが、人間の代わりに神童が身を守ると約束したんだ。
妖もその存在を察知し、残った10体とともに身を隠した。
いつ現れるかも分からない妖を警戒する日々がそれからしばらく続いたが、神童であれど寿命はあった。
そこで研究者たちは、その異能の力を6つに分割し、子孫に継がせることに決めた。そこから代々、能力者たちの祖先から継がされてきた。それがこの能力、そして能力者だ。ー
4人は黙ったままその場に立ちすくんでいた。
「でも、なんでわざわざ能力を分けたの…?」
「たしかに、そこは疑問に思うだろう。詳しく書かれてはいなかったが、どこから現れるか分からない妖にすぐ対処できるように分け、散らせたのではないかと思う。」
そこへ、真が話を振る。
「…俺たち、祖先がやったことの尻拭いしてるって…こと…?」
全員が黙る。たしかに、今で言えば非人道的なことだ。そして妖はその被害者に当たる。
「そうだな。だが、その段階はすでに過ぎてしまった。俺たちではないにしろ、祖先がやらかした罪だ。そして実際に、一般人にも被害が出ている。だから、我々は戦わざるを得ないんだ。」
「でもさ…妖の復讐だとしたら、私たちがいなくなれば…いいんじゃないの…」
之が思っていたことを口にした。小野寺がため息をつく。
「それも1つの方法だろう。その考えと、昔の記録から考えるに、能力者をこの町に置いているのは、血筋を途絶えさせたくないという自己中心的考えからなのかもしれない…。」
「結局…自分たちのことかよ…。」
真は新しく得た事実にすっかり呆れ果て、疲れが押し寄せる。
「俺たちが命懸けで戦ったのは…祖先の自己中心的考えだった…? 笑えるね…。ほんと…。」
小野寺は全員の顔を見る。みんな顔には疲れと呆れが見て取れる。
「だが、それでいいのか。このまま私たちが死んで能力が消えたとしよう。妖はどうする? どうやらあいつらは歳を取らないか、あるいは長寿だと思う。人間を襲わない補償はない。私たちで蹴りをつけて、ここでこんな歴史は終わらせよう。」
「まあ…犯した罪は取り返せないな…。終わらせよう…俺たちが…。」
「うん…。」
小野寺は更に奥の展示室へと案内した。そこには、見たことのある武器が展示してあった。
「こ、この刀…。俺が使ってるやつだ…。」
「私のも、ある…」
「そうだ、ここには神童が使っていたとされる武器、防具が全て存在している。ここにあるのはレプリカだが、地下に本物が保管してある。」
「本物を展示するんじゃないの…?」
之がふと疑問に思い、小野寺に聞く。
「それはもっともだ。だが、君たちがいつも戦闘で使うとき、どこから武器が来ると思う?」
「え…もしかしてここから…?」
小野寺がうなずく。
「ただ、手元に出しているものはコピーに過ぎない。本物が無くなればどうなるだろうか…。だから地下に隠してある。そして、コピーだからこそ本物よりも強度や威力は劣り、何回でも出せる。」
「なるほど…。だから何度も壊れるのか…」
小野寺が少し笑いながら真を見る。
「使用者が悪いというパターンも忘れるなよ…?」
真は顔を赤くし、目をそらす。
「では、こちらに来てくれ。」
小野寺はそういうと、4人を地下へ案内した。地上よりもさらにセキュリティが厳しくなっていた。
そして5人は、分厚い扉の前に到着した。
「では見せよう。これが本物だ。」
小野寺は網膜スキャン、指紋認証、パスコードなどの一連の動作を行って扉を開けると、中には見覚えのある武器、そして防具が整然と並べられていた…。
だんだんと不明瞭だった部分が明らかになってきました。
続きもぜひ気軽に読んでみてください…




