表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼアプロディジー  作者: つんく
ー妖との戦いー
18/26

妖の歴史

 「行ってきまーす!」



 (まこと)は、小野寺(おのでら)に指定された博物館へ向かい始めた。


 少し時間はかかるが、中途半端な距離だったため歩いて向かうことにした。





 町は相変わらず平和そのものだった。もう何度戦ったか分からないが、そんなことはなかったかのように平和だ。



 夏休みの昼過ぎということもあり、若者の姿もちらほら見かける。



 最初に妖と戦った現場に差し掛かる。完全に修復され、跡形もない。



 (へぇ、ほんとなんも残ってねぇな…。俺頑張ったんだぞ…?)



 博物館へ向かいつつ、真はこれまでの戦いを振り返る。



 (そういえば最初は苗字(みょうじ)聞かれたな…。あっちは苗字は分かってるってことなのか…?)



 2体目、3体目になるに連れ、割とオープンに奇襲をかけてくるようになった。商店街、街、学校…。



 (一般人の被害はこれ以上は出したくない…。そのために俺たちは戦ってるはずだ…。)



 先生の姿を思い出し、真は胸が痛くなる。



 (弱気になってちゃダメだ…。きっと何か役に立てるはずだ…きっと…。)





 そうこうしているうちに、目的地へ到着した。



 正面には真を除き、全員揃っている。



 (あ、やべ、思ったより時間かかった…)



 慌ててみんなの元へ走る。



 「すいません…!遅れました。」



 「まこっち…ほんと…。」



 「先輩待たせるのはどうかと思いますよ…??」



 「ほんと…ないわ…。」



3人からのトゲのあるコメントに真は苦しむ。



 「御堂くん。チームワークは大切だ。時間すら守れないのは…」



 「あー、すみませんでした!! 本当にすみませんでした!!!」



「…。」



 少しの沈黙。小野寺が口を開いた。



 「では、博物館に入ろうか。」



 皆は小野寺の誘導に従い、博物館を見る。



 「ここの博物館、みんなはきっと来たことがあるのではないか?」



 「そうですね。小学生のとき来ましたね。」



 「何が展示してあった?」



 4人は目線を逸らす。真が代表して答えた。



 「遊んでてよく見てませんでした…。」



 小野寺は少し笑った。



 「まあ、そうだろうな。大抵そうだ。」



 真たちは怒られるか心配していたが安堵に変わった。



 「ここはこの町の歴史的遺産が置いてあり、私の父はこの博物館を管理している人間だ。」



 「…え?」



 「つまり、責任者だな。だから私もこの施設や展示物についてはよく理解している。とりあえず入ろうか。」



 小野寺に連れられ、博物館へ足を踏み入れる。





 こじんまりとしたエントランスから奥へ進み、階段をのぼると展示コーナーが始まる。



 「まず最初の展示物は、書物だな。きっと君たちの家にも似たようなものがあるはずだ。」



 ガラス越しに見てみると、たしかに家にある巻物と似たものが展示してある。



 「そして、君たちの家にないものもここにはある。それが大切だ。今日は君たちの認識から欠けた部分を補って欲しい。」



 展示を見すすめると、見たことのない書物がある。



 「なんだこれ…。」



 描かれた絵は、人が動物を虐待しているように見える。



 「先輩、これってなんですか…?」



真は思わず質問した。



 「それか。まあ、もう少し見てみよう。」



 コピーされた巻物の1ページ1ページが整然と並べられたコーナーで、みんなは描かれた絵を見ていく。



 がりがりに痩せた人々、先ほどの動物を虐待しているような絵、動物だけでなく人も拷問されている絵、全身が毛で覆われた何かが檻の中に閉じ込められている絵、その何かが人を襲っている絵…。



 「これって…どうやって妖が生まれたのかってこと…?」



 (ゆき)が独り言のように(つぶや)く。


 たしかに、言われてみればそうかもしれない…。



 絵を追っていくと、光を(まと)った人が描かれている。周りの人間が驚いた表情を浮かべている。



 その光る人間が、妖を弓で射抜き、刀を振り回している。周りには何かも分からない血まみれの肉塊がごろごろと描かれている。



 最後の絵では、光る人間が建物の中に座り、周りを人間が取り囲んで土下座している様子が描かれている。





 「んー、まあ、なんとなく聞いた話そのものって感じだな…。」



 4人ともとくに違和感なく絵を見た。



 「なるほど。最初の絵をもう一度見てくれ。」



 小野寺の声に従い、最初の絵を見る。



 「では、説明しようか。この町で起こった出来事をー」





 時は江戸時代、この町には当時、集落が存在していた。初めは小さな村だったが自然に恵まれ、作物も育てやすかったこともあり、安息の地としてだんだんと人口も増えていったそうだ。



 そんな人口増加に伴い、当然食糧も不足してくたそうだ。集落の中には、集落の長を中心とした数人の組織が存在し、集落をうまく存続させるための政策を決め、実行する役目をになっていた。



 この食糧難はたやすく想像できたため、早い段階から対策を考えていたそうだ。



 それは、栄養豊富な家畜を人工的につくることだった。



 当然、現代よりも設備や技術など劣っていた。その集落で研究者と呼ばれた人々が考えた結果、人間と家畜のハイブリッドを作ることにしたそうだ。


 人間であれば力の差もなく、拘束も容易、増える人口を一定に保つこともできる。家畜レベルの知能に下がれば抵抗もなく、目に触れさせなければ気づかないのではないかという理由だそうだ。



 そこからはめちゃくちゃな実験が行われた。村から少しずつ人をさらい、実験材料として使用し、その過程で動物も使った。



 何度も何度も粗末な実験を繰り返し、生まれたのが妖だ。



 当初はコントロールできると考え、檻に閉じ込めエサを与えて様子を見ていたようだ。



 30体ほど作成し、実際に食べられるか、食べた感じで悟られないかなどを調べるために1体だけを檻から出し、その場で解体したそうだ。



 するとその様子を見た他の妖たちが(うな)り出し、檻を力任せに破壊し、集落に流出したそうだ。





 「ーこれが、妖が誕生した裏話らしい。」



 4人は何も言えず、黙ってその場に立ちすくんでいた。



 「じゃあ、妖は、復讐のために人を襲っている…?」



 「だろうな、たぶん。」



 小野寺は話を続けた。



 「じゃあ、次に神童(プロディジー)の誕生についてだ。この絵では神様のように描かれているが、別の記録によるとそんな素晴らしいものではない。そしてこれは私も含め我々の起源ということにもなる。心の準備はできているか…?」



 4人はお互いを見合い、うなずく。



 「出来てます。お願いします。」



 「わかった。それでは話そう。我々の祖先の話を…。」

敵の正体がだんだんと分かってきましたね…。


いよいよ次は、自分たち祖先の歴史。


ぜひ読んでいただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ