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ゼアプロディジー  作者: つんく
ー妖との戦いー
17/26

違和感と手がかり

 「あと4体…」



 真はベッドに横たわり、天井を見つめながら(つぶや)いた。





 あの砂浜での戦いから2日が経過していた。


 翌日は皆、疲労困憊だったようで連絡すら来なかった。


 そして今日、真は少しだるさを感じ、こうして考え事をしていた。



 (半分以上は倒した。もう後半戦と言っていいだろう。ただ…明らかに妖が強くなっている…。)



 砂浜での戦い、もしあのとき小野寺(おのでら)が現れなければどうなっていただろうか。



 そして現状、5人の能力者がお互いに繋がることができた。


 あと1人能力者がいるはずだが、いつ現れるのだろうか。


 妖は残り4体、こちらに残された切り札とも言える最後の1人はいつ現れるのか。そして現れたとして勝てるのか。



 そんな考えが真の頭の中をぐるぐると駆け巡っていた。



 真はここまで恐怖を感じたことがなかった。


 かよが殴られ、上半身が吹き飛ばされた情景が思い出される。



「はぁ…。俺、役に立ってねぇのかな…。」



 妖との初戦、たしかに真は1人で倒した。だがそれ以降はそうもいかない。





 真はスマホを見てみた。通知なし。


 未だ誰からも連絡は来ていない。



 (小野寺先輩が連絡するって言ってたけど、いつ来るんだよ…。)



 真は、この不安、恐怖を誤魔化したい、どうにかしたい、そう思った。


 ふと真は、もう一度巻物を読もうと思い立った。敵の情報をもう一度確認し、戦いに役立つことがあれば、そう考えた。



 「父さん、あの巻物見たいんだけど。」



 「わかった。持ってこよう。」



 初めて妖と戦った日以来、久しぶりに目にする巻物。実際に何体かの妖と戦った経験から新しい見方ができるかもしれない、そう考えた。



 「妖は、人を襲う。人を守るために神童(プロディジー)が現れた…。」



 真は少し違和感を感じた。



 「人を襲う…。たしかに先生は殺されてしまった。だけど、それ以外に被害者がいないのは…?」



 妖と普通の人間の力を比較すると、圧倒的に妖が強い。人を襲うことが目的なら、商店街や街に現れた妖はたやすくたくさんの人間を襲えたはずだ。



 (だが、俺たちは襲われる…。どうしてだ…?)



 巻物を読み進める。妖の特徴、倒し方などが詳しく書かれている。



 (核が体内に隠れているのは進化したのか…? 記述がないな…。)



 巻物を一通り読み終えると、真は根本的な部分に疑問を持った。



 (妖はどう発生したんだろうか。そして何より、神童(プロディジー)はどこから…?)



 妖についての情報は驚くほど詳細に書かれているが、神童(プロディジー)に関してはほとんど書かれていない。


 ただ、人を守るために妖を全て倒せとしか書かれていない。



 (なんなんだこの違和感は…。)



 真は進にも意見を求めてみた。



 「んー、たしかに、なんというか、妖は悪者だからなんとしてでも始末しろって誘導してるみたいだね…。」



 「だよな…。なんのために戦ってるのかと言われたら人を守るため…。んー…。」



 真よりも頭のキレる進も同じ意見を持ったことで、違和感はますます深まっていった。



 「みんなにも聞いてみたら…?」



 進は真にそう提案し、真はグループチャットにメッセージを送った。



 するとすぐに返事が返ってきた。



 『たしかに…。』



 『なんで私たちばっかり狙われるのか分かんないね…。』



 『だよな? 家の巻物もう一回読んでみたらそう思って、進も同じ意見なんだよ。』



 『とはいえ、答えがあるわけでもないしねぇ…。どうしたもんか…』



 しばらくぶりにチャットが動く。誰もがそこに小野寺先輩も含まれていることを忘れていた。



 『御堂くん、なかなかいい着眼点だ。』



 (あ…笑。小野寺先輩もいたんだ…。)



 チャットの動きがぴたりと止まる。



 『えー、小野寺先輩、お元気ですか。お久しぶりです。』



 改まった文でメッセージを送る。



 『気を使わせてすまない。遠慮なくいつも通りの文面で構わない。』



 (んな堅苦しい文で言われてもなぁ…。)



 真はむしろ送りにくく感じながらチャットを続ける。



 『わかりました、じゃあいつも通りの感じで。』



 『ああ、それで構わない。皆、元気そうでなによりだ。以前言っていたように、君たちに見せたいものがある。』



 そのメッセージの直後にマップが添付される。



 『今日でも明日でも構わないんだが、ここへ来て欲しい。君たちの疑問を解決できるはずだ。』



 マップを開くと、そこにはこの町の歴史的遺産を展示している博物館が示されていた。


 小学生で必ず課外活動で行っていたが、昔のことで記憶にあまり残っていない。



 『ここに手がかりがあるんですか…?』



 『ああ。どうしてこの町に博物館があると思う? それも割と立派な(たたず)まいだろう? なぜだと思う?』



 (たしかに、この町の歴史を伝えるためだけならここまで立派なものは必要ない…。)



 『で、どうする? 私はいつでも構わないが。』



 『今日! 今日行きます!』



 真は迷わず答えた。早く知っておきたい、この違和感の正体。この戦いのより深い背景を知っておかなければ、覚悟ができない、そう感じていた。



 『わかった。他の2人はどうだ?』



 『はい、大丈夫です。』



 『私も構いません。』



 『では、今日の昼過ぎにこの博物館の正面で集まろう。』



 (まさか、今日感じた違和感をその日に解決できるなんてな…。)



期待と不安を抱きつつ、真は外出の準備を始めた。

「ぼやき」



今回は内容にも関連しますがぼやきます…



情報操作って怖いですねぇ。この巻物も、妖が悪者だ!だから倒せ!と誇張して書くことで、無意識のうちに標的としています。


現実世界でも、政治家の発言の一部分だけを抜粋し、そこだけを見せることで本質をねじ曲げるなんてこともありますね。


ではどうしてこういった情報操作がされているのか、次回明らかになります…!

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