力の暴力
ちょっとグロいかもしれないです…。
「私が先に近付いてみるから! それで戦い方とか判断して!」
かよはそう言うと、妖へ接近する。
「ぎゃああああぁあぁぁぁぁ!!! ぎゃああああぁあぁぁぁぁ!!!!!」
「うるさいな…! でも動きはそんなに早くない…!!」
かよは妖の周りを走り、核を探す。
「みんな! 核は見当たらない! 前2人が言ってたパターンと同じかも……」
そう言った瞬間、かよの上半身が吹き飛んだ。
「か、かよ…!!」
かよの下半身だけがそこにぽつんと残され、断面から血が吹き出している。
「ぎゃああああぁあぁぁぁぁ!!!!! ぎゃああああぁあぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
「うっ…」
その光景に、真は思わず吐きそうになる。
妖の左の拳を見ると、かよの血がべったり着いている。
「あいつ、殴りやがった…」
妖が、かよに拳を振るったのがたしかに確認できた。威力は凄まじく、一撃で上半身が消し飛んでいる。
「まこっち!」
之が隙をみて、残されたかよの下半身を回収し、砂浜の端に置く。
「まこっち! あいつ、そこまで素早くはないけど、一発もらったら即死だね…。」
「だな…。かよは…大丈夫なんだよな…?」
真はちらっとかよの残された部位を見る。
「たぶん…。だって、、不死身なんでしょ…?」
「分かってる。それは分かってる…。でも、これは…。」
「ぎゃっ! ぎゃああああぁあぁぁぁぁ!!」
妖が近付いてくる。
「まこっち! もう過ぎたことは一旦置いて、目の前に集中しよう!」
「ああ、そうだな…。悪い。」
「さっきも言ったけど、あいつ、私がかよを回収しに近づいた時、スピードに追い付けてなかったの。だから、とりあえず私が近付いて…。」
真の脳裏に先ほどの光景が蘇り、之が同じように吹き飛ばされる姿を想像してしまう。
「ま、待て! とりあえず、遠距離からのやつやってみよう…!」
「そうだね。でも、核がどこか分からないから適当にやるよ…!」
「おっけい! 俺より後ろ下がっとけよ!」
之は、真よりもさらに妖との距離を取り、集中力を高める。
「さーて、どうかな…??」
妖の周りに光が走り、くないが連続的に放たれる。
妖はそれを防ぐような素振りも見せず、そのまま突き進んでくる。
「移動が遅くて追いかけるのが楽だけど…、効いてる…??」
真は、光の中心にいる妖を見つめる。
「ちょっと血が出てるかも…。でも貫通とかは全然してない…。」
「固いなぁ…。じゃあやっぱり…近付くしかないね…。」
之は攻撃を止め、手にくないを発現させる。
「さっきの見た限り、私のじゃ決定打にはならない…。だから隙をみてまこっちがどこか切って…!」
「わかった…! おとりみたいなことさせてごめんな…。」
「大丈夫、おとりなんかじゃないよ! こういうのは、協力って言うの!」
そう言い残すと之が妖へ接近する。相変わらずの速さで、一瞬で近付いている。
「妖さん、核はどこかなー??」
之は妖のあらゆる箇所をくないで切っていく。そこを妖が殴りかかる。
「えっ! 全然速くないじゃん…!笑」
妖の攻撃は、真が初めて戦った妖と同じくらいの速さで、之にとってそれを避けるのは容易だった。
之が妖をあらゆる方向から切る。
致命傷は負わせられないが、妖は鬱陶しいと感じているようで、標的が之に変わっていた。
「ほらほらほら! 遅いよ遅いよ!!」
「ぎゃああああぁあぁぁぁぁ!!! ぎゃああああぁあぁぁぁぁ!!!!! ぎゃああああぁあぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
妖の奇声はさらに大きくなり、之に拳を振るうも捉えることができない。
(之、ありがとな…!!)
真は刀を発現させ、両手でしっかりと握る。
(隙をみて、一発で体を斬る…!)
そのときだった。
妖が砂浜を殴り、蹴り上げ、砂を巻き上げた。
「っ…!!」
之は視界が砂で覆われたため、そこから離れて距離をとる。
「ぎゃああああぁあぁぁぁぁぎぎぎ!!!」
「くっそ…」
之が真と再び合流した。
「まこっち、あいつ相当固いよ。筋肉ムキムキっていうか、めっちゃ詰まってる感じ…」
「それを壊して核も破壊…。結構キツいな…。」
「とりあえず、透に電話しよう…。」
進は真たちが戦いに向かった後、スマホを取り出し、透に電話をかけた。
「も、もしもし…?」
「透!! 妖! 妖!!!」
電話越しにバタバタと音がする。
「え!? マジ!? てかどこ??」
「まだ海いるんだよ! 見ることってできる??」
透は千里眼を使い、海のある方向を遠視する。
「お前らまだいたのか…。ああ、見える、なんだこいつ…獣みたいだな…。」
「と、とにかく! 助けてね!! 頼むよ!!!」
「わ、わかった…」
電話を切り、進はかよの残された下半身に目をやる。
ほとんど元の状態に戻っていた。
(上半身裸だ…。服被せておこう。)
進は冷静に、自分が来ていた服をかける。するとかよが目を覚ました。
「す、進…」
「かよ…?? かよ!! ああ、良かった…。僕の服貸すから着てて。」
そのタイミングで、真と之がこちらに背を向けながら後退してきた。
「みんな! かよが治ったよ!!」
進の声に振り向くと、そこにはかよがいた。
「ごめん…! 時間かかっちゃった…」
「かよ!!! 大丈夫か!?」
「うん…、心配かけてごめん。そっちは大丈夫…?」
舞った砂の陰から再び妖が姿を見せる。
「んー、どうやって倒そうかって感じ…。核もどこにあるか分からないんだ。」
之はふと気が付いた。
「待って、透なら分かるじゃん…! 進! 透とは連絡とれたの??」
「連絡はとれた…、けどそれは聞いてない…。」
真と之は肩を落とす。
「でも、助けてって言ったから何かやってくれると思う…」
真が笑いながら進の肩を叩く。
「それで十分だ。進ありがとよ! よし、とりあえず仕切り直しだ…! 気合い入れていくぞ…!!」
「設定の話」
今回の妖は妖本来の姿になっています。
ですが、セリフでも分かるように理性がなくなっています。
要するに野生に戻るような感じです。その分、フィジカルもめちゃめちゃ強くなります。
ただ、これは不可逆なもので、理性を再び取り戻すことはできません。
これまでの妖がそうしなかったのは、理性を持ち続けたいという思いがあったからです。
一方、今回の妖は、前話のセリフでも分かるように真たちを倒すことだけを目的にしており、躊躇することなく野生化してます。




