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ゼアプロディジー  作者: つんく
ー妖との戦いー
13/26

夏休み

 生徒会長と話をして以来、その姿を見る度に真はどきっとするようになった。


 あそこまで問い詰められたら、誰でもそうなってしまうだろう。



 だが、そんな生活も一旦休み。ようやく待ちに待った夏休みに入る。


 真は、いつものメンバーと夏休みの計画を立てていた。



 「夏と言えばー?」



 「セミ。」



 「いや、連想ゲームしてるんじゃないから笑」



 「そうだなー、やっぱり花火とか海とかかな。」



 「いいねぇー!! 花火はセルフ?」



 「まあ、セルフもいいけどでっかい打ち上げ花火見たいよね。」



 「じゃあ、あとでスケジュール出てないか確認しようー! で、海はいつでも行ける!」



 「俺は、家でゲームしたい…。」



 「(とおる)…。まあ、無理して干からびたらな…。」



 「ほんとそれ…。俺干からびる…。」



 「じゃあとりあえず海行くとしてー、他には?」



 「んー、夏祭りとか?」



 「花火も見れそうだしいいんじゃない?」



 「おっけー! じゃ、とりあえず海!」



 という感じで、夏休みの予定が少しだけ決まった。とりあえずみんなで海に行くことにした。透は引きこもるらしい。





 そんなこんなで月日が流れ、終業式を迎えた。



 「生徒会長の小野寺雄二(おのでらゆうじ)です。夏休みに入りますが、我が校の生徒として恥じないよう、行いには十分配慮してください…」



 夏休み前最後のホームルームが終わり、生徒達が勢いよく教室から出ていく。


 教室で真は、親友の乙幡麟(おとはたりん)と喋っていた。



 「終わったーー!!!」



 「いやー、ほんとなんとか切り抜けたなあ。」



 「まことー、夏休みはなんか予定立ててんの?」



 「まだざっくりとだけどなー。とりあえず海行くよ。」



 「海かー、いいねぇ。近くのとこでしょ?」



 「そうそう。海の家とかもあるから、とりあえず昼に行ってご飯食べて日が傾いてからはしゃぐかも。」



 「まあ暑いしな笑。俺もなんか予定立てないとなー。」



 夏休みが始まる。次は何休みだろう…。その休みを迎えられるのだろうか…。


 真は自分が置かれた状況を思い出し、当たり前に毎年来ると思い込んでいた長期休暇に少し有難みを感じた。





 「うみいいいぃぃいいぃいい!!」



 之のテンションが上がっている。真、(ゆき)、かよ、(すすむ)の4人は海にやって来た。



 「夏休み初日に飛ばしすぎだよな…。」



 「私、どちらかといえば夜派なんだよね…。」



 「ああ、そういえば夜出歩いてるって言ってたね。」



 「星空と夜の雰囲気が好きなだけなんだけどね。」



 砂浜にはパラソルが開かれ、海水浴を楽しむ人がたくさんいる。



 「んじゃ、とりあえず飯食べますかー!」



 「「「おーー!!!」」」



 海の家はぽつぽつと点在していたが、ご飯メインのところ、かき氷などがメインのところなど分業しているようだった。



 「うまそー…」



 「とりあえず並ぶぞ!」



 4人はそれぞれの好きな物を頼み、シェアして昼ご飯を楽しんだ。


 昼ご飯の後、太陽が照りつけて耐えられないという女子メンバーの要望から、海の家でパラソルをレンタルし、その陰に4人が群がって横になった。



 「かき氷とか食べようよー!」



 パラソルの下、4人がかき氷を(むさぼ)る。



 「夏のかき氷は最高だなぁ…!」



 「ねー!」



 ご飯に食後のかき氷も堪能した4人は、ぼーっと海ではしゃぐ子供たちを見ていた。


 之がぼそぼそと話し始めた。



 「あの子たちもこの町の子だよね…。私達が守らないとね。」



 「そうだな…。この時間もこの人達も幸せだな。来年もみんなで来ような。」



 「私、夜の方が好きだけど、こういう時間も悪くないかも…。また、来ようね。」



 しんみりした空気に、真が口を開く。



 「てか、眠い…笑。ちょっと寝るわ。」



 「突然なにー?? まあ、まこっちの気持ちも分からんでもない。私もちょっと寝る!」



 「夜派の私もちょっと眠いから寝るね。」



 次々と横になり、目を閉じていく。



 「みんな…。まあ、僕も眠いから…。でも1人くらい…おき……とかな…いと………」





 波の音。同じテンポで繰り返し押し寄せる波。



 「…っ!!」



 進が目を開けた。空はオレンジ色、先ほどまで遊んでいた人達の姿は消えていた。



 「ヤバい…僕も寝ちゃってた…。」



 周りを見ると、3人が爆睡していた。



 「よくここまでぐっすり寝れるなぁ…笑。人のこと言えないけど。」



 1人1人の肩を揺すり、起こす。



 「みんな、もう夕方だよ! 寝すぎ!」



 「…あ…? なんで外いんの…? ああ、そっか…」



 今の状況をじわじわと飲み込んでいく姿はどこか面白さがあった。



 「もう日も落ちてきたし、片付けて帰ろう。」



 進がパラソルをたたみ、所定の場所へ返しにいく。

 ふと、砂浜を女性が1人歩いているのが見えた。



 (へぇ…まだ誰かいたんだ…。)



 3人の元へ戻ろうと振り向き、歩いていると後ろが騒がしい。振り向くと、女性と目が合った。



 「お前か?お前か??お前かあぁぁああぁぁあああああああぁぁぁああああぁぁぁぁあ!?!?!?」



 「えっ、何…!?」



 女性が走ってこちらに向かってくる。



 「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!兄ちゃーん!みんなー!!助けてーー!!!」



 「お前かああぁぁああああぁぁぁああああぁぁあ!!!!ぎゃああああぁあぁぁぁぁ!!!」



 女性は奇声をあげて近付いてくる。進と女性の声に気付いた3人が走ってきた。そして進越しに女性を見た。



 「妖…。あんなんなのか…。」



 「うん、私も本物初めて見た…。」



 進が3人と合流し、振り返ると人の2倍ほどの身長、全身が毛で覆われ筋肉隆々の獣のようなものがいた。



 「え…、さ、さっきは女の人だったのに…。」



 「詳しいことはわからん! けど、明らかに妖だ。進、透に連絡してくれ。」



 「うん、分かった。みんな、気をつけてね…。」



 「さんきゅー! 今回は勢揃いでマシだな…。よし、やるか。」



「うん。」



「役目は、分かってる。」



 妖はずっと奇声をあげている。


 夏休み初日、戦いとともに幕を開けた。

 読んでいただきありがとうございます。



 新たな妖が出てきました。


 ですが、進に追いつけなかったことから走るスピードは遅いみたいですね。



 スピード勝負ではなさそうです。では何勝負…?



 次回もぜひ暇つぶしにでも読んでみてください!

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