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ゼアプロディジー  作者: つんく
ー妖との戦いー
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はじまり

 ジリリリリリリリリリリ…

 目覚まし時計が鳴り響く。



 御堂(みどう)(まこと)はなんとか布団から抜け出し、身支度をする。



 「ねっむ…」



 (まこと)御堂(みどう)家の長男で高校生だ。



 リビングに向かうと、父親と弟が朝食を食べている。母親はキッチン越しに真の姿を見ると朝食を準備し始めた。


 弟の名前は(すすむ)という。兄と違ってしっかり者で朝にも強い。



 「兄ちゃん、早く食べないと遅刻するよ。」



 「はいはい、いつも通りだから大丈夫大丈夫。」



 いつも通りの朝だ。真は朝食ができるまで可能な限り準備し、慣れた様子で朝食を摂りつつ家を飛び出す。



 「「行ってきまーす。」」



 2人とも同じ学校に通う高校生。いつも一緒に登校し、部活も同じ剣道部だ。



 「やばい、ちょっと今日は手間取ったわ笑」



 「ほんとこっちも迷惑笑。」



 2人は急ぎ足で学校へ向かっていった。





 「じゃ、またあとで」



 学校に着くとそれぞれの教室へ向かった。



 教室に着き、いつもの友達と喋り、退屈な授業が始まった…。



 授業を終えると部活へ向かう。弟は先に来ていた。



 部長が来ると、ミーティングにて部員全員に対し、前回の試合を踏まえた反省点が述べられた。真面目な進は真剣に話を聞いているが、不真面目な真はほとんど聞いてない。



 真は昔から日常生活に物足りなさを感じていた。自分の本来持つ力を出せないもどかしさかもしれない。

真には力があった。


 だがその力を発揮するときは来るかどうかもわからない。そんな日々を送っていた。

 部活の練習も正直全く辛くない。息すら切れないほどだ。



 真にとって退屈な部活を終えると、進と一緒に家へ向かう。





 日が傾き、薄暗くなった道を2人で歩く。

これもいつも通りだ。



 自宅の近くまで差し掛かった時、前から男がやってくるのが見えた。その男は、真たちが通行のために親切に空けたスペースには目もくれずこちらに近づいてきた。



 「あの、御堂さんのお宅って知りませんか?郵便物が間違ってうちのポストに入ってて、住所がこの辺だったので。」



 進は少し怯えていた。なんとも言えない怖い雰囲気の男だ。



 「御堂は多分うちだと思う。この辺だと御堂って苗字はうちだけだから。わざわざありがとうございます。」



 そう言うと男から郵便物を受け取り、住所を確認した。何も書いてない。そこには何も書いてなかった。



 (…?)



 真は男を見る。男は笑っていた。

 そして手を振り上げる。



 (あ、こいつ、こいつか、)



 真は弟を抱え、後ろへ跳んで距離をとる。


 今まで立っていた地面に3本の大きな溝が出来ている。男の手は大きな黒い3本爪が生えている。その爪でえぐったのだろう。



 「進、下がってろ。」



 進はうなずき、その場を離れる。ふと進が兄の顔を見ると、兄は少し嬉しそうな顔をしていた。



 (本気出していい状況か…??こいつがそうなのか…??)



 真はその男に向かって話しかける。



 「お前が妖ってやつか? 俺の時代へ…! だが残念、俺はお前らと本気で戦って勝つことしか考えてなかった。そのために十分な準備をしてきた。つまり、今日でお前は負ける…! そういう時代だ…!!」



 「戦う前から勝利宣言か。お前は初めて妖を見るんだろ? 俺は違う、人間のことはよく知ってる。そして能力の存在も知ってる。実際に戦ったこともない敵に勝つ? 笑わせるな。」



 男は爪を真に向けて突き刺すように突進してきた。

真は荷物を投げ捨て何も持たずに手を腰辺りにもっていく。その姿はまるで、居合斬りの構えのようだ。


 真は迫る爪に向かって腰辺りの手を横に振り抜く。その瞬間、手が電気のようなものをまとい、何もないはずの空間から何かを引き抜き、振り抜いていた。真の手には1本の刀が握られていた。男の爪をはじく。



 「くそ、お前、どうやって…」



 「残念、それは秘密。しかも普段から刀みたいなもの振り回して刀の扱いには慣れてるからな…!!」



 男は両手に爪を発現させ、真に向かってくる。


 真は左右から来る斬撃を跳んでかわし、そのまま振りかぶり、斬りつける。


 妖もそれを後ろへ跳んでかわし、睨み合う。



 (楽しい、本気出すのって楽しい…!!)



 真は両手で刀を握りしめ、その(おとこ)に向かっていく。2人の速さは並の人間と比べものにならないほど早い。普通の人間であればすぐに斬られていただろう。斬られたことにすら気付かないかもしれない。



 とてつもない速さで斬撃が繰り出される。彼らはお互いの斬撃を完全に防ぎきっている。だが、そこから決め手となる斬撃が繰り出せずにいた。



 そうこうしていると、妖の爪と真の刀はぼろぼろになっていた。真の刃によって妖の服は一部が切れ、そのすき間から赤い玉のようなものが確認できる。ちょうど人でいえば心臓のあたり。



 「ちっ、爪がここまで…」



 「お、爪ぼろぼろじゃん笑、大丈夫か?笑」



 「お前の刀もぼろぼろだなぁ笑。先に壊れたやつが負けってことか…その刀はほんと厄介だ……」



 (ん…?あの刀は知っている。が、昔は刃こぼれさえしないことで俺たちの間では知られてたが…。まあ、なんでも劣化するってことか…?)



 すると真は刃こぼれした刀を後ろへ投げ捨てた。



 (ん…?どういうことだ…まあ、今が勝負だ。)



 「降参か?じゃあ、さよなら、少年。」



 妖は真へ斬りかかる。その瞬間、真は先程と同じ動きで再び刀を抜いて斬りつけた。



 その斬撃は妖の爪だけでなく体まで真っ二つにし、胸に見えた赤い玉をも斬っていた。



 「ああ、そういうことか、そうか、だから、、、くそ、、、」



 爪が斬られたことで体を守れなかったらしい。真っ二つとなった妖は、細かい塵となって消えていった。



 「ふぅ…。ちょっと息切れたな…」



 真は再び刀を投げ捨てる。その刀は全く刃こぼれしていない。そして空中でその刀は電気のような光とともに空気中に消えていった。



 これが真が持つ能力。ある刀をどんな場所にでも呼び寄せ、使うことができる。


 また、その刀はある刀を模して発現させたものであるため、刃こぼれしてもまた新しく発現させることで真新しい刀を使うことができる。


 さらに身体能力も常人より高い。並の人間では妖などに勝てないのだ。





 これは、とある町に住み、妖を倒すという運命を背負わされた人達の物語だ。

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