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誰かに会いたい! 前編

高いビル、車が沢山通れそうな道路、それらを照らす光達、ここは俗にいうところのこの場所一番の中心街!

月曜日から金曜日は夜知らないけど朝と夕方は学校や仕事に行く人達が沢山いて、お休みの日は買い物やお出かけする人達が沢山いたんだ。

でも今は僕独りだけ…。

ポテトチップスを歩きながら食べても、そのゴミをポイ捨てしても、道路の真ん中でごろんと寝転んでいても誰も僕を怒ってくれない、怒る人がいない、人がいない。

なんでこんなことになったのか僕にもわからない。

その日少しだけ夜更かししたあとお母さんに言われた通り布団に入ってちゃんと寝てたんだよ。

でもね、どこからか凄い大きな音がして目が覚めちゃった。何かな~?と思って今日はまだ寝ないって言ってたお父さんとお母さんがいるテレビのあるお部屋に行ったんだ。

そしたらいつもお母さんがきれいに掃除してたお部屋が12時ぴったりになった時計やテレビやお父さんが飲んでたお酒のカンとか沢山の時計がぐちゃぐちゃになってて落ちてて海にあるサラサラしてる砂がたくさん床に落ちてたんだ。

けどね、そこにお父さんとお母さんはいなかったんだ。

最初は僕を驚かそうとどっかに隠れたのかな~?と思って家の中を探したんだ。だけどどこにもいなかった。それだから本当はダメなんだけど外に出てお父さんとお母さんを探すことにしたんだよ。

だけど外に出てみてビックリしたんだ!僕が布団に入るまでは道路が見えないくらいの沢山の人達が外を歩いて家の中にいても聞こえるくらいの大きな音楽が流れていたのにその時はあんなにいた人達が誰も居なくてとっても静かになってたんだ。

僕はそれに怖くなっちゃって思わず泣いちゃった。

悲しくて怖くて寂しくて、だけど誰も居なくなっちゃった。

お父さんもお母さんも近所もおじちゃんも小学校の友達も先生も誰もいない。

その時から僕は世界で独りになっちゃったのかな?

ううん、違うよね、きっと誰かいるよね!

だから僕はこうして街の中をひたすら歩いてお父さんやお母さん、誰かをさがしているんだ。

夕方まで誰かを探して、夕方になったらお店で食べ物を貰ってからおうちに帰る、それが僕の毎日だ。

だけど今日はいつもより遠くの場所まで行ったから夜になってもまだおうちには帰れてない。もしお母さんがいたら絶対に怒られちゃうよ!

そう思ったら早く帰らないと!その前に今日の晩ごはんを貰いに行こう。

もうポテトチップス食べちゃったからあんまりお腹空いてないけどちゃんと晩ごはん食べないと大きくなれないからね、しっかり食べないと…!

今日は何ががいいかな?カップラーメンは昨日食べたし…、デパートのお弁当はお正月の料理であんまり種類少ないし飽きちゃった。

そう考え歩いていた僕の目の前に高い高い看板が出てきた。そこには黄色で英語の文字が書かれていたよ。

僕はそれが何かなすぐ分かった。日曜日の朝テレビでよく流れてるやつ!おまけでおもちゃが貰える!ハンバーガー屋さんだ!

僕はそこのハンバーガーを何回か食べたことはあるんだけどいつもお父さんが買ってきたり、車で買いに行ったりしたから実はお店の中で食べたことないんだ。

うん、そうだね。今日はハンバーガーにしよう。

いつもお昼ごはんに晩ごはんにハンバーガーってなんかワクワクするよね!

僕はドキドキしながらお店に入ったよ。

入るとすぐにハンバーガーやポテトのしょっぱい匂いが鼻の穴から体の中に入ってきてさっきポテトチップス食べたばっかなのにもうお腹空いちゃった!

でもどうしよう?ここスーパーやデパートとは違って食べ物は置いてないみたいだし、そもそもハンバーガーやポテトを作る人がいないじゃん!

あれ…、もしかしてこれじゃあハンバーガー食べれない?

やだよやだよ、せっかくここまで来たのに!ハンバーガー食べにきたのに!

僕はなにかないかお店の中を探し始めた。

ハンバーガーやポテトはあるにはあるんだけどテーブルの上に置いてあったのは食べかけのものばっかりでとても食べられない。

じゃあじゃあそれじゃあお金払う場所の裏側に料理するところがあったからいってみたんだ。

そしたらパンや冷たくなって固まったハンバーグがあるんだけど僕料理できないから

ハンバーガーは作れない…。

やっぱり食べれないのかな…?

僕は諦めてお店を出ようとしたんだ、その時…。


「ねえ、いっしょに食べようよ!」


後ろからかわいい声がしたんだよ!僕はビックリして思わず振り向いたんだ!そしたら今までお店に…ううん、この街に僕以外誰も思っていたのに!女の子が椅子に座ってて笑顔で僕に手招きしてたんだ!

僕は凄い嬉しくなってその子のところに走って行ったんだ。


「ねえなんで!なんでいるの!君はなんて名前なの!」


僕は興奮してその子にあれこれと聞いたんだ。

だって久しぶりに人に会えた!お話できる!こんなに嬉しいことはないんだもん!


「まあまあ落ち着いて、とりあえずここに座りなよ。」


「あっ、うん。わかった!」


僕は言われた通り向かいの席に座った。


「ねぇ、お姉ちゃん名前はなんて言うの?」


「ん、お姉ちゃん?なんでお姉ちゃんなねのかな?」


「だって僕より背が大きいし、なんか大人っぽいし!」


「そう、そうなんだ。えっとね、私はイソネっていうんだよ。」


「イソネ…、じゃあイソネお姉ちゃんだね!」


「ふ~ん、そうか~イソネお姉ちゃんか~。」


この時のイソネお姉ちゃんはなんかとても嬉しそうにニヤニヤとしてたんだ。


「それでえっとね、僕の名前は…。」


「カリヤ…君…でしょ?」


「すーごーい!なんで分かったの?僕まだなにも言ってないよね!?」


「ふふん、それは秘密なのです…!」


「え~なんで!」


「人間秘密の1つや2つあるものなのだよ、少年。それよりもお腹空いてるんでしょ?ほら早く食べなよ!」


イソネお姉ちゃんはテーブルに指を指した。僕らその先の向こう、テーブルを見ると沢山のハンバーガーやポテト、ジュースが置いてあったあったんだ。

どれも食べかけじゃないし温かいのが触らなくてもわかる。だけどさっきまで置いてなかったような…、まっいいか!イソネお姉ちゃんも食べてるし大丈夫だよね。

僕は目の前に温かいハンバーガーを手に取包んでいた紙を剥がしてそのままがぶりついた。

う~ん美味しい!久しぶりにハンバーガー食べたけどお肉が柔らかくてレタスもしゃきしゃき、パンもふわふわで美味しい!


「こっちも美味しいよ。」


そう言ってイソネお姉ちゃんは自分のところにあったポテトを僕に渡した。


「これお姉ちゃんのでしょ、いいの?」


「いいのいいの、これがカリヤ君にとって最後の晩餐になるかもだからさ?」


「晩餐…?なにそれ?」


「ううん、こっちの話。ほらほら食べなさりな!」


「う…うん!」


僕はポテトを食べた。うわぁ…、口の中にいれた瞬間ポテトのホクホクした感じが口全体に包まれてくよ。ポテトはよく食べるけど今まで食べた中で一番かも知れないな!

そのまま僕は目の前にある食べ物をひたすらたべた。

右手にハンバーガー、左手にポテトを持って交互に食べて時々ジュースを飲みながらお腹いっぱいになるまで沢山た~くさん食べたんた!

こんなことしたら絶対お母さんに怒られるけどイソネお姉ちゃんはそんな僕を優しい見ていたんだ。


「あ~、もう食べられない~!」



「どお、満足した?」


「凄い満足だよ~、ありがとうイソネお姉ちゃん。」



「それは良かったね、でカリヤ君は私にいろいろ聞いたんだよ?」


「あっ、そうだった!」


そうそうそうだよ!僕はお姉ちゃんに聞きたいことが沢山あったんだよ!

ハンバーガーのことが夢中で忘れるとこだった、あぶないあぶない。


「ねぇねぇ、お姉ちゃんはどこから来たの?いつ来たの?さっきまでいなかったよね?」


「私は遠くのほうからついさっきに、カリヤ君が最初来たときいなかったのはまだお店に入ってなかったんだよ。

ほら、入り口があっちもあるでしょ?カリヤ君が出ていこうとした時にあそこから入ったからタイミングがちょっとずれてたら入れ違いになってたかもね~。」


お姉ちゃんは僕の聞いたことを嫌がらずにちゃんと答えてくれた。

ハンバーガーも食べさせてくれたしやっぱりお姉ちゃんは優しいな。


「じゃあこのハンバーガーやポテトはお姉ちゃんが作ったの?」


「ん?作ったってどういうこと? 」


この時ずっとニコニコしていたお姉ちゃんが初めて不思議そうな顔をしたんだ。僕なんか変なことを言ったのかなと思ったけどお姉ちゃんはすぐに笑顔に戻ってホッとした。


「えっとね、さっきこのテーブルをみたときはなにも置いてなかったんだよ。でも今は沢山あったよね?だからてっきりお姉ちゃんが料理して作ったのかなって…。」


「実は私料理はできないんだ、でも私が作ったことにはまあ変わらないんいかな~?なんか期待させちゃってごめんね。」


お姉ちゃんは手を合わせながら言った。


「じゃあお姉ちゃんもちからを使ったんだね!」



「ちから…?」


「お姉ちゃんちょっとテーブルの上に乗ってる物を持っててくれない?」


「う…うん。」


お姉ちゃんはハンバーガーを包んでいた紙やポテトが入っていた箱を隣の椅子の上に置いた。

「よ~し!」と僕は立ち上がり両手をテーブルにつける。


「みててね、お姉ちゃん。」


僕は手のひらに力を込める。そうするとテーブルがびくんびくんって端のほうからだんだん小さくなっていったんだ。

それが僕が触れているところに近づいてきて最後は握れるくらいにちっちゃくなっちゃった。

その様子をみていたお姉ちゃんは凄い驚いた顔をしていたよ。


「じゃじゃーん、これが僕のちから!触った物を小さくできるんだ!」


「お~、凄いね~!」


「ねぇねぇ凄いでしょ!」


僕は小さくなって手のひらに乗ってる机をお姉ちゃんにみせた。

お姉ちゃんはそれを手に取っていろんな確度から机をじっくりとみていたんだ。


「ほんと凄いね、ミニチュアみたいだよ~。」


「ミニチュア?なぁにそれ?」


「う~ん、なんて言ったらいいんだろ?お人形みたいものかな?」



「お人形じゃないよ!僕がちっちゃくしたんだよ!」



「ん?」


「凄いでしょ!ねぇ凄いでしょ!」


「ねぇカリヤ君…?」


「凄いでしょ!ねぇ僕凄いでしょ!」


…。


「うんうん、カリヤ君は凄いよ!それじゃあ少し静かにしようか。」



「はーい!」


「とりあえず机がないのはちょっと不便だから隣の場所に移動しようか。」


「分かった!」


僕はお姉ちゃんに言われた通り机のあるところに行ったんだ。


「ところでカリヤ君は学校行ってたんだよね?」


「うん!でも今は行っても友達も先生もいないしつまらないから行ってないんだ。」


「じゃあカリヤは何年生なのかな?」


「5年生だよ!」


僕は元気よく答えた。



「…そっか…、そういうことなんだね…。 」


だけどお姉ちゃんは反対に元気なさそうにそう言ったんだ。


「お姉ちゃん…どうしたの…?」


「…ううん、なんでもないよ。っよし!お姉ちゃんがカリヤ君にプレゼントをあげよう!」


「プレゼント…?なに?なにくれるのお姉ちゃん!」


「それはね…、願いの叶う魔法のおもちゃだよ。」





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