この世界からの卒業 その9
「正解。」
茜…いやイソネは茜絶対にしない心ない笑顔でこちらを向く。
「な…なんであなたが茜の体にいるのよ!!」
私は声を荒らげる。
そんな私のもとにイソネは再び近づく。
「ちょうどよかったのさ。」
「ちょうどよかったってなにがよ!」
「私は人間って生き物に最近興味があってね、人間なってみたいと思ってたとこだっただよ。でもそんなの真似はできても完璧なれない。
そんな時ちょうどよく魂が無くなった人間の体があったじゃないですか!
そのまま放置して置くのは実にもったいない。だから私はこの体に入ることで完璧な人間になることができるのです。」
「何がちょうどよくよ!あんた最初から茜の魂を消すつもりだったじゃない!!」
「ははっ!やっぱりそう思うよね?でも過程はどうでも結果的に私は人間になれたそれいいじゃない。
人間になってまだ全然時間経ってないけどいろんなことが分かったよ。
例えば匂い、茜ちゃんは科学的なものを使って自分の匂いを隠そうとしてた。
だけどこの体はさっきまで興奮してたのか汗をかいた。おかげで制服や脇の部分がべたべたして不快。
匂いも科学的な匂いも微かに残ってきたけど大部分は彼女本来のとても誉められたものじゃない匂いが鼻に入ってくる。
これが私がこの体に入って初めて感じたことだよ。」
イソネは茜の体を嘗め回すように体の至るところをクンクンと嗅ぎだす。
「まあこれが彼女本来の匂いだとしたら科学に頼るのも分かる気がするな。」
「やめて…やめて!!」
唇を噛みしめ私はイソネの元にかけより茜の制服の胸ぐらをつかみ茜の顔をしたイソネににらみつける。そこに映るのはただの怒りと憎しみだけ。
「これ以上友達の体を汚すな!バカにするな!」
制服を掴む腕に自然と力が入る。イソネは苦しいはずなのに彼女はそんな表情ひとつ見せず友達の顔したまま表情を崩さない。
「返せ!茜の体を!茜を!!」
「あともう1つ分かったことがあるんだ。」
「!?」
その瞬間私と茜の唇が触れあう。茜の体温が直接体の隅々まで伝わってくる。
一瞬のことで私は驚きを隠せずとっさに今度は私が茜を突き飛ばそうとしてしまうが彼女の腕は私の背中にがっしりと掴んでいてこの体制を脱することができない。
「うっ…ううん…。」
苦しい…息ができない。それよりもなんでイソネはこんなことを…!
そんな長くて短い時間はイソネが行為をやめることで終了する。
「ぷはぁ…!苦しかった!!」
そう言っているが彼女の表情はとても満足していた。
「あんた何やってるのよ!」
後退りしながら彼女に問う。
「私は本能に従っただけだよ。」
イソネはすました表情で言う。
「私はこの体に入った時人間になった、斎藤茜そのものになった。
それはつまり茜ちゃんのものは全部私の物になったわけだよ。
この制服も、匂いも、記憶も、感情も…。」
「えっ…。」
「この体に入って静ちゃんを見た瞬間、体に電気が走ったようにビビっときた。
心臓がドキドキしてだして凄い息苦しくもなった。
そしてどこからかこんな思いが沸いてきたんだ。
静と近づきたい、静を抱きしめたい、静とキスしたい。
私はその思いに従っただけ。
ねえ静ちゃん、この感情って恋ってやつだよね?」




