誘拐事件②
あ、お腹すいたなぁ...
気を失っていた私は、自分のお腹が鳴る音で目を覚ました。頭の中が白くぼんやりする、何してたんだっけ...何が起こったのかが少しずつ思い出してきてガバッと体を起こそうとしたけどうまく体が動かないので上半身だけをくねらせて周りを見ることにする。周りには、誰もいなくてザ・牢屋といった中に入っています。周りを確認したところで体が動くようになってきて、上体を起こした所で牢屋の前に女性がやってきた。
「起きたか、さっそくなんだけど君はパゼル公爵の娘のサラ嬢であってるかな?」
パゼル公爵は、私の父親の名前で記憶の中でしか会ったことが無いので何とも言えないのだけど……
「確かに、わたくしは公爵令嬢のサラですが。そう言う貴方は、どこのどなたかしら?」
女性は、私の質問には答えずに牢屋にスープを入れて立ち去ろうとする。
「ちょっと待ちなさいよ。目的ぐらい言ってもいいのではなくて?帝国隠密のジジさん」
ジジと呼ばれた女性は、驚いた顔で固まったままでこっちを見つめている。ジジは、私が自身の名前を知っていることが信じられない様子だった。まぁ、種を明かせばなんてことは無いジジは、グレアムさんのお弟子さんでヒロインを身近でサポートしてくれるキャラクターだ。もう1人いるはずなんだけど此処には居ないようだ。
さてさて、目の前では警戒心丸出しのジジが口を開く。
「君、私の何を知ってるんだい?」
「それは、私の質問に答えていただかないとお答えできませんね」
ジジは、苦虫を嚙み潰したような顔をしたが渋々語りだした。
「私は、王国の協力者からグレアム様一家が王国に捕らえられたという情報をもらいグレアム様一家を救出するためにやって来た。これでいいかい?」
アイナちゃんに危険が無いことことが確認できたしうまくすればこの人たちをこちら側に引き込むことも可能だ。私は、大きく息を吸って周りを見渡す。目の前には、警戒はしてるものの何も持っていないなジジが一人、探査魔法で探ってアイナちゃんらしき気配をぼんやりと確認。
「えぇ、じゃあ私が答える番ね。貴方の質問は後でゆっくり教えてあげるわ!」
私は、魔力を一気に両腕に集めて牢屋の檻を爆破する。
「ぐっ!?」
爆発にひるんだジジをすぐさま取り押さえて魔法で拘束する。
「ごめんなさいね、ワケは後でゆっくり教えてあげるから今はおとなしくしててね」
「卑怯だぞ!」
魔法でがっちり拘束した後、アイナちゃんを探しに目を離した時だった。拘束したはずのジジに押し倒される。少しは抵抗したものの抵抗できるはずも無く、首を絞められる。
「かひゅ、や、やめ……」
抵抗するために手に魔力を集めようとするけど、うまく集まらない。そして、とうとう意識がブラックアウトしようとした時だった。
「おいおい、それはやっちゃいけんやろ」
突然、ジジの体が吹っ飛んだ。顔を上げるとグイードさんが不機嫌そうな顔で立っていた。グイードさんの後ろからエレナさんがやってきて手当をしてくれる。ジジのほうに目を向けると、正座をしたジジにしゃがみ込んで何かを話しているグイードさんが見えたけどは、私は閉じ込められているアイナちゃんの下に急いだ。
アイナちゃんが閉じ込められている部屋に押し入る。私が入ると私を押し倒さん勢いで泣きながら抱き着いてきた。
「お姉さん!こ、怖かったですっ!」
怪我がないかを一様確認して外に出ると、小柄な男の子が1人片膝をついて待っていました。彼は、ジジの弟のアラン君でこっちも腕利きの隠密のはずなんだけど顔に殴り飛ばされた跡があるから、こっちはこっちでグイードさんと何かあったのかな?と思うけど、今はそれどころじゃなく、私ももうクタクタで山道を歩いて街に帰ってからは、アイナちゃんを一様病院で診てもらって後日、お見舞いに行くとグイードさんに伝えて帰路につきました。
帰ってきた私は、ベットに倒れこんで目を閉じてこの世界にきて一番長い一日を終えました。