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可愛い妹

あれから一週間後


私はヒロインをハッピーエンドにするべく邸内の自室で1人計画を練っていた。現在サラは王立魔導師学園の夏休みの間で王都から領地に帰ってきていたらしい。それに、サラは作中でも極度の引きこもりで学園内であっても授業や嫌がらせの時以外は自分の屋敷から出てなかったし家でも引きこもりだったらしく部屋から出てこなくても何も言われずご飯の時間に食堂に行っただけで使用人さんたちに驚かれて程だ。まぁ、考え事をするには丁度いい環境なのでとりあえずは良しとしよう。それで今私の手元には私が転生する前までのサラの日記がある。そして、さっきまでその日記を読んでいたのだけど


「ここまでひどいなんて」


私は日記を机に置いて暗いため息をついていた。日記の内容は学園生活のことが大半なのだがそのほとんどが周りの人に対する悪口でそれが呪詛のようにびっしり書かれていたのだ。正直言ってこれは気持ち悪くなるレベルだ。それに、そんな性格だったおかげで友達と呼べる人はいなかっようだ。そして、一番の予想外だったのがヒロインへの嫌がらせ行為だった。ゲームでは嫌がらせは詳しくは描写されてなかったのであまりたいしたことではないのでは。と、思っていたけどさすがは断罪されるだけあってどれもこれもひどい内容だった。正直、認識が甘すぎました。私の計画ではヒロインとの関係を修復したいと思ってたけどこれは修復不可能な気がする。作戦が思いつかない。そんな現状から少し目をそむけたくなり窓から中庭を除くと。


「あれは、ニーナかな」


中庭では妹のニーナが屋敷の侍女さんたちと楽しそうに土いじりをしているのが見えた。前世でも土いじりは良く手伝ってたし好きだった。もしかしたら妹との関係を改善できるかもしれないし。そう思って中庭に足を運んだのだけど。







「あの……これは」


「も申し訳ございません。サラお嬢様、すぐに別のお菓子と紅茶をご用意させていただきます。」


「い、いえ、おかまいなく」


現在、私の前を侍女さんたちが頭を下げながらアフタヌーンティーの準備をしている。


(どうしてこうなった)


私はニーナと土いじりがしたかっただけなのに、私が中庭に出るや否やニーナと一緒にいた侍女たちは物凄いスピードでティーセットやティーテーブルを設置、ひざ掛けやケーキスタンドまで出てきてるしなんだか申し訳ない気持ちになってきたよ。それに、ニーナに至っては対面の椅子に座ってからずっと俯いてるし、髪が微かに震えている。さすがに傷つくなぁ。そういえば、ゲームではサラはニーナにも嫌がらせをしてるんだった。それに、ニーナは自分の部屋で食事をとっているらしく私も家の中で会釈をされたぐらいしか記憶にない。そんな気まずい空気の中先に口を開いたのはニーナだった。


「あの、サラお姉さま今日はどういったご用件で」


(ガッチガチの敬語 ゲームの中で見せてくれたあの可愛らしい姿はどこへ行ってしまったのか。これ

じゃあ楽しいおしゃべりどころじゃない、とにかくこの空気を何とかしないと。それにニーナのあの敬語

はかなりつらい)


「いえ、窓からあなたたちが楽しそうにお花のお手入れをしていたので私も何か手伝いたいと思いまして」


「えっ」


今度は驚かれてしまった。まぁ、今まで部屋に引きこもって部屋から出てくれば自分への嫌がらせをするような人を警戒しなほうがおかしいか。なので、私は精一杯の優しい笑顔を作る。


「きれいな花をかわいい妹と見て回りたいのだけどだめですか?」


「か、かわいい……い、いえお姉さまのお誘いとてもうれしいです。喜んでご庵なさせていただきます」


ニーナは私がこんなことを言うなんて思っていなかったようで困惑してるようだけど頬が少し赤くなって照れているのかな。


「ありがとう。ならさっそく行きましょうか。それに、ここは公の場ではないので敬語はいりません。あと、お姉さまじゃなくてお姉ちゃんって呼んでくれませんか」


「そ、そんなお姉さまに対して礼節を欠くような真似できません」


「礼節なんて今はどうでもいいんです。さっきも言った通りここは公の場ではありません。それに、こんな時ぐらい普通の姉妹のようになりたいのです」


「わ、わかりました。で、ではご案内いたします お、お姉ちゃん」

かなりぎこちなかったけど今はこれで良しとしよう。しかし、庭の手入れはすでに終わっていたらしくやることがないため侍女さんのアイデアでニーナと散歩をすることになった。最初こそニーナは緊張して話すらできなかったけど花の話題を持っていくと嬉しそうに話をしてくれるのだ。今も、


「お姉ちゃん、この花はですね……」


言葉使いも砕けて良くなってるし、この散歩の提案は良かったのかもしれない。

そんなこんなで、中庭の食用の植物エリアに来た時、ブルーベリーを少し大きくしたような実をつけた一つの植物を見てそれが何なのかを思い出して見つめていた。


(確かこれは猛毒の……)


それを見たニーナは私がこの実を食べたいと思ったのだろう。


「お姉ちゃん、この木は二週間前に侍女が山からが苗を取ってきてくれたんですよ。食べたいのなら私が取り「だめです」えっ」


そう言ってニーナの伸ばしていた手を無理やり引き離して近くにあったスコップと手袋をつける。


「あの、お姉ちゃん何をしているのですか」


不安げに聞いてくるニーナをよそに根っこごとその植物を引き抜いて初級火魔法を出して枝一本を残してすべて燃やす燃やす。


「あぁぁぁ、お姉さま な、何をなさるのですか!」


ニーナは非難の言葉を涙目になりながら訴えかけてくる。そんなニーナを慰めようと彼女の侍女たちも集まってきて私に敵意のまなざしを向けてきている。さすがに説明なしでいきなりやるべきではなっかたなと今更反省しながらニーナに向き直る。


「ニーナあなたはあの実を食べようとしましたね」


「それが何だっていうんですか。お姉さまはいつもそう私が楽しんでたらいつもいつも嫌がらせをしてくる。何でそんなことが出来るんですか。あなたのそんなところが……」


「あれは、毒の実ですよ」


「えっ」


「それは猛毒、ベラドンナと言って食べると死んでしまいます。それに、葉っぱにも毒があって ほら、こんな風にすると」


私は、手袋に持っていたベラドンナの枝の葉を手の甲にこすりつける。するとすぐに私の皮膚がかぶれて赤くなっていく。それを見てニーナたちは顔を青くしたり困惑していた。


「あの、お姉さま早く手当をしないと そ、その 手が」


「今はそんなことはどうでもいいのです。それよりも今後も山から植物を採ってくるならちゃんとした知識を身に着けてからにしなさい。今回は誰もこの木に直接触れてなかっただけでもしかしたら大惨事になってあかもしれないのよ。自分が死にたくないのならそこをきちんとしてからにしなさい……あ」


(やばい、言い過ぎたかも)


そう思った時には既にニーナは目に涙をためて泣きそうになって、侍女さんたちに至っては俯いていて黙っていて表情すらわからない。これ以上はこの空気には耐えられない。そう思った私は、何か言いたげそうな顔をしていたニーナを無視して邸内へ逃げてしまった。







その日の夜


私は夕食の時間もほったらかしてベットの中でぼんやりとしていた。原因は昼にあったニーナとのやり取りで最初はニーナとの関係改善だけだったのに気付いたら本気でしかりつけていた。怒ったかと事態は私は間違てないと今も思ってる。でも、今のニーナと私の関係であんなに叱りつけてしまっては今よりもっとに嫌われる。もう、顔を合わせてもくれないかもしれまい。心がそんな状態でも体のほうは正直だったようで。 

ぐぅぅぅ~

さすがに昼から何も食べてなかったのは育ち盛りの私の体には苦だったようだ。なんでもいいから何か食べようと思って部屋を出よう扉を開けるとニーナが扉の前にいたのだ。


『あ』


そのまま数秒間お互い見つめ合っていたけどニーナの手元に目を移すとトレイとその上には私が食べてなかった夕食が載っていた。それを見た私の体は正直だったようで、


ぐぅぅぅ~


「あ」


(あぁぁ、恥ずかしいニーナの前でこんな醜態さらすなんて……)


「ふふ、お腹がすいてると思ってお姉さまの御夕食をお持ちしました」


目の前にいるニーナは、昼に会った時のようなおびえてる様子はなくむしろ、ゲームでも見た可愛らしい表情になっている。


「えっ、ニーナが持ってきてくれたの?」


「はい。お姉さまがいつになっても食堂にいらっしゃらなかったのでお持ちしました」


「ありがとう。丁度お腹がすてきたところだったのよ、美味しくいただくわ」


そう言って、ニーナからトレイを受け取る。


「あ、あの」


「どうしたの?」


ニーナは、さっきまでのシャキッとした態度とは一変して何た言いたげそうにモジモジしていた。そのまま少しの間お互い無言になってしまった。このままでは話が進まない思った私は助け舟を出してみる。


「一人でで食べるのは寂しいの。話し相手になってくれないかしら」


「はい」


ニーナは、暗い返事をして私の部屋のテーブルをあっという間にセッティングしてしまった。そして、並べられた料理を食べながらしばらくニーナと雑談をしていたけど、そろそろニーナの目的が気になるので聞いてみることにする。


「ニーナは、ほんとは何を話しに来たの?」


ニーナは少し思いつめた表情をしていたけど次の瞬間勢いよく椅子から立ち上がって私に頭を下げていた。


「お姉さま 今日は本当にごめんなさい」


「へぇ?」


謝られるなんて考えもしてなかった私は突然のことで間抜けな声を上げてしまった。今まで暗い表情をしていたからてっきり恨み言を言われると思って内心ビクビクしていた私は口を開けたままニーナを見つめていた。そんな私をよそにニーナは言葉を続ける。


「ほんとは明日、今日いた皆で正式に謝りに来る予定なんです。でも、今日お姉さまにはすごく助けられました。自分の知識のなさを痛感されました。でも、お姉さまにはとても不快な思いをさせてしまいました。でも、侍女たちがお姉さまにしてしまった行為は私のことを思ってのことなのです、、、だからお姉さまにした非礼に対する罰は私が受けます。なので、侍女たちはどうか許してほしいのです」


なるほどね。今までのサラなら自分に無礼なことをした人は必要以上にひどい目に合わせていたのだニーナは交渉しに来たのか。でも、あの態度は今までのサラを知っているからこその態度だから別に気にしてはなかったけど。そして、不安そうに私を見つめているニーナに優しく語りかける。


「大丈夫ですよ。あれはニーナを守ろうとしたことで今までの私を知ってるなら当然の行動でむしろ自分の主を守ろうとした褒められるべき行動。ニーナもあなたの侍女たちも罰する気もさらさらありませんよ」


「お姉さまの心遣いとてもうれしいです。でも、お姉さまに対する非礼を償わさせてください」


気にしないって言ってるけど責任感の強いニーナは気が済まないのかな。そこで丁度いい罰を与えることにする。


「ならあなたへの罰は二つ、今後公の場以外では必ずお姉ちゃんって呼ぶこと。もう一つは、私に甘えてください」


「えっ///」


二つ目の罰を聞いたニーナはさっきまでとは違って俯いていても分かるぐらい顔を赤くしてる。可愛いな~。ゲームの中ではヒロインに甘えてるニーナは私を含めたプレイヤーを虜にしていたものだ。


「わ、わかりました。ありがとう お姉ちゃん!」


満面の笑みで私を呼ぶニーナは何とも言えないくらい可愛く愛おしく思えて手放したくないって思ってしまう。気付いたら私はニーナをベットに押し倒して抱きついていた。


「お姉ちゃん?!」


「ニーナとおしゃべりしたりしてもっと仲良くなりたいな」


それから私とニーナは夜遅くまでベットの中でおしゃべりを楽しんでいた。

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