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覚えきれねぇよ
その後、帰宅してから遅くまで明蘭のレッスンは続いた。
次の日も、座り方からナプキンの使い方、食器の持ち方置き方。肉料理と魚料理、スープやデザートの食べ方、全て細かく彼女は教え込んだ。
「ーーそれで、退席する時は物音立てずに椅子を引いて、左から立つんだよ」
「ちょっと待ってくれ、一気に言われても覚えられないって」
「だーめ、メイの執事なんだからもっとしっかりしてもらわないと」
次に、明蘭は紅茶のセットを持ってくるよう指示し、テーブルに並べさせた。
「次はアフタヌーンティーでのマナーだけどーー」
「か、勘弁してくれ……」
その日も夜までタツは絞られた。
長いレッスンを終えた彼は、いつもの燕尾服のまま李が用意してくれた自室のテーブルに突っ伏していた。重たい溜め息が部屋中に広がる。
そろそろ着替えて寝ようか。と、彼が思った時、扉をノックして明蘭が入ってきた。バターを焼いたような甘くて香ばしい香りが部屋を包む。




