骨が折れるぜ
タツは殴りかかる男の一人の顔を掴み、その皮膚を握力でねじ曲げた後に肘を打ち込み突き飛ばした。その姿勢のまま、後ろから来た男のみぞおちに正拳突き、怯んだ相手の腕を回すように払いのけその脇腹に蹴りをお見舞い。
次は誰だ。と構えた瞬間、誰かがタツを後ろから羽交い締めに。
チャンスとばかりに男達が襲ってくる。先ずは正面から一人。タツは、まだ自由な脚でそいつの顔を蹴り飛ばした。
だが、すぐその後にタツは横から腹を殴られてしまい思わず呻く。それでも彼は歯を食いしばり、脚を大きく開いて回して横にいる男を蹴飛ばし、自分を掴む手を振りほどいた。
「コノヤロウ」
タツは飛び上がり、今まで自分を羽交い締めにしていた男の頭を抱えこんだ。そしてそのまま両足を高々と上げ、全体重を落としてひねり込む。男の首から鈍い感触がタツの腕に伝わった。
地に降りたタツは、残る男達に正拳、肘打ち、裏拳、虎の手、と次々技を叩き込む。
「残りはアンタか」
最後に残った男を睨んだ。すると男は懐から銀に光る物を取り出し、叫びながら振りかざしてきた。
タツは冷静に相手の隙を見て反撃しようとした。だがその時、さっき殴られた横腹に痛みが走る。
迫る男、ヤバい、刺される……。刹那にタツが思ったその時、男の手が寸前で止まった。誰かが男の手をがっしりと掴んでいる。




