表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/41

ロリィタのポリシーかい

「メイ、洋楽のパーティーなんて初めて」

 はしゃぐ彼女にタツは聞いた。

「友達に誘われなかったのか」

「誘われていたけど、夜中の外出はパパに禁止されていたから」

「案外厳しいな。大丈夫、楽しい夜になる」

 会場のある繁華街はそう遠くは無い。出発してから十分くらいで、会場の最寄りにある駐車場に到着した。

 タツは先に降り、明蘭側のドアに手を掛ける。

 駐車場前の道では人、人、人が道を譲り合いながら行き交っていた。その中でも特に近くを通る人達は、ほとんどがタツの姿を二度見して行く。

「大道芸人か俺は」

 彼がそう呟いた時だ。ふと遠くで、中年男性と一緒に歩く一人の女性が目に入った。

 長いブロンドヘアー、細くスッキリした輪郭、モデルのような長い足……。どこを取っても見覚えある。

 その女性は、ピンク色の際どいドレスをひらひらさせながら人混みの中へ消えていった。

「あいつ、確か……」

 タツが目を凝らしていると、明蘭が待ちきれずに自分で出てきた。

「ねぇ、どうしたの」

「あ……いや、何でもない」

 彼女と突っ立っていると、若い女性三人がスマホ片手にヒソヒソ言いながら近寄ってきた。

「すみません、一緒に写メ良いですか」

 タツは言葉を詰まらせた。初めての経験だったから。双拳の龍として崇められていた頃でもこんな事は無かったのだ。

 執事も案外悪くない。彼はヒッソリ思った。

 だが、明蘭の顔は険しい。

 彼女は三人に手のひらを向けてキッパリ告げた。

「ロリィタは見せ物じゃ無いです。やめてください」

「ロリィタ……」

 タツも三人組も固まる。

 しばらくして、彼女らは気まずそうに去っていった。それを見送るタツも気まずそう。

「さ、行くよ」

 明蘭はマンションを出た時と同じようにタツに鞄を持たせた。タツは何も言わずに受け取る。

 彼は歩きながら考え事をしていた。さっき、男と一緒に歩いて行った女の事を。

「まぁいいか」

「何がいいの」

 独り言に明蘭が反応する。

「いや、別に。それよりほら、ついたぞ」

 そこには真新しい白いビルが立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ